【世界が感動したスピーチの中身は?】
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この「ビジネスブックマラソン」では時々、ビジネスや資本の論理に逆行するような本を紹介することがありますが、それはあくまでビジネスやお金が「手段」と考えているから。
本当に大事なのは社会の発展や人類の幸福なわけで、その視点を欠いたら、お金には意味がなくなりますし、逆にお金批判も意味を成さなくなってしまいます。
人間や社会にとって本当に大切なのは何なのか?
これを考えさせてくれるのが、本日ご紹介する『世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉』です。
ホセ・ムヒカ氏は、2010年3月1日に第40代ウルグアイ大統領に就任、2012年にリオ・デ・ジャネイロで開催された国連会議のスピーチが感動を呼び、一躍、時の人となった人物です。
古い愛車のビートルに乗り、生活費は月に1000ドル程度。
大統領らしからぬ質素な暮らしぶりで知られるムヒカ氏が、現代人に投げかける疑問、資本主義の矛盾点…。
読めば読むほど、「深い」問いかけが並んでおり、生き方や働き方を考えさせてくれる内容となっています。
気になった言葉を、さっそくピックアップしてみましょう。
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<昔の賢明な人々、エピクロス、セネカやマイアラ民族までこんなことを言っています。「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」>
<私の同志である労働者たちは、8時間労働を成立させるために闘いました。そして今では、6時間労働を獲得した人もいます。しかしながら、6時間労働になった人たちは別の仕事もしており、結局は以前よりも長時間働いています。なぜか? バイク、車などのローンを支払わなければならないからです>
<発展は幸福を阻害するものであってはいけないのです>
<私は貧乏ではない。質素なだけです>
新しい車に買い替えるつもりはさらさらないらしい。スペインのテレビ番組『SALVADOS』でも、「まだ新しいので交換するつもりはありません」とキッパリ。「まだ万全な状態です。この車は時速100kmまでスピードを出すことができますが、時速80kmあればどこへでも無理なく行けます。79歳の老人が80km以上のスピードを出すことは、誰にとってもよくないと思いますよ」(『SALVADOS』より)
<私は、持っているもので贅沢に暮らすことができます>
<質素は“自由のための闘い”です>(2012年11月15日BBCスペイン語版より)
<物であふれることが自由なのではなく、時間であふれることこそ自由なのです>
(ベネズエラのテレビ局Venezolana de Television制作番組『La Hojiilla』より)
自分とは対照的な暮らし(=贅沢な暮らし)は、無駄な時間をとられ、煩わしさも伴ってくる。つまり、それは“束縛”──
<自分の人生の時間を、好きなことに使っているときが、本当に自由なときなのです。自分と家族の物質的な欲求を満たすために働く時間は自由ではないのです>
<人生はもらうだけでは駄目なのです。まずは自分の何かをあげること。どんなにボロクソな状態でも、必ず自分より悲惨な状態の人に何かをあげられます>(2014年12月4日南米諸国連合会議でのスピーチより)
<敗北者とは、闘いを辞めた人のこと。人間は強い生き物であり、多くのことを乗り越えられます。悪いことは良いことを運んでくれるのです>(『SALVADOS』より)
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ご覧の通り、ムヒカ氏の言葉は、物質主義からわれわれを解放し、人生で本当に大切なものと向き合わせてくれます。
お金の本質を忘れてお金を追うのではなく、あくまで大切なものと向き合いつつ、お金を稼ぐ。
本書は、そのきっかけとなる一冊だと思います。
ぜひチェックしてみてください。
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『ホセ・ムヒカの言葉』佐藤美由紀・著 双葉社
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◆目次◆
プロローグ
“もっとも衝撃的なスピーチ”が日本人の心に響くわけ 打村明
第一章 質素の哲学
第二章 理想への闘い
第三章 指導者の言葉
エピローグ
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