2015年10月9日

『誰もがリーダーになれる特別授業』ハーミニア・イバーラ・著 vol.4098

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「悪徳の書」と言われながらも、マキャベリの『君主論』が売れ続けているのは、きっとリーダーに求められる行動は、一般人のそれとは違うからだと思います。

※参考:『君主論』
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「民衆というものは頭を撫でるか、消してしまうか、そのどちらかにしなければならない」

「加害行為は、一気にやってしまわなくてはいけない。そうすることで、人にそれほど苦渋をなめさせなければ、それだけ人の憾みを買わずにすむ」

「名君は、信義を守るのが自分に不利をまねくとき、あるいは、約束したときの動機が、すでになくなったときは、信義を守れるものではないし、守るべきものでもない」

しかしながら、実際に企業のリーダーとして成果を上げようと思ったら、こうした処世訓だけでは通用しないのも事実。

本気でリーダーになろうと思ったら、リーダーの行動を学ばなければならないのです。

本日ご紹介する一冊は、GE、ゴールドマン・サックスなどの有名企業から引っ張りだこの人気講師、ハーミニア・イバーラさんによるリーダーシップ講義。

著者は、ハーバード・ビジネス・スクールで13年教鞭をとった後、INSEADに移り、10年以上エグゼクティブコースを教えているそうですが、本書は、そのエグゼクティブ向け授業である「The Leadership Transition」と同じ内容を書籍化したもの。

グローバル企業で働くリーダーの事例を紹介しながら、著名な理論や研究結果に触れ、リーダーのキャリア開発を説くという、極めて欧米的なアプローチの読みにくい本ではありますが、誰が何と言ってもこれは良い本です。

なぜプレイヤーとして優秀だった人物がマネジャーになって失敗するのか、どう行動し、自分を変えていけばいいのか、どうすれば部下や上司の支持が得られるのか…。

悩めるリーダー、マネジャーの一番知りたかったところにフォーカスした本で、じつに実践的な内容でした。

自分らしさ追求型よりカメレオン型が早く出世するということや、実績重視型が学んで役に立つタスクよりも自分をよく見せるタスクを好むこと、結果重視の姿勢が自分の欠点や失敗を覆い隠すことなど、リーダーが学ぶべきポイントがぎっしりと詰まっています。

気になったポイントを挙げておきましょう。

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新しい考えを提案したり、専門外の分野で貢献したり、人や資源を価値ある目標に結びつけることなどを通してリーダーとして行動すると、周囲の人はその人をリーダーとみなし、認めるのです

私たちは皆、実績のある得意なことを繰り返してしまいます。あるゴルフの専門家は、「アマチュアゴルファーはベストスイングの練習に時間を取りすぎている。もっと必要な練習がいろいろある」と指摘しています

与えられた仕事をこなすことを重視するマネジャーはビジョンの重要性を軽視しますが、将来の可能性を思い描き、それを他の人と共有する能力は、リーダーかリーダーではないかを分けるものです

経験不足のリーダーは、アイデアそのものが究極のセールスポイントであるように行動します。一方、経験豊かなリーダーはアイデアの質が一番大切ではあるものの、プロセスの重要性も理解しています

研究の結果、カリスマの謎とは、個人としての質ではなく、他の人との関係の質であることがわかりました。コンガーらが発見したように、何らかの「時宜を得た」説得力のあるアイデアを持っている人が、カリスマとみなされるのです

リーダーシップを発揮するためには何が役立つかを調査したところ、上位に挙げられた項目の一つが「通常の責任の範囲外にある、社内プロジェクトの経験」でした

最も時間をあけておく必要があるのは、最も忙しいときです

リンクトインの創設者であるリード・ホフマンが発見したように、仕事上で支援してくれる人と会う場合、三人を介せば誰にでも会えるのです

自分を変える最も早い方法は、自分がやりたい方法をすでに実践している人と時間を過ごすこと

偉大な思想家の背後には、さまざまな人がつながっている活力のあるネットワークが存在する

これまでよりも規模が大きい役割を引き受けるということは、規模が小さいときはうまく機能する個人とのかかわり方や情報の公開の仕方を変えなければならないということです

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これを読めば、自分がリーダーになった瞬間、改めなければならないことは何か、始めなければならない行動は何か、一発で理解できると思います。

こんな研修があれば、日本でももっとたくさんの優秀なマネジャーが育つと思うんですが…。

経営者、人事担当者はぜひ、読んでいただきたい一冊です。

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『誰もがリーダーになれる特別授業』ハーミニア・イバーラ・著 翔泳社
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◆目次◆

第1章 リーダーとして行動し、考える方法──「外から変わる」
第2章 仕事を再定義する
第3章 チームを超えたネットワーク、社外のネットワーク
第4章 自分自身を楽しむ
第5章 ステップアップのプロセス
結論 行動しましょう

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