2015年12月29日

『戦略がすべて』瀧本哲史・著 vol.4179

【瀧本哲史氏新刊!原理で学ぶキャリア戦略】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106106485

「頑張っているから給料を上げてください」

これは、サラリーマンの典型的な考え方ですが、これでは将来経営層に入ることは期待できません。

なぜなら、報酬はビジネスの「結果」支払われるものであり、頑張りは必ずしもビジネスの成功の「原因」とはならないからです。

事実、社員が「頑張っている」のに結果が出ていない企業は多い。

『失敗の本質』的に言えば、日本は「同じやり方で頑張る」ことを選んだからアメリカに大敗したわけで、現在のビジネスでも、同様のことが起きています。

もし、サラリーマンが給料を上げたければ、資本主義の仕組みを理解し、そこで価値を上げていく「戦略」を学ぶ必要がある。

そこで読んでおきたいのが、本日ご紹介する瀧本哲史さんの『戦略がすべて』です。

著者は、東京大学法学部を卒業後、マッキンゼー&カンパニーを経てエンジェル投資家として活躍し、現在は京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授も務めています。

本書は、氏がもともと連載していた『日経プレミアPLUS』の特集および連載「瀧本哲史の時事評論」、さらに『新潮45』の連載「逆張り(コントラリアン)日本論」を元に再編集したもので、氏のビジネスや働き方への視点が学べる、興味深い読み物となっています。

さまざまなビジネスモデルや、働き方のモデルについて触れており、原理的なところからキャリア戦略が学べる、異色の一冊です。

さっそく、そのエッセンスを見て行きましょう。

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◆「人」を売るビジネスの「三つの壁」
1.どの人材が売れるか分からない
2.稼働率の限界
3.売れれば売れるほど契約の主導権や交渉力がタレント側に移る

たいていの学習可能なスキルは高報酬につながらない

商品市場、資本市場の市場評価よりも、どのような人がその企業に入ったか、どのような人がその企業を去ったかという、人の出入りこそが、企業の業績の先行指標として非常に有益な場合がある

自分が属する業界のことを知りつくし、かつ、新しい仕組みについてのアイディアを持てば、起業は成功する確率が高い

札幌は消費財のテストマーケティングに使われることが多いため、札幌の人と話すと他のエリアでは売られていない新商品(その多くは全国販売に至らない)を知っていたりする

ネットにおける発信者は、閲覧数を増やすことを基準に執筆をするので、より炎上しやすい、極端で質の低い情報発信を行うインセンティブを持つようになる

タブレットの普及で資料の電子配布やデジタル上の修正が標準的になると、資料の作成の仕方も変わってくるであろう。日本の組織で散見されるような、むりやりA4の紙に内容を押し込んだために、論理関係が不明確だったり、再利用性が低かったりする資料はもはや存在意義を失う

近頃の若者に苦言を呈する人たちは、自分の頭の古さや、あるいはダメな若者しか集まってこない自分のネットワークに危機感を持つべきだ

システムAとは、大学教育を終えた、どのようなタイプにもなり得る「ジェネラリスト」を採用し、企業の中でゆっくりと下積みからスタートさせて、徐々に企業の文化、独自のノウハウを教育していくモデル

システムBは、新卒の従業員であっても、大きな権限を与えるモデルになっている。たとえば、グーグルでは「アソシエイトプロダクトマネージャー」という制度があり、新卒や第二新卒がいきなり新サービスを立ち上げるプロジェクトの責任者になり、グーグルのリソースをフル活用して、新しいサービスを経営陣直下で立ち上げることが期待されている

同じ部活の人は同じようなキャリアを歩んでいる

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最終章に書かれている、<ほとんどの日本のビジネスマンは「高級作業員」にすぎない>というワンフレーズは強烈ですが、事実といえば事実。

ビジネスパーソンがどうしたら戦略思考を身に付けられるか、そのヒントが散りばめられた読み物です。

ぜひチェックしてみてください。

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『戦略がすべて』瀧本哲史・著 新潮社

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106106485

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◆目次◆

I ヒットコンテンツには「仕掛け」がある
1.コケるリスクを排除する──AKB48の方程式
2.全てをプラットフォームとして考える──鉄道会社の方程式
3.ブランド価値を再構築する──五輪招致の方程式

II 労働市場でバカは「評価」されない
4.「儲ける仕組み」を手に入れる──スター俳優の方程式
5.資本主義社会の歩き方を学ぶ──RPGの方程式
6.コンピューターにできる仕事はやめる──編集者の方程式
7.人の流れで企業を読む──人材市場の方程式
8.二束三文の人材とならない──二〇三〇年の方程式

III「革新」なきプロジェクトは報われない
9.勝てる土俵を作り出す──オリンピックの方程式
10.多数決は不毛である──iPS細胞の方程式
11.人脈とは「外部の脳」である──トップマネジメントの方程式
12.アナロジーから予測を立てる──北海道の方程式

IV 情報に潜む「企み」を見抜け
13.ネットの炎上は必然である──ネットビジネスの方程式
14.不都合な情報を重視する──新聞誤報の方程式
15.若者とは仲間になる──デジタルデバイスの方程式
16.教養とはパスポートである──リベラルアーツの方程式

V 人間の「価値」は教育で決まる
17.優秀な人材を大学で作る──就活の方程式
18.エリート教育で差別化を図る──東京大学の方程式
19.コミュニティの文化を意識化する──部活動の方程式
20.頭の良さをスクリーニングする──英語入試の方程式
21.入試で人間力を養う──AO入試の方程式

VI 政治は社会を動かす「ゲーム」だ
22.勝ち組の町を「足」が選ぶ──地方創生の方程式
23.マーケティングで政治を捉える──選挙戦の方程式
24.身近な代理人を利用する──地方政治の方程式

VII 「戦略」を持てない日本人のために

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