2024年12月5日

『ライバルはいるか?』金間大介・著 vol.6617

【ライバルが引き出す驚異の可能性】
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中学校時代、土井には良いライバルがいました。

テニスでペアを組み、勉強でも学年成績1、2位を争っていた、高橋君という男の子です。

土井は当時、偏差値35のヤンキー中学で、180人中58番という残念な成績の人間でしたが、高橋君というライバルのおかげで、最終的には学年トップにまで上り詰めました。

なぜそんなことができたのか?

じつは、高橋君と土井は、毎晩のように電話で問題を出し合って、お互い切磋琢磨していたのです。

高気圧と低気圧の違いがわからずにいた土井に、図でわかりやすく説明してくれたのも、高橋君でした。

テニスでは、高橋君のお父さんが青森県3位のテニスプレーヤーだったということもあり、部活終わりや休日に、鍛えてもらいました。

最終的には県ベスト8止まりでしたが、スポーツが苦手だった土井に、「勝ち」の味を教えてくれたのも、高橋君でした。

もちろん、長い人生で出会ったライバルは、高橋君だけではありません。

小学校の頃、勉強で競い合っていた鎌田君、高校時代、一緒にテニスした部活の仲間たち、社会人になってからライター事務所で一緒だった田口さんなども、良いライバルでした。

思えば、土井の人生はライバルたちのおかげで充実していたと言っても過言ではありません。

本日ご紹介する一冊は、そんなライバルの効用を、科学的エビデンスをもとに証明した、興味深い一冊です。

著者は、応用物理学から転向し、現在、イノベーション論を専門とする、金沢大学融合研究域融合科学系教授の金間大介(かなま・だいすけ)氏です。

ライバルがいることによる成長・パフォーマンスへの影響や幸福度への影響が述べられており、いかに人生においてライバルが重要か、考えさせられます。

イノベーション論の専門家らしく、最後はライバルと手を組み、優れたチームを作るためのヒントが書かれています。

最後はまるで人気漫画『ブルーロック』を読んでいるみたいでした。

どうすればライバルが作れるか、具体的ヒントは乏しいものの、読んでおいて損はない一冊です。

若い頃、ライバルに恵まれたという人にとっては、自分の人生の幸福に思いを馳せる、素敵な読書体験になると思います。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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今、誰かと競争をしている人は、していない人と比べて……
26%も、仕事への「意欲」が高い。
33%も、仕事の「満足度」が高い。
36%も、「成長」の実感度が高い。
28%も、「年収」が高い。
そして39%も、「幸福度」が高い。

ライバルの存在は、あなたに次のような効果をもたらす可能性を秘めている。
・自分が将来こうなりたいというビジョンを与えてくれる
・もっと優れた人間になりたいと思わせてくれる
・積極的な行動を心がけようという気持ちになる
・全く新しいことにチャレンジするようになる
・他者と協力し合いながら前へ進もうという気持ちが強まる

「現在いる」あるいは「かつていた」という人が合わせて約4割。一方で、これまで「一度もいない」という人が約6割となった

ライバルの一位は「同期」

ライバルは「より優れた人間になりたい」と思わせてくれる

ライバルが現れる条件「近接性」
「距離が近い」
「能力が近い」

幸せは、「なる」ものではなく「感じる」もの。という言葉が僕は好きだ。しっくりくる。「成長」も同じ領域に持っていきたい。僕らはもっと明示的に、そんな「小さな成長」を感じ取れるようになるべきだ。きっと「小さな幸せ」と同じくらい、「小さな成長」も掴み取れる

ライバルがいることで、今までにない新しいアイデアを思いついたり、大切だと思いながらも避けてきたことに挑戦したりするようになる可能性が高まる

ライバルと年収の関係
(Resume Labによる調査)
「ライバルなし」(44,516 $)
「ポジティブなライバル関係あり」(57,324 $)
「ネガティブなライバル関係あり」(52,911 $)

野球、バスケットボール、フットボール、アイスホッケーのプロチームを対象とした研究では、ライバルと目する相手が好成績を収めた翌年、今度は自チームがより高い成績を収める傾向にあるという(Pike et al. 2018)

プロサッカーリーグの膨大な試合数を対象とした分析によると、ライバルと目されるチームとの試合では、平均より多くのイエローカードが出ていた(Kilduff et al. 2010; Kilduff et al. 2016)

「かつてライバルがいた」グループの幸福度が最も高い

—————————-

ギリシア留学中、担当教授が古代ギリシア繁栄の理由を「競争」だと説いていましたが、やはり競争って大事なんですよね。

科学的アプローチで書かれているのに、少年漫画のスポ根モノを読んでいるかのような、清々しい気分になる一冊。

ライバルがいる人もいない人も、ぜひ、読んでみてください。

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『ライバルはいるか?』金間大介・著 ダイヤモンド社

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◆目次◆

はじめに ライバルこそがあなたの人生を豊かにする
第1章 ライバルは敵か、味方か
第2章 現代からライバルが消えた理由
第3章 ライバルの真のイメージ
第4章 ライバルがいるから頑張れる
第5章 ライバルこそがあなたを成長させる
第6章 恋のライバルと戦う
第7章 ライバルの効能を科学する
第8章 ライバル意識のダークサイド
第9章 自分という最強のライバル
第10章 ライバルと手を組むとき
おわりに 「誰かと競う」ことの素晴らしき価値
本研究において参考にした先行研究・文献一覧

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