【シリーズ累計230万部】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166614355
本日ご紹介する一冊は、シリーズ累計230万部を突破した、『聞く力』の待望の続編。
※参考:『聞く力』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/416660841X
『聞く力』が売れたので、より売れるテーマである『話す力』を持ってきたのだろうと思ってめくったら、なんと先回りして言い訳が用意されていました(笑)。
<「なんだ、『聞く力』が売れたから、今度は『話す力』で稼ごうという魂胆ですか?」と、そんな冷ややかな目で見ないでくださいませ。>
相変わらずユーモラスかつチャーミングな文章で、エッセイ風に『話す力』が論じられており、今回もスラスラと読めました。
なかでも、日本人や日本語に関する考察が鋭く、なるほど話し方のノウハウを直接学ぶ前に、考えるべきことがあるんだな、と妙に納得しました。
「日本人は四畳半のユーモアは得意だけど、大会場ではユーモアを発揮できない」という井上ひさしの言葉、日本語は相手の様子を見る言語であるという考察は、なるほどと思いました。
とかく日本語の欠点や、現代における不便さが強調されがちですが、本書ではそんな日本語の長所と、それを生かしたコミュニケーションの美しさが論じられています。(ユーモラスに!)
著者の父、阿川弘之氏が著者にしていた日本語教育の様子も伺え、とても興味深く読むことができました。
話すノウハウを期待すると肩透かしにあいますが、著者の軽快な文章を読みながら、コミュニケーションのヒントを探ろうとする方には、良い本だと思います。
文章で飯を食おうと思っている方にも、ヒントが満載の一冊だと思います。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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「日本人は四畳半のユーモアは得意だけど、大会場ではユーモアを発揮できないんですよ」(井上ひさし)
話すべきことは相手の話の中にある
一つしか質問を用意していなかったら、一生懸命に答えを聞き、そこで受け止めた言葉から会話を広げようとします。それ以外に方法がありません。そんなふうに聞く側が語る側の気持に寄り添って話を展開していけば、語る側は自然に話を続けることができて、ついでに思いもよらない面白いエピソードがふいに姿を現すことになるかもしれないのです
スピーチで喋ることが思いつかなかったら、自分より先にスピーチをする人の話をじっくり聞いて、その中から探してみてください
合コンさしすせそ
さ……さすが!
し……知らなかった!
す……すごーい!
せ……センスいい!
そ……そうなんだ!
心の中でどれほど距離を縮めたいと願っても、その熱を少しだけ抑え、最低限、言葉遣いだけは丁寧にしようと心がける
あまり同じ接続詞を多用するのは、会話として美しくない
「ウィットに富んだ海外の小話」を頭の抽斗に二つ三つ持っていると、いざというとき活躍してくれるでしょう
「日本語の一人称は、二人称によって決まる」(鈴木孝夫)
「日本語は、肯定か否定かを、文末に決断する」(鈴木孝夫)
どんなに立派な文章書きと言われるようになっても、内心では、「こんな文章でよかったのかな」「誰も面白いと思わないかもしれない」といった不安を抱えている
平易な言葉とともに、喩えを使って説明すると、より身近になることがあります
「で、今日はなに食べる?」そうそう。このひと言は、どんなにギクシャクした会話をしていても、すっと心が軽くなり、眉間の皺がたちまち消える魔法の問いかけだと思いますね
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前作と比べると、そこまでの感動はありませんでしたが、著者のお人柄と素晴らしい文章が味わえる一冊です。
とりわけ、本を書く人にとっては、勉強になると思います。
コミュニケーションのヒントとして、また日本語への意識を高めるきっかけに、ぜひ、読んでいただきたい一冊です。
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『話す力 心をつかむ44のヒント』阿川佐和子・著 文藝春秋
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◆目次◆
ちょっと長めのまえがき
I 他人の話のなかにヒントがある
II 話し相手との距離感
III 日本語は相手の様子を見る言語
IV 上手な話と良い日本語
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