2017年3月1日

『カルロス・ゴーンの経営論』 公益財団法人日産財団・監修 太田正孝、池上重輔・編著 vol.4606

【カルロス・ゴーン、経営論を語る】
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本日ご紹介する一冊は、日産自動車・カルロス・ゴーンCEOの実践事例と、ウォートンスクール、IMD、早稲田大学によるアカデミック理論をより合わせて作られた、幹部育成プログラムの書籍版。

全部で5日間の幹部育成プログラムのエッセンスを抽出したもので、カルロス・ゴーンCEOの肉声と、今日リーダーが押さえておくべきリーダーシップの理論が収められています。

元々が幹部候補生たちに向けて語られた講演のため、アドバイスがじつに具体的で、かつ考えさせられる内容です。

グローバル・リーダーになるにはどうすればいいか、何がリーダーとして認められる要件か、リーダーは部下の前でどう振る舞うべきか、決断に反対されたらどうするか、部下に説明すべきは何なのか、誤った人選をしたらどうするか…。

じつに生々しい質問への答えが明解に綴られており、経営の悩みをいくらか軽減することができました。

非常に平易な言葉を用いているのに、本質を突いていて、かつすべきことや手順を外さない。

じつに実践的なアドバイスです。

さっそく、その珠玉のアドバイスをチェックしてみましょう。

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社内の従業員が「自分たちのリーダーはグローバル・リーダーだ」とみなすかどうか。それは、そのリーダーが、従業員に対して心をオープンにしており、知りたい・学びたいという意欲にあふれ、そしてダイバーシティは強みであると考えているような人物かどうかにかかってきます。さらにもう1つ、会社にとって自国だけでなく世界こそが重要な市場であると思っていることも、社内の従業員にグローバル・リーダーとみなされるうえでは重要です

リーダーとは、誰もが「イエス」と言っているなかでも、ちゃんと立ち上がって「ノー」と言える人です。そして「ノー」と言うからには別の方向を示し、最終的には勝利するのがリーダーです

リーダーであるには、まず、人々と心を通い合わせる必要があります。人とのつながりのなかで、「ああ、この人は興味深い」と魅力を感じさせることが、まず大切です。そして、もう1つ。やはり結果を出せるかどうかにかかってきます。たとえ厳しい状況であっても、能力をもって良い結果を出せているかどうかです

熟慮することと正直であることが、判断や行動の一貫性を作ります。そして、一貫性があるからこそ、リーダーシップは維持されます

リーダーは、一切を正直にさらけ出すわけではない

リーダーは誰しも「完璧ではない」が、失敗を感じさせないリーダーは完璧に見える

例えば、「工場を閉鎖して、人員を削減することに決めました」と言っただけでは、周囲の人は誰も賛同してくれません。そうではなく、「工場を閉鎖して人員を削減します。その結果として、100億円の利益と、5%の成長を期待できます。この2つについて2年後に評価します」と言うのです。そうすることで、周囲の人達の関心は、その結果に向くことになります

リーダーは、怒っている時は“ポーカーフェイス”に徹しなければなりません。リーダーとて、常に高いモチベーションを保ち続けることはできません。時に不満を抱いたり、怒ったりすることもあります。けれども、リーダーは、その不満や怒りを人に見せないという義務を負っています

少なくとも1年に1度は、ちゃんと「北はこっちだ」と、目指すべき方向を示さなければなりません。そして、北を目指すにしてもどこまで進まなければならないか、何を達成すればよいのかも説明しなければなりません。同時に、なぜそこまで達成しなければならないかも説明する必要があります

制度に絶対的な良し悪しはない。その組織でその制度が機能しているかで評価すべき

誤った人選をした時は、その人を外すしかない

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誰もが「イエス」と言っているなかでも、ちゃんと立ち上がって「ノー」と言える人、怒っている時は“ポーカーフェイス”に徹する、1年に1度は、ちゃんと「北はこっちだ」と、目指すべき方向を示す…。

当たり前だけどなかなか実践できていないことが書かれていて、身につまされる思いがしました。

じっくり読んで、経営に役立てようと思います。

これは、おすすめの一冊です。

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『カルロス・ゴーンの経営論』
公益財団法人日産財団・監修 太田正孝、池上重輔・編著 日本経済新聞出版社

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◆目次◆

I 国境を越え、世界を、未来を見つめる
──グローバル・リーダーとは

II リーダーは完璧であるべきなのか?
──変革のリーダーシップ、意思決定

III 目的地を示す
──中長期的な目標を示し、同時に短期的問題を解決する
(現場の把握、ビジョン、目標設定)

IV 既成概念を疑い、異文化を取り込み、組織を活性化する
──ダイバーシティ、モチベーション

V ミドルマネジャーのリーダーシップと後継育成

VI カルロス・ゴーンは日産の何を変えたのか

VII レジリエント・リーダーシップ
──有事にこそ問われる危機管理、レジリエンス

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