【教養としての読書・執筆術】
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本日ご紹介する一冊は、英国名門パブリックスクール専門の受験教師として、20年にわたり数百人の受験生を指導してきた著者が語る、読書・執筆の極意。
著者のジョー・ノーマン氏は、英国最古の名門パブリックスクールであるウィンチェスター・カレッジで学び、オックスフォード大学へ進学。卒業後に現在のビジネスを始めています。
教え子の約半数が英国名門パブリックスクールのなかでも最難関校と呼ばれるイートン、ウェストミンスター、ウィンチェスターに合格しており、通称スーパーチューター(The Super Tutor)と呼ばれているそうです。(原題は、The Super Tutor: The best education money can buy in seven short chapters)
本書の章構成は、以下のようになっています。
はじめに INTRODUCTION 英国エリート名門校が推奨する「役に立たない学び」
Chapter1 何を読むか
Chapter2 どう読むか
Chapter3 どう書くか
Chapter4 エッセイをどう構成するか
Chapter5 ストーリーをどう語るか
おわりに CONCLUSION 「囚人のジレンマ」を超えて
Chapter1に、英国エリート名門校の秘伝「教養のための必読リスト114冊」が紹介されているのですが、その分類の仕方が面白い。
具体的には、こんな感じでまとめられています。
ノンフィクション(原則、笑えない)
フィクション(あまり笑えない)
フィクション(笑えるかも)
フィクション(笑える)
コミックとグラフィックノベル
アジアの作家(日本版刊行にあたって付け足した)
ノンフィクションのウェブサイト
何をどのように読めばいいか、エリートが通常たどる道筋が示されており、大変興味深い内容です。
また、書き方についても示唆に富んだアドバイスがなされており、勉強になると思います。
日本では必要ないと判断したのか、原書にはあるはずの「How to understand a poem」「How to avoid common mistakes」が抜けています。(巻末に、「著者と編集部による協働作業のもと一部加筆修正」とあります)
邦訳版は読むことと書くことに絞られてはいますが、これだけでも読む価値はあると思います。
イギリスのエリートが当然のように読む教養書リスト、読書の技法、そして執筆の作法が書かれており、これはぜひ買って読みたい一冊です。
さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。
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クレーマー博士の見解では、ウィンチェスター・カレッジをほかの学校と違うものにしたのは、「役に立たない学び」であった。ウィンチェスター・カレッジの精神は、この考えに、すなわち「何かを学ばなければならないとすれば、それが面白いか、学ぶこと自体に価値があるからにほかならない」という考えに完全に基づいていた
わたしが何度も立ち戻る考え方に、「努力していないのに華麗に見える」様子や「研究が重ねられているが、一見無造作に見える」ことを意味するイタリア語「スプレッツァトゥーラ」がある
カスティリオーネが理想とするルネッサンス人は、あらゆることをそつなくこなさなければならない。特に行儀作法といった、規則を設定しにくく、習熟度を容易に判断できず、教授することもむずかしいことを身につけなければならない
ウィリアム・モリスは次のように述べている。
機能的であるとは思えないものだけでなく、美しいと感じられないものも、決して家に置かないこと
物語はわたしたちを閉じ込めている障壁を取り払い、ほかの人の驚くべき現実を少し垣間見せてくれる
クリストファー・ブッカーが考える物語の「七つの基本プロット」
1 怪物から逃れる
2 赤貧から大金持ちに
3 探求
4 旅をして帰還
5 喜劇
6 悲劇
7 再生
量より質が大事--書き過ぎてはいけない
文章を書くにあたっては、あなたの「声」を見つけるのだ。あるいは「トーン」や「声域」を見出そう。誰に話しかけるかによって、「声」は自然に変化する。「文章の声」もしかり
段落は以下の状況においてのみ、改めればよい。
1 話題を変える時
2 会話で話し手を変える時
3 時間や場所を変える時
わたしがここで示したいのは、賛成意見と反対意見を並置し、両者のあいだに論争を起こすこと以外、エッセイを書き上げるのは不可能だ、ということだ。なぜならそれが自問する質問に答えを出し、統合(融合)をもたらす唯一の方法だからだ
レトリックに頼り過ぎると、信頼が減る
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「秘伝の読書ガイド114冊」、思ったよりも読めていましたが、まだまだ読みたい本が見つかりました。
「読まなきゃ」とプレッシャーがかかる読書案内ではなく、「これは楽しそう」と思える紹介の仕方なので、ポジティブな気持ちでリストを眺めることができました。
お子さんをエリートに育てたい親にも、おすすめの内容です。
ぜひ、読んでみてください。
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『英国エリート名門校が教える最高の教養』ジョー・ノーマン・著 上杉隼人・訳 文藝春秋
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◆目次◆
はじめに INTRODUCTION 英国エリート名門校が推奨する「役に立たない学び」
Chapter1 何を読むか
Chapter2 どう読むか
Chapter3 どう書くか
Chapter4 エッセイをどう構成するか
Chapter5 ストーリーをどう語るか
おわりに CONCLUSION 「囚人のジレンマ」を超えて
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