2015年11月28日

『「名目GDPって何?」という人のための経済指標の教科書』 小宮一慶・著 vol.4148

【経済理解力がアップ】
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勉強をしていると、必ずと言っていいほど「ここでつまずく」というポイントが存在するものです。

多くの方は、そこで理解できず挫折し、勉強そのものが嫌になってしまうのですが、そこで活用したいのが優れた「教師」です。

それが家庭教師であれ、通信教育であれ、書籍であれ、優れた教師の存在は、「わからない(挫折)」を「わかった!(成功体験)」に変え、学習者を前向きな気持ちにさせてくれるものです。

本日ご紹介する著者の小宮一慶さんは、ビジネスパーソンが経済数字を学ぶ上で欠かせない、まさに「教師」的存在。

新刊『「名目GDPって何?」という人のための経済指標の教科書』は、読者が個人投資家であれ、事業会社の社員であれ、知っておきたい経済指標を、わかりやすく解説したものです。

ここ20年間で大きく成長した米国と中国、そしてEU。一方でほとんど成長しなかった日本の経済を概観し、それぞれの経済を見るための経済指標と、その使い方を説明しています。

また、投資家目線で見た時、これから景気が上向くのかどうか、どこにチャンス/リスクがあるのか、経済指標を使って読み解く方法を指南しています。

タイトルにもなっている「名目GDP」や、「マネーサプライ(M3)」、「法人企業統計」の「営業利益」、「バフェット指数」、米国の「非農業部門雇用者数」、中国の「PMI」、さらにEUの経済を見るための「ドイツDAX」「英国FT100種」など、知っておきたい経済指標がたくさん出てきます。

時間をかけずに学びたい方、知識をおさらいしたい方は、第3章の「厳選!これだけは知っておきたい重要指標42」をチェックすれば、手っ取り早く学ぶことができます。

さっそく、いくつかポイントをチェックして行きましょう。

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日本経済新聞朝刊に毎週月曜日、掲載される「景気指標」面を継続的に見続けること

◆数字を見る際の心得
心得1 数字の「定義」を学ぶ
心得2 数字の「基準」をもつ
心得3 数字を「定点観測」する
心得4 数字と数字を「関連づける」
心得5 数字をもとに「仮説」を立てる

日経平均株価は、2012年度は9000円台でしたが、2013年度は1万4000円台へと60%以上伸びました。一方、「法人企業統計」の「営業利益」を見ると、2013年度は前年比21.5%の伸びにとどまっています。この二つの数字を関連づけると、「企業の実力以上に株価が上がっているかもしれない」といった仮説を立てられます

◆バフェット指数
株式の時価総額(株価×株数)を名目GDPで割って算出します。バフェット氏は、これが100%を超えると、すなわち「株式時価総額>名目GDP」になると、バブルの懸念があると判断していると言われています。2014年度でみると、日本の名目GDPは490兆円、株式時価総額は560兆円ですので、バフェット指数は114%と100%を上回っています

2017年4月の消費税増税は、2016年8月半ばに発表される4ー6月期のGDPが大きな判断材料

◆非農業部門雇用者数
全米の30万以上の企業や事業所に、雇用者数の増減をヒアリングして算出したものです。現状では、この数値が「1カ月に20万人以上増えていれば米国経済は好調だ」と考えられています

個人消費が前年比プラス5%台程度が続くとき、米国の経済は巡航スピードで好調だと見ています

◆中国のPMI(製造業購買担当者景気指数)
製造業の購買担当者へのアンケート結果を指数化するもので、50を
上回れば景気拡大、下回れば景気後退を示唆します

中国人の爆買いで言えば、注目しているのは「宿泊者旅行統計」(観光庁発表)です。2015年7月までは、前年同月比で100%以上増えていましたが、この数字が鈍化するのかしないのかで、中国人の観光客数の増減が分かります

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最初に書かれている、「会社は社会の一部です。どんなに大きな会社でも、社会の流れに勝てる会社はありません」という一文を見て、ドキッとしました。

大企業にお勤めの方や、経営者の方は、つい自分たちが頑張れば何とかなると思いがちですが、結局、うまくいくかどうかは、9割環境やしくみにかかっているのです。

起業、投資、転職、いずれの場合でも、経済指標を読み、賢く行動することが勝利を呼びます。

成功する人は、過信しない人であり、基礎をきちんと学ぶ人なのです。

ビジネスパーソンとしての基礎を押さえる上で、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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『「名目GDPって何?」という人のための経済指標の教科書』小宮一慶・著 PHP研究所

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◆目次◆

プロローグ 「経済指標」を見るときの五つの心得
第1章 「アベノミクス」の3年間を数字で検証
第2章 「激動の世界経済」を数字で検証
第3章 厳選!これだけは知っておきたい重要指標42

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