【顧客が定着する「リテンションマーケティング」の勘所】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534060769
本日ご紹介する一冊は、何も言わずに去って行く顧客の本音を知り、顧客流出に歯止めをかける「リテンションマーケティング」の勘所を解説した一冊。
著者は、國學院大學経済学部教授で、リテンションマーケティングとデジタルを活用したマーケティングを主な研究領域とする、宮下雄治氏です。
大手広告代理店で消費財メーカーのプロモーション立案に従事したのち、流通のシンクタンクにて小売企業のCRM業務とプロモーションの効果測定に携わったこともあるそうで、民間企業経験者特有のセンスとデータ主義が光る内容です。
本書では、企業が頭を悩ませる「解約」がなぜ起こるのか、その主な理由と顧客満足度を測定するための6つの指標、対処法を解説しています。
顧客満足度を測定する6つの指標
・顧客期待
・知覚品質
・知覚価値
・顧客満足
・推奨意向
・ロイヤルティ
丁寧に解説された計10個の「離脱要因」を理解すれば、自社の何をテコ入れすればいいのか、ヒントが得られるはずです。
離脱要因
1.価格と価値が見合っていない
2.使い勝手が悪くストレス
3.コスパの悪さにガッカリ
4.「タイパ」の悪さにイライラ
5.失敗するかもしれない機能的リスク
6.心理的リスクの上昇
7.「ありきたりの良い体験」では物足りない
8.企業の不正・不祥事に失望
9.嫌われる「マーケティング臭」
10.消費者を欺く「ダークパターン」
昨今の消費者の傾向と、その心を掴んで成功した企業の事例が載っており、大変勉強になります。
元広告代理店の著者だけに、商品・サービスのヒット要因や、消費者心理の変化、購買行動の変化にもしっかり言及しており、「リテンションマーケティング」に限らず、マーケティング全般の参考になる内容です。
さまざまな業界・企業の「解約」の実態を知ることで、自社の改善のヒントが見えてくるのではないでしょうか。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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商品やサービスの機能的な差別化が難しくなった現在、消費者は感情的・感覚的な「体験価値」で企業やサービスを選ぶ傾向が強まりました
ストック型ビジネスでは、「売った後の顧客への支援」が利用の継続、顧客の離脱防止のカギをにぎり、これが収益を大きく左右します
ECでの買い物においてレビューを参考にしている消費者は、20代から40代では8割に近く、50代で7割強、60代が6割強
「売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる」(近江商人の商売十訓の一つ)
「幅広い品揃え」が価値を持たない時代
豊富な選択肢が購買意欲を低下させる
「コスパ」と「タイパ」に加えて、若い世代の消費傾向の特徴として挙げられるのが「リスク回避」志向です。商品選びに失敗したくないから、広告で企業がうたう効用や効果よりも、インスタグラムやXなどを通して、商品を実際に使用したユーザーのリアルな声や評価の収集・検索を念入りに行ないます
サブスクをやめる1位と2位の理由は男女ともに共通していましたが、3位と4位で違いが見られました、。男性はコンテンツやサービス自体の良し悪しを評価するのに対し、女性は「時間的」「経済的」理由を挙げています
顧客満足度を測定する6つの指標
・顧客期待 サービスを利用する際に、利用者が事前に持っている企業・ブランドの印象や期待・予想
・知覚品質 実際にサービスを利用した際に感じる、品質への評価
・知覚価値 受けたサービスの品質と価格とを対比して、利用者が感じる納得感、コストパフォーマンス
・顧客満足 利用して感じた満足の度合い
・推奨意向 利用したサービスの内容について、肯定的に人に伝えるかどうか
・ロイヤルティ 今後もそのサービスを使い続けたいか、もっと頻繁に使いたいかなどの再利用意向
「コスパ」の良さとは、単に「支払う価格」だけでなく、「買い物に出かける手間」から「商品を選ぶ手間」、さらには「メンテナンスの手間」までを含めたコストとの比較
販売を主たる目的としないショールーム型の「体験型店舗(売らない店)」が人気
すぐれた顧客体験の条件
・フレッシュ
・サプライズ
・エフォートレス
・パーソナライズ
・ソフィスティケイト
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セキュリティに問題があると指摘された某企業をはじめ、中国企業の事例が多いのが気になりますが、一部の事例を除けば、勉強になる内容です。
「リテンションマーケティング」の勘所を知りたい方、若い世代の消費行動を知りたい方にも、おすすめしたい一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
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『こうして顧客は去っていく』宮下雄治・著 日本実業出版社
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534060769
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◆目次◆
はじめに
第1章 これまでの成功法則は通用しない
第2章 顧客離脱の実態をつかむ
第3章 顧客満足のメカニズム
第4章 解約率(チャーンレート)が上がる10大要因
第5章 顧客維持戦略を強化する3大鉄則
終 章 すぐれた顧客体験がビジネスを存続させる
おわりに
参考文献・参考資料
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