2024年8月23日

『努力は仕組み化できる』山根承子・著 vol.6547

【「続かない」人のための処方箋】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296002155

20年続いているこの「ビジネスブックマラソン」や、かれこれ7年続いている「エグゼクティブダイエット」など、人生でいくつか良い習慣を継続できたのは、大学で学んだ行動経済学の影響が大きかったように思います。

本日ご紹介する一冊は、その行動経済学によって努力を「仕組み化」する方法を、行動経済学者の山根承子さんが説いた一冊。

著者は、大学教員を経て、企業や自治体に行動経済学のコンサルティングを行うパパラカ研究所を設立した人物。

行動経済学会常任理事、一般社団法人投資信託協会の理事も務めています。

この本は、元々「日経BOOKプラス」で隔週連載していたものを、大幅加筆修正・構成変更したもののようです。

何かを成し遂げるのに、意志の力だけに頼るのはまずいと、現代人なら誰もが知っていますが、であれば、どうやって行動・継続し、目標達成すればいいのか。

本書には、そのための行動経済学的アプローチが書かれています。

フィードバックだけでなく、未来の行動に対して行うフィードフォワードも活用すること、「実行意図」(どこで、いつ、どのように行うか)を具体化しておくこと、デフォルトの力を活用すること、「EASTフレームワーク」を活用すること…。

努力を仕組み化するための、科学的アプローチがまとめられており、ある程度行動経済学について読んだ人でも、読み応えのある内容です。

最近は、努力や楽観主義についてコメントすると炎上する傾向にありますが、本書を読むと、やはり楽観主義や努力にはある程度意味があるようです。
(過度の楽観主義の弊害も書かれています)

自己啓発書やスピリチュアル本で運や引き寄せについて読んでいる人、運やコネを信じる傾向のある25~34歳の人は、「運を信じる人ほど、実は不幸になりやすい」と書かれた部分をちょっとだけ読んだ方がいいかもしれません。

どういう考え方が目標達成に役立つか、良い結果に結びつきやすいか、科学的にまとめてくれた、有用かつ読みやすい一冊です。

さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

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時間割引率の高い人は努力をしない傾向にあるといえるでしょう。なぜなら、努力の結果得られる報酬(健康な体や知識、資格など)が、「獲得までに時間がかかる」ゆえに現時点からはあまり魅力的に思えず、それよりも目先の利益(ゲームをする、飲みに行くなど)から得られる報酬のほうが大きく見えてしまうからです

努力を続けられない人ほど「努力には意志の力が必要だ」と考えている

【フィードバック】で変化を自覚させる

「目に見える」変化が人の行動を変える

フィードバックとは過去を振り返ることで得られる情報ですが、未来の行動に対して行う「フィードフォワード」も、努力の継続のために同じくらい重要

フィードフォワードとは、「その行動をどれくらいやるつもりか」を先に決めておくことで、将来の行動に影響を与えようとするもの

フィードフォワードをより詳細にしたものは、「実行意図」と呼ばれています。実行意図とは、「どこで、いつ、どのように行うか」をあらかじめ決めておくことをいいます

「今週の平日5日のうち4日は、会社帰りにジムに行こう」と決めれば、「できるだけジムに行こう」と漠然と思っているよりも、努力を継続できる可能性が上がる

様々な行動が自動化されるまでの日数を見ていくと、18日で自動化される行動もあれば254日(約8カ月)かかる行動もありましたが、中央値は66日となっていました。つまり、どんなことでも2カ月頑張ることができれば、その努力は意識せずとも自然に行えるようになっている可能性が高い

自分の内側に楽しみを見出したり、自分の力を信じたりといった、ある種「自己中心的に生きる」ことが、努力を続けるコツ

達成動機の低い人たちは、無理やり高い目標を与えられるとパフォーマンスが下がる

低所得者ほどデフォルトに従いがち

EASTフレームワーク
(1)「簡単にする」こと(Easy)
(2)「興味を引く」ようにすること(Attractive)
(3)「社会的にする」こと(Social)
(4)「タイムリーにする」こと(Timely)

「全ては運で決まる」と思っている外的統制の強い人は実際にあまり努力をしないことが、リハビリの研究で明らかになっています

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「仕組み化」の部分をもっと突っ込んで欲しい気もしますが、よくまとまった、良い本だと思います。

このベースに目標達成している人の具体例が加われば、最強のテキストになりますね。

ぜひ読んでみてください。

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『努力は仕組み化できる』山根承子・著 日経BP

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◆目次◆

はじめに
第1章 「努力」を行動経済学で考える
第1部 努力が続く仕組みを作る
第2章 「努力が勝手に続く」4つの仕組み
第3章 「努力を楽しむ」ことはできるのか?
第2部 「ナッジ」で、頑張らずに努力並の結果を得る
第4章 必要な努力が無理なく続く2つのナッジ
第3部 「努力を妨げるもの」との戦い方
第5章 「誘惑」と戦う
第6章 【努力しない言い訳】と戦う(1)「今回は、運が悪かったね」
第7章 【努力しない言い訳】と戦う(2)「(努力しなくても)何とかなるでしょ」
第8章 「環境からの悪影響」と戦う
第9章 他人からの低い評価に立ち向かう
第4部 それでも頑張れなかったときに読む2章
第10章 人はなぜ後悔するのか?
第11章 「続ける=よい」「努力=すばらしい」は本当か
おわりに
参考文献

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