【これでバッチリ。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534061501
本日ご紹介する一冊は、P&Gのブランドマネージャー、マーケティングディレクター、ロート製薬執行役員マーケティング本部長、ロクシタン株式会社代表取締役社長グローバルエグゼクティブメンバー社外取締役戦略顧問、スマートニュース執行役員マーケティング担当などを歴任し、現在Strategy PartnersおよびWisdom Evolution Company代表取締役社長を務める西口一希氏による「N1分析」の本。
「N1分析」というのは、実在する1人の顧客を徹底的に理解し、その顧客にとっての便益と独自性を見極め、具体的なプロダクトのアイデア、訴求するコミュニケーションのアイデアを洞察するという帰納的アプローチのこと。
顧客自身も気づいていない、もしくは言語化できない、潜在的なニーズ(インサイト)を洞察し、新しい価値を創造するのが狙いです。
商品を中心に置いたマーケティングだと、ついつい顧客を「不特定多数」として捉えがちですが、「N1分析」では、まず誰か特定の1人が価値を見出すプロダクトを考え、その後、同じような人を見つけて拡大して行きます。
ここで大事なのは、「どの1人を掘り下げるのか」ということ。
本書では、「5segs」と呼ばれる顧客ピラミッドを提唱し、お客様を「ロイヤル顧客」「一般顧客」「離反顧客」「認知・未購入顧客」「未認知顧客」の5つに分類。
次に、次回購入意向(NPI)の質問を加え、NPIの高い/低いでさらに分類し、計9個に分類しています。
この中で、「N1インタビュー」を行うべきなのが、「積極ロイヤル」顧客。
認知あり、購入頻度・高で、次回購入意向(NPI)も高い顧客です。
本書では、この顧客に対しどうインタビューしていくかのヒントを示すとともに、顧客戦略を把握するための「ストラテジーマップ」を提供しています。
この「ストラテジーマップ」のステップに従ってマーケティング活動を進めていけば、マーケティングにポジティブな効果が出ること、請け合いです。
また、アサヒビールの「生ジョッキ缶」、「未来のレモンサワー」、「ドライクリスタル」、アックスヤマザキの子ども用ミシン「毛糸ミシンHug」、ニューヨークMoMAでも売れている「子育てにちょうどいいミシン」、男性向けミシンの「TOKYO OTOKOミシン」、株式会社シロクが展開する「N organic」、パナソニックコネクトのBtoBマーケティングなど、事例がとにかく面白い。
マーケターや商品開発、法人営業や経営者は、ぜひ読んでおくといいと思います。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
—————————-
そもそも、顧客は便益と独自性を見出すからこそ、対価を支払ってくださる
便益と独自性(WHAT)に、価値を感じている人(WHO)の組み合わせを複数見つけ出し、「ロイヤル顧客」として効率的に取り込むために有効な再現性のあるマーケティング施策(HOW)を考え出すことができます
デジタルマーケティングでは当たり前になっている「ABテスト」でも、Aの成果が上がったから単にAに施策を寄せるのではなく、「なぜお客様はAを選んだのか」「なぜBは選ばれなかったのか」を深く洞察することによって、Aよりはるかに成果が高いXという案が生まれる可能性が広がる
最初から大勢の人が必ず買ってくれる、必ず喜んでくれるものを考えるのではなく、誰か特定の1人が価値を見出すプロダクトを考え、その後、同じような人を見つけて拡大していく
すべての成功しているプロダクトは必ず1人のニッチからスタートしています
「ストラテジーマップ」
(1)顧客と価値を定義 WHOとWHAT(顧客戦略)
(2)WHO(潜在客)へ接触し、WHAT(便益と独自性)を提案
(3)新規(初回購入)
(4)価値の再評価(実際の使用体験)
(5)離反の復帰
(6)ブランディング(価値を記号化・強い記憶に)
以前のアサヒビールであれば、「品質が不安定な商品は出せない」と言って、そこで断念していたかもしれませんが、この生ジョッキ缶プロジェクトでは、まずお客様に試していただくことにしました。すると、缶を開けたとたんに、泡がぶわっと出てきたり、両手で包んでいるうちに泡が盛り上がってきたり、時にはそれほど泡が出なかったりするのを、むしろ面白いと喜んでくださった方がたくさんいらっしゃった
やはり小学校の授業でミシンを嫌いになってしまうという分岐点があるわけです。それなら、嫌いになってしまう前に子どもたちが楽しめるミシンをつくろう
プロダクトのコミュニケーションを「香り」中心にしてみようということになり、「精油の香りが良いスキンケア」というクリエイティブに変えたところ、販売数が大きく跳ねた
大きなマーケットで、ニッチな提案からはじめる
帰納的な「N1分析」による提案だけでは突飛に思われて組織を動かすのは難しいため、市場全体で見たときにその「N1」がどのようなポテンシャルを持ち、新しいセグメントを形成する可能性があるかを演繹的に説明できるようにする
—————————-
投資家や経営陣に納得してもらうためには「N1分析」による提案だけでは突飛に思われるから、演繹的なアプローチも入れるという話がとても勉強になりました。
好評だった前著『マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ』の読者向けに開催した、約9カ月のオンラインサロンの内容がベースとなっており、そのためかとても読みやすい内容となっています。
※参考:『マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534059833
ぜひ、読んでみてください。
———————————————–
『ビジネスの結果が変わるN1分析』西口一希・著 日本実業出版社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534061501
<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0DNF2FV3Z
———————————————–
◆目次◆
はじめに
第1章 「N1分析」とは何か
第2章 N1分析 ケーススタディ
第3章 実践 N1分析
おわりに
この書評に関連度が高い書評
この書籍に関するTwitterでのコメント
同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)
お知らせはまだありません。