2024年10月23日

『顧客の数だけ、見ればいい』小阪裕司・著 vol.6587

【中小企業のシンプルな経営】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569858082

本日ご紹介する一冊は、「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する、オラクルひと・しくみ研究所代表の小阪裕司さんによる経営書。

明日の不安から解放される、「たった一つの経営指標」として、顧客数を挙げ、その理由と事例を紹介しています。

本書の初めの方で著者は、売上、利益を目標とした経営の弊害について、こう述べています。

・「売上」ほど不安定な、はかないものはありません
・売上前年比アップを目指すと「無茶な押し込み販売」「利益度外視のセール」「来期の売上の前倒し」の誘惑が生まれる
・利益を出すための方法は、あまりに多すぎる(ネガティブなものも含め)

では、なぜ顧客数を目標にするといいのか?

それは、顧客数を増やせば、自然に会社が成長するからです。

ここで言う「顧客」とは、「リピーター」のことではありません。

著者に言わせると、単なるリピーターをいくら増やしても、それは安定的な売上にはつながらない。

なぜなら、単なるリピーターは、もっと良いサービスがあればそちらに行ってしまうからです。

本書で著者が定義する「顧客」とは、以下の3つの心の「在りよう」を持っている人のこと。

1 愛着を持っている
2 信頼を寄せている
3 共感を抱いている

そして、こういう心の「在りよう」を持っている人がいるからこそ、あなたの会社が発展し、また従業員もやりがいを持って働けるのです。

本書には、そんな「顧客」を増やし、幸せに成功している中小企業の例がたくさん出てきます。

営業時間を減らしたのに売上が上がった、新潟県五泉市の食品スーパー「エスマート」、人口減少地にも関わらず売上が伸び続けている滋賀県の「ビューティーケアつかもと」、地下鉄で30分以上かかる遠方からの顧客が8割以上を占めるジビエ料理の「あまからくまから」…。

商売って、本来こうあるべきだよね、という事例が満載で、商売のヒントが得られると同時に、幸せな気持ちになれると思います。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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彼らに不安がない理由、それは「たった一つのこと」しか見ていないからです。それこそが、「顧客の数」です

すべての施策を「いかに多く新車を売るか」から「いかに顧客を増やすか」にシフトした(ホンダカーズ仙台北)

「客数」を増やしたかったら営業時間を延ばせばいいのですが、「顧客」を増やすためには、実は営業時間は関係ありません

最初から立派なパーパスなんて作らなくていいから、とりあえず動いて、顧客数を増やしていこう。そうしたら、あとは顧客が教えてくれる

「顧客」とは、「その店に愛着と信頼と共感を持っている」から、もし近くに別の店ができてもあえてその店で買おうとするし、口コミで広めてくれたりもする

顧客が増えると、値引きもなくなる

顧客は自分の気に入っている会社や店が発展するためならば身銭を切ってもいい、と考えている

ジビエ料理店・あまからくまからでは以前、提供していたある熊肉料理のメニューに次のように記していました。まずは料理名。「これが最高の熊鍋です! 飛騨の伝説の熊撃ちが仕留めた月の輪熊入荷しました。『究極の月鍋』。加えて、次の文章が続きます。「飛騨の伝説の熊撃ちIさんは、70歳過ぎでありながら、200メートル先の的のど真ん中を打ち抜く凄腕猟師。彼独自の門外不出の熟成技術で2週間じっくり吊るしてから入荷しております。知り合いのシェフは『彼の熊で作ったスープは味が他とはまるで違う』と言います。他の料理人との奪い合いを制して入荷しております。是非この機会にお召し上がりください」

あるいは、こういう熊料理もあります。「ヒグマと月の輪熊ってどっちが美味しいの?『鍋で対決!ヒグマvs月の輪熊 熊鍋コース』」

客を捨てれば、「顧客」は増える

商売繁盛ゾーンで顧客は探さない

中小企業こそ「付加価値に全振り」すべき

ストーリーで価値を生みやすいもの「苦労話」「歴史」

防水スプレーを売ったコピー
「忘年会でビールをこぼさない自信がありますか?」

顧客を惹きつける三つの非効率
・リアルにこだわる
・技芸を使う
・祭りを行う

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ひさしぶりに小阪さんの本を読みましたが、やはりスモールビジネスはこうじゃなくちゃいけませんよね。

事例をじっくり読めば、商売のヒントも満載です。

小さくても持続可能な、幸せなスモールビジネスがしたい、そう考える人に、ぜひ読んでもらいたい一冊です。

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『顧客の数だけ、見ればいい』小阪裕司・著 PHP研究所

<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆


第1章 あなたがこれから解放される「5つの不安」
第2章 最強のKPIは「顧客数」
第3章 あなただけの「顧客」を生み出すために
第4章 「顧客の数」を増やすため、今すぐすべきこと
第5章 あえて非効率を追求すると、顧客が集まる
第6章 顧客はあなたが選んでいい
第7章 顧客数経営のカギを握るのは「人」、そして「土壌」
終 章 「幸せな安定」という選択肢

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