2009年10月5日

『たまたま』レナード・ムロディナウ・著 vol.1904

【「偶然」がビジネスに与える影響とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478004528

本日の一冊は、あのホーキングが絶賛し、全米で大ベストセラーになった『The Drunkard’s Walk』の邦訳。

著者のレナード・ムロディナウはカリフォルニア工科大学で「ランダムネス」の講義をしている人物で、本書には、いかにわれわれの成功が「偶然」に左右されているかが書かれています。

この手の話は、キャリアにおけるいくつかの著書にも出てきますが、本書が優れているのは、過去の数学者、物理学者たちのエピソードと功績を挙げながら、知的読み物に仕上げている点。

古代ギリシア人が神意を占う時、間違った確率で判断していた話や、天才ギャンブラー、カルダーノが勝負に勝てた理由、パスカルの三角形、ゼノンのパラドックス、ベルヌーイの「黄金定理」、ベイズの理論など、さまざまなトピックが登場し、飽きさせることがあり
ません。

読むのにはそれなりに骨が折れますが、ビジネスやキャリアに重要な示唆をもたらす一冊ということで、読むことを強くおすすめいたします。

本書を読めば、現在日本社会にはびこっているインチキビジネス、間違って人気になってしまった著者など、さまざまな事象の真実がわかります。

また、キャリアを築く上でとても大切な考え方が書かれており、どんな時に転職すべきか、どんな時に転職すべきでないか、仕事で成果を上げるためにどう考えればいいかなど、ヒントがたくさん出てきます。

事例としても、アメリカの出版や映画の裏話、O・J・シンプソンの裁判、マンモグラフィーの罠などが出ていて、大変興味深く読むことができます。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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チームが失敗すると監督はよくクビになる。しかしメジャーなスポーツにおける解雇例を数学的に分析した結果、そうした解雇は概ねチームの成績になんの効果ももたらさなかったことが明らかになっている

人間の頭は出来事一つひとつに対して一個の明確な原因を特定するようにつくられているから、無関係な、あるいはランダムな要素の影響を受け入れることは容易ではない

スポーツの世界──あるいは、その他の世界──の並外れた偉業に目を向けるとき、われわれは、並外れた事象が並外れた原因なしに起き得ることを心に留めておかなければならない

アストラガリ投げがギャンブルにおいても宗教においても重要であったにもかかわらず、ギリシア人はアストラガリ投げの規則を理解する努力をまったくしなかった

もしあなたがまぐれ当たりのシナリオ(確率は三分の一)の中にいて、しかも自分の選択に固執すれば、あなたが勝つ。もしあなたが見当違いのシナリオ(確率は三分の二)の中にいて、司会者のアクションゆえに、もしあなたが選択を変更すれば、あなたが勝つ。つまるところあなたの決断は、自分がいずれのシナリオの中にいるか、という推測にかかっている

(サイコロの)合計が2になる確率は三六分の一だが、合計が3になる確率はその倍である。理由は、合計が2になる場合は一通りしかなく、出た目がどちらも1のときだが、合計が3になる場合は、1と2のとき、2と1のとき、と二通りあるからだ

<ベンフォードの法則>と呼ばれる規則によれば、このような累積的な形で生じる数字はランダムではなく、低い数字に偏っている

ベルヌーイは、試行回数を増やせば増やすほど観察される頻度は潜在的確率を正確に反映するようになる、と考えるのは、明らかに正しいと考えた

ベイズの手法の鍵は新しい情報を使って標本空間を切り詰め──つまり、不適切なものを取り除き──確率を調整することだ

われわれが成功とか失敗とかを目にする場合、われわれはたった一点のデータ、つまりベル曲線上の一点を観察しているにすぎない。観察しているその一点が、はたして平均値を表しているのか異常値を表しているのか、当てにできる出来事なのかまれな出来事なのか、われわれにはわからない

もし映画の興行収入が正規分布だったら、ほとんどの映画がある平均的な量に近い興行収入を稼ぎ、全興行収入の三分の二がその値から標準偏差以内に入ることになるだろう。しかし映画産業においては、二〇パーセントの映画が全興行収入の八〇パーセントをもたらしている

ゴールトンは、大きい種から生まれた子供の種の平均直径が親の種のそれより小さく、小さい種から生まれた子供の種の平均直径は親
の種のそれより大きいことを発見した

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『たまたま』ダイヤモンド社 レナード・ムロディナウ・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478004528
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◆目次◆

プロローグ
第1章 ランダムネスという不思議な世界
──ベストセラーは「たまたま」生まれる?
第2章 「それっぽい」話に潜む危険性
──真実と「一部」真実の法則
第3章 直観はすべての選択肢を把握できない
──カルダーノの「標本空間」がもつ威力
第4章 「たまたま」成功する確率を知る
──パスカルの果たした二つの貢献
第5章 大数の法則と小数の法則
──何人調べれば当選は確実とわかるのか?
第6章 「あなたが死ぬ確率は一〇〇〇分の九九九!」
──ベイズ的判断と訴追者の誤謬
第7章 バラツキを手掛かりに真実をつかむ
──測定と誤差の法則
第8章 ランダムネスを逆手に取る
──カオスの中の秩序
第9章 パターンの錯覚と錯覚のパターン
──「偶然」の出来事に「勝手」に意味を見いだす
第10章 ドランカーズ・ウォーク
──偶然とうまく付き合っていくために
訳者あとがき

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