【未来の社会課題を概観する。】
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本日ご紹介する一冊は、米国ノースウェスタン大学ケロッグ校MBA、マッキンゼーのマネージャー、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン（現PwCコンサルティングStrategy&）パートナー、早稲田大学ビジネススクール客員教授を経て、武庫川女子大学経営学部教授となった著者が、2050年までの世界を読み解くため、キーとなる社会課題を解説した一冊。

タイトルが『グローバルメガトレンド10』となっているため、いわゆる「予測本」を期待する読者が多いと思いますが、著者曰く、この本は未来予測の本ではなく、あくまで社会課題とビジネスチャンスを論じたもの。

とはいえ、書かれている内容は、これからの世界のトレンドとそこに潜むビジネスチャンスを明らかにするもので、予測本に読者が期待するものと、ほぼ一致すると思われます。

目次にもあるように、紹介されている「メガトレンド」は、以下の10個。

メガトレンド１　地球温暖化と環境問題
メガトレンド２　有限な天然資源をどう活かすのか
メガトレンド３　人口問題と少子化・高齢化
メガトレンド４　移民とメガシティ化という人口移動
メガトレンド５　所得格差は解消するのか
メガトレンド６　ビジネスのグローバル化がさらに進む
メガトレンド７　国家間のパワーシフトが進む
メガトレンド８　個人へのパワーシフトが進む
メガトレンド９　ライフスタイルの多様化が進む
メガトレンド10 生産性向上と省人化

社会背景や統計データ、技術解説を交えながら、どこに課題があるのか、どこにビジネスチャンスがあるのか、興味深い解説がなされています。

エネルギー関連ビジネス、農業や食品ビジネス、都市開発やモビリティ関連ビジネス、メーカーやITビジネスの関係者やそこに投資を考える方は、ぜひ読んでおくといいと思います。

元々、若い方に向けて書かれているので、学生さんや若き起業家にとっても重宝する内容だと思います。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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現在は、光化学スモッグという言葉はほとんど聞かれなくなりました。これは自動車業界が低公害化の努力を続けたからです。1970年にアメリカでは、当時世界一厳しかったマスキー法という排出ガス規制法が発効されましたが、これを最初にクリアしたのは日本のホンダでした

企業は「儲けを最大化する」ために仕事をしているのですが、よその企業と同じことだけをしていたら、安売り競争になるだけで儲かりません。よそとは違う「役に立つ」ことができることで、大きな儲けが得られるわけです

人口問題は、数の問題と年齢構成の問題だけではありません。新興国から先進国への人口移動が起こり、移民問題を引き起こしています

2018年から2030年にかけてインドや中国を中心に新たに10か所のメガシティが登場すると予測されています

富裕層がより富裕化する一方で、貧困層の底上げは進んでいきます。「新中間層」という、年収100万円から400万円程度の層（調査機関によって定義は異なります）の人口が増え、つまり貧困層から所得を上げて「新中間層」に昇格する人が増えているとされています

国家間のパワー構造が米欧中心ではなくなっていく、とはどういうことでしょうか。民主主義的な価値観とは異なる国（中国は中国共産党の一党独裁）がパワーの一角を占めることになり、政治的に米ソのどちら側にもつかなかった国（インドなど）が経済力を強め、イスラム教徒が多数を占める国（インドネシアやトルコ）も台頭してきます。つまり、パワーの分散化が起こり、米国の地位が相対的に低下していく

日本において省人化が失業率の上昇を招くということは、実はあまり起こりそうにありません

生態系の変化の結果、農業や漁業には多大な影響が及び、赤道に近い地域での穀物の生産性が大きく低下します

世界全体では2050年までに５％くらいしか耕地面積は増えません

日本の所得に関する問題は、実は「所得格差」ではなくて、「低所得化」

サービスの多くは経験財と信用財なので、広告を見ただけでは良さはわかりません。つまり、広告を打って新規顧客を獲得することが難しいのです

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先日ご紹介した、『「働き手不足1100万人」の衝撃』と併せて読むと、この国の未来とビジネスチャンスがよく見えると思います。

『「働き手不足1100万人」の衝撃』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833425149

ぜひ、読んでみてください。

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『グローバルメガトレンド10』岸本義之・著　BOW BOOKS

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◆目次◆

はじめに
Chapter1　世界は大きな社会課題であふれている
Chapter2　社会課題こそがビジネスチャンス
Chapter3　メガトレンド１　地球温暖化と環境問題
Chapter4　メガトレンド２　有限な天然資源をどう活かすのか
Chapter5　メガトレンド３　人口問題と少子化・高齢化
Chapter6　メガトレンド４　移民とメガシティ化という人口移動
Chapter7　メガトレンド５　所得格差は解消するのか
Chapter8　メガトレンド６　ビジネスのグローバル化がさらに進む
Chapter9　メガトレンド７　国家間のパワーシフトが進む
Chapter10　メガトレンド８　個人へのパワーシフトが進む
Chapter11　メガトレンド９　ライフスタイルの多様化が進む
Chapter12　メガトレンド10 生産性向上と省人化
Chapter13　ビジネスモデルを考える
Chapter14　自分の未来を切り開くには
おわりに
参考文献