2024年6月3日

『10年後に勝ち残るEC戦略』林部健二・著 vol.6490

【中小企業のECは、こう作る。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434339710

本日ご紹介する一冊は、中小企業のためのEC戦略を述べた一冊。

著者はアマゾンジャパンの立ち上げメンバーの一人で、サプライチェーン部門、テクニカルサポート部門責任者を歴任した、林部健二氏。

もちろん、土井も面識があります。

著者は、立ち上げから約10年間、アマゾンジャパンの成長に貢献し、その後、大日本印刷、ドコモが出資するオンラインベンチャー企業および大手ワイン会社にてEC部門を統括。

2014年に株式会社鶴を設立し、欧米企業のEC事業管理手法をベースに、数々の日本企業にEC事業の構築や運営などのコンサルティングを行っているようです。

EC事業の「今」を的確に捉え、今後、中小企業が取り組むべき現実的なECの構築方法を指南しています。

いきなり多額の投資をするのではなく、3ステップに分けて、段階的に進化していく、現実的な手法を説いており、これなら中小企業でもすぐ実施できると思います。

成功して規模拡大を狙う際も、無理なく次のフェーズに移行できるよう、細かいアドバイスがなされているので、本気で取り組みたい方は、じっくり読んで実践することをおすすめします。

販促用マスターデータの例や、部分的EC化の例など、EC化を実行するにあたって参考になる資料がいくつか示されているので、こちらも丁寧に参照すると、実行した際のイメージが湧くと思います。

中小企業向けだと、どうしても販促に偏った本が多いのですが、本書は、EC化に伴う業務フローの変化や、販促データの管理法など、地味ながら大事なトピックをしっかり押さえており、「EC導入・デジタル化はしたけれど、現場は大混乱」という状況がないよう、予め全体を概観することができます。

マネジメントや予算管理についても、秘訣が書かれており、ECプロジェクトの担当者、マネジャーは、読んでおくといいと思います。

さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

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DtoCとはDirect to Consumerの略で、メーカーが自ら企画、製造した商品を流通や小売を介さずに直接顧客に販売する手法です。中間業者を排することで、スピーディーにかつコストを抑えて商品を販売することができます

■SHEINの例
類まれな低価格を実現可能にしたのが「アルゴリズムを活用した小ロット生産」です。売上や顧客の閲覧行動などのデータを取り入れたアルゴリズムを用いることで、顧客の需要、いわゆる「売れる商品」をローコストで特定。そして、最初に各アイテム100着という小ロットでの生産を工場にオーダーします。毎日の販売実績は工場のシステムと連携しており、ある工場が納品したアイテムが30着売れるごとに自動的に追加の注文が入る仕組みになっています。追加発注がくり返されて「売れ筋商品」と認識されれば生産量が増やされ、反対に売れなければその時点で生産打ち切りになるのです。この生産管理方法により、SHEINの販売率は98%を記録

ついに2023年、インターネット経由での出版物の購入額が、リアル書店経由での購入額を上回った

出版社自身が本気でデジタル領域に力を入れて取り組み、成功していることが「脱・出版不況」を導いた

アマゾンに頼っていては、「消費者とより直接的で緊密な関係を築くこと」ができない

ナイキのアプリ会員数は近年アマゾンのロイヤルカスタマーであるアマゾンプライム会員数を上回っています

今後BtoB企業の多くがデジタル化を進めるにあたっては、EDIではなくECやWebEDIを導入するのが最適

■EC構築の進め方
ステップ1 既存のコーポレートサイトの見直し
ステップ2 製品・サービス情報のデータベース化
ステップ3 データベースを使用したウェブ販売

ステップ1におけるTO DO
1.コーポレートサイトの目的を考えて、サイトの構成を見直す
2.製品紹介ページを作成する
3.製品カタログをダウンロードできるようにする

自分たちが最も推している「主要製品」を中心にピックアップして、カテゴリ別で載せるのが見やすくてよい

商品の型番、仕様、価格など、カタログを作成するにあたって使用されたデータを、エクセルなどを使って整理し直していきましょう

製品画像のデータは型番名をファイル名として保存しておく

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著者は、縁の下の力持ち的ポジションで、アマゾンの成長を支えてきたキーパーソンですが、本書では、その経験・ノウハウがまとめられています。

大企業と戦わず、自社ブランドを強固に築き、しっかり顧客との絆を作っていきたい経営者に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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『10年後に勝ち残るEC戦略』林部健二・著 リチェンジ

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434339710

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◆目次◆

はじめに
CHAPTER1 デジタル統合で変わる市場--10年後の勝者は誰か
CHAPTER2 ECは現代企業の「必修科目」
CHAPTER3 EC化は3ステップで進める
CHAPTER4 事例で学ぶ! 企業が直面する課題と解決策
CHAPTER5 すべての企業を悩ます予算と人材の課題
おわりに

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