2024年4月16日

『営業の科学』高橋浩一・著 vol.6459

【2万人調査でわかった効果的営業のすべて】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/476127722X

本日ご紹介する一冊は、営業1万人、お客様1万人の計2万人調査をもとに明らかにした、科学的営業ノウハウのバイブル本。

著者は、東京大学経済学部、外資系戦略コンサルタントを経て、営業強化支援のコンサルティング会社、TORiXを立ち上げた、高橋浩一さんです。

「お客様の本音がわからない」は、ほぼすべてのセールスパーソンの悩みだと思いますが、本書では、お客様の表面的なセリフの裏に隠された本音へのアプローチ方法を体系化してまとめています。

本書によると、「購買者の仮面」には5つのパターンがあり、それぞれ以下のようになっています。

「はぐらかしの仮面」とりあえず、まだハッキリと決まっていなくて……
「忙しさの仮面」今は忙しいので……
「いきなりの仮面」すぐに見積もりを下さい!
「とにかく安くの仮面」もっと安くなりませんか?
「検討しますの仮面」社内で検討します……

本書の3章以降では、この5つの仮面に対処し、成約を勝ち取るための質問や提案の技術を紹介しています。

1万人のお客様を調査してわかった、購買者の本音をひも解きながら解説されているので、とても納得度が高いと思います。

たとえば、第5章で解説されている、「いきなりの仮面」のお客様の場合。

「いきなりの仮面」のお客様は、時間の要請(=社内の検討締め切り)があるため、「いきなり提案内容で勝負」するのは悪手。

営業心理としては、競合に遅れを取っている分、提案内容で挽回しようと張り切ってしまうのですが、ここでの正解は、「高速ラリー」。

<話が早いということでお客様からの評価が上がってから「提案内容の勝負」に持ち込む>のが正解です。

また、調査結果によると、7割のお客様が求めるレスポンスは「最初の返答は1日」「解決するまで2日」だそうで、少なくとも最初の要望には1日未満で返事する、が正解のようです。

本書にはまた、営業マンがどんなアクションをすればちゃんと準備してきたと思うのか、お客様の目線が調査結果としてまとめられており、必要なアクションが明確になると思います。

現場を支援・教育する営業マネジャー、経営陣も読んでおくといいと思います。

長年営業支援をやってきた実力派の著者ならではの丁寧な営業アドバイスが光る、じつに読み応えのある一冊です。

さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

—————————-

本音のところで「ハズレの営業に時間を使いたくない」と思っているお客様は「今は忙しいので、まずは資料をメールで送ってください」と対応します

お客様の本音は「判断基準がよくわからない」なのですが、そんなことを営業には言えないので、「価格を安く抑えておけば、最悪の失敗はしないだろう」という気持ちから「安くしてほしい」と言いがち

BANTCH(バントチャンネル)
Budget:予算
Authority:決済者/意思決定に関わる重要人物
Needs:ニーズの詳細
Timeframe:検討スケジュール
Competitor:競合
Human Resources:社内の組織体制

「はぐらかしの仮面」を外すアプローチ
1.お客様の不安をやわらげる
2.質問に答える負担を軽減する
3.「売り込みの匂い」を消す

お客様に「メリット」を作る枕詞
「御社のビジョン実現のためにお伺いするのですが」
「フィット感のある見積もりを作るためにお伺いしたいのですが」

お客様に「コストやリスク」を発生させない枕詞
「間違いがあってはいけないのでお聞きしますが」
「後で手戻りが起こらないようにあえて伺うのですが」

「今回のご予算はいくらですか?」と聞くだけではお客様にはぐらかされそうなとき、「『この金額を超えたら検討の対象外』というのは、どのくらいですか?」と聞くやり方があります

競合状況を聞く質問
「社内で他の方が気にされているベンダーさんは、どちらの会社ですか?」

ハイパフォーマーの「引き出しの多さ」に比べ、ローパフォーマーは「傾聴」に偏ったヒアリング

『この営業担当者は事前準備をしてきている』と感じるのはどんなときですか
「こちらの質問や要望に対して、その場でスピーディーな対応がされたとき」
「前回の商談で伝えたことを漏らさず盛り込み、資料が作り込まれていたとき」
「商談の進行および時間配分がスムーズで、何のストレスも感じなかったとき」

費用対効果は、財務インパクトだけでなく「成長イメージ」「理念の実現」「負担軽減」もセットで

—————————-

お客様の本音を引き出すための「枕詞」の事例は、とりわけ有用。

「傾聴」や「御用聞き」は、どちらかというとローパフォーマーの行動、というのも面白い調査結果でした。

タイトルの『営業の科学』はダテじゃないですね。

こういう痛快なファクトが書かれた本、大好きです(笑)。

ぜひ、読んでみてください。

———————————————–

『営業の科学』高橋浩一・著 かんき出版

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/476127722X

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0CZ3LN6Y9

———————————————–
◆目次◆

はじめに
第1章 「ガンバリズムの罠」にハマってはいけない
第2章 営業における急所は「購買者の仮面」の裏にある素顔
第3章 「はぐらかしの仮面」を外すには、質問の引き出しを増やすべし
第4章 「忙しさの仮面」を外すには、価値の根拠を示す必要がある
第5章 「いきなりの仮面」を外すためには「高速ラリー」で勝負
第6章 「とにかく安くの仮面」を外すには、判断基準を作りにいくべし
第7章 「検討しますの仮面」を外す鍵は「助け舟」の出し方にあり
おわりに

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー