2024年9月6日

『あっという間に人は死ぬから』佐藤舞・著 vol.6557

【統計のプロが教える、「充実した時間」の作り方】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4046069333

本日ご紹介する一冊は、ビジネス統計学の専門家で、桜花学園大学客員教授、SNS総フォロワー数40万人超の佐藤舞(サトマイ)さんによる一冊。

「なぜわれわれは時間を浪費してしまうのか?」という、普遍的な疑問に明確な答えを示し、その解決法を述べています。

著者によると、われわれが時間を浪費してしまう理由は、以下の通り。

<私たちは、人生の3つの理(死、孤独、責任)から逃げることに時間を使っており、それが浪費の正体である>。

本書では、この現実逃避のメカニズムを説明した後(第1章)、人生の3つの理(死、孤独、責任)に向き合う方法を指南(第2章)。

さらに第3章では、自分の「本心」を掘り下げる方法を示し、第4章では、本心に従って生きる秘訣を述べています。

統計の専門家らしく、古今東西の自己啓発書やビジネス書から、理論的に怪しい説をピックアップしてアップデート。

何が人間にとって有意義な時間をもたらすのか、何が幸福感につながるのか、考察を加えています。

さまざまな名著のエッセンス、科学実験の結果、有名人の言動などから、「充実した時間」の実現法を述べており、興味深く拝読することができました。

「笑うと前向きになる」
「1万時間の法則」
「努力せずに幸せになれる」

などを信じている方は、ちょっとアップデートが必要かもしれませんね。

個人的には、「沸騰したお湯を入れて3分で美味しいカップラーメンができる」という法則は、1気圧という特定の条件で再現ができる法則、という話が気に入りました。

時間を有効に使いたい人、幸福になりたい人はもちろんですが、常識を覆したいと考える起業家にも、おすすめの内容です。

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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2分ルール
2分以内でできるタスクは何も考えず
に終わらせてしまう

タイムボクシング
1日のタスクを書き出すだけでなく、
時間割を作りましょう

時間のコントロールではなく、集中力のコントロールが大事(松尾豊教授)

人間は1日の中で、身体の動きが活発な活動と静かな活動を複数レベルに分けて自動配分しており、活発な活動は静かな活動より多く時間を使うことはできない(『データの見えざる手』)

つまらないタスクを効率的にこなせるようになったとして、それで人生は充実するだろうか?

人生の3つの理
(1)死 (2)孤独 (3)責任

人はなぜ、本命の行動ではなく代替の行動に逃げ、それを自己正当化しようとするのかというと、簡単に言えば「傷つきたくない」からです

幸福感を決定する要因としては、健康
・人間関係に次ぐ変数としては、所得
・学歴よりも「自己決定」が強い影響を与える

笑うと前向きになる、は真偽不明

「幸福を感じていない時に笑う被験者は、笑顔をつくると逆に気分が落ち込みやすくなる」(2014年 香港科技大学ムコパディヤイらの研究)

やはり、自分にウソをつくのは精神的に良くない

1万時間の法則は再現に失敗している

水の沸点は気圧によって多少変化します。ですので、「沸騰したお湯を入れて3分で美味しいカップラーメンができる」のは、1気圧という特定の条件で再現ができる法則だということ

上手くいっている人、成功している人の特徴を何か1つ挙げるとするならば、「自分に合ったことをしている」ということです

私たちは、なるべく少ない労力で楽をしたいと考えますが、実際には、これまで払ってきたコスト(時間、労力、お金)の総量が、幸福感を高める傾向があります。これを、心理学では「努力のパラドクス」といいます

心理的な苦痛を避けるためのコーピングの中でも、特に人生の質を悪化させるものが「体験の回避」

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ところどころワークを挟むので、読書の流れが阻害されるのが玉に瑕ですが、興味深い内容が書かれています。

スマホやSNS、在宅ワークのおかげで現実逃避が容易な時代、貴重な時間を浪費しないためにも、ぜひ読んでおきたいところです。

これは、おすすめの一冊です。

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『あっという間に人は死ぬから』佐藤舞・著 KADOKAWA

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4046069333

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0D9B55P6B

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◆目次◆

はじめに 心の底から「充実した時間」を取り戻すために
第1章 起 「人生の浪費」の正体を暴く
第2章 承 人生の「3つの理(死・孤独・責任)」と向き合う
第3章 転 自分の「本心」を掘り下げる
第4章 結 本心に従って行動する
あとがき
謝辞
参考文献

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