【心を使って考えるとは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062203022
本日ご紹介する一冊は、「暮しの手帖」編集長、クックパッドを経て、2017年より新たな挑戦を始めたエッセイストの松浦弥太郎さんによる一冊。
「頭を使う」のではなく、「心を使う」ことで見える世界が違ってくる、仕事が変わってくる、センスが違ってくる。
そのことを、自身の体験とともに語ったのが、本日ご紹介するエッセイ集です。
自身、ベテラン編集長から「49歳の新入社員」としてやり直した経験からか、「これまでの自分」を捨てることを推奨されています。
<「何かを始めたいなら、『自分らしさ』など捨てたほうがいい」>
興味深かったのは、いつも一番だしを使った「最高のおみそ汁」を作っていた著者が、だしをとらずに玉ねぎを煮て、味噌をほんの少量溶かした「味のしないおみそ汁」を飲んだ時のエピソード。
<いつしか僕の舌には「おいしいおみそ汁の定義」ができていて、味がないものを口にすると、反射的に「まずい」となる癖がついていると気づいたのです>
こういうことは、経験が長くなれば長くなるほど、上級者になればなるほど、起きることではないでしょうか。
では、どうすれば新しい良いものを生み出すことができるのか。
いつでもセンスを研ぎ澄ませ、場合に応じて自分をリニューアルしていくには何が必要なのか。
本書には、著者がたどり着いた、生き方のヒントが書かれています。
さっそく、チェックしてみましょう。
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心で考えるスイッチとは、自分らしさを捨てることでもあります。逆に言うと、職場にすら慣れることができない人が、世の中の人のために役立つ何かを生み出すのは、いささか無理があるということです
積極的に心を働かせると、今まで見えなかったことが見えます。気づかなかったことに気づき、思いつかなかったことを思いつき、考えつかなかったことを考えつけるようになります。相手が困っていること、喜ぶことがわかるようになります
学びには、積み重ねていくものと、研ぎ澄ましていくものの二種類あると思っています。頭による学びは、知識の蓄積や経験の積み重ねという足し算。そして心による学びは、センスを研ぎ澄ましていくという引き算です
いつしか僕の舌には「おいしいおみそ汁の定義」ができていて、味がないものを口にすると、反射的に「まずい」となる癖がついていると気づいたのです
完成形の味から引き算をしていくことで新しいレシピが生まれるかもしれない
矯正とは、今あるかたちを理想のかたちにつくりかえることです。言葉を換えると、今あるかたちをいったん否定すること。つまり自分を矯正するとは、自分らしさを捨て去り、前向きかつ積極的な自己否定をするということです
時代の流れが速くなって、年齢や経歴も関係なく、本当に能力ではかられる世の中になってきました。そこでいつでも声がかかるプレイヤーとして生きていくには、つねに自分を矯正し、前向きな自己否定を繰り返しておくしかない
好きと嫌いの「あいだ」をつくる
あした自分の働く場所がなくなったとしても、そういった仮説も立てておいて、すでに受け入れる準備ができている、それも自分にとってはある種の想定内であるというのが、僕の考える身軽さです。別にそこでだだをこねたり、権利を主張したりするのではなく、変化が起きるのであればその変化を受け入れて、次のチャレンジなり、次の違う方向なりを見つめる。常にそこで自分が立ち止まることがないようにするのが、とても大事な気がします。自分の能力やキャリアを活用できる方向はどこなのかを自覚しておくべきです
いま僕は自分の所属を言うことはほとんどありません。肩書や所属を言わなくても、自分が社会の歯車の一つとして成立できているのが一つの理想だし、そういう自分の存在感を築くことが大事だと思います。肩書がないとだれも会ってくれないということだと、これからの社会で生きていくのは厳しいのではないか
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会社の衰退、市場の変化、技術の陳腐化が当たり前になる時代に、本書の考え方は、きっと必要になると考えています。
これからの時代の勝ち組とは、良い組織に入った人でも、良い給料をもらっている人でも、有名な人でもない。
常に変わり続け、社会の中での役割を持ち続ける人だと思います。
変わり続けるものと変わらないもの。そのベストバランスを見つけるために、ぜひ読んでみてください。
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『「自分らしさ」はいらない』松浦弥太郎・著 講談社
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◆目次◆
Chapter1 ようこそ!「心で考える」へ 頭で考えることの限界
Chapter2 「心を働かす」のは、仕事のきほん
Chapter3 「心をつかう」のは、くらしのきほん
Chapter4 「心」と「頭」のバランスのとり方
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