【絶望が希望に変わる本。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833425149
本日ご紹介する一冊は、2040年の日本が直面する「働き手不足」問題を、リクルートワークス研究所主任研究員の古屋星斗(ふるや・しょうと)さんとリクルートワークス研究所がレポートした一冊。
シミュレーションによると、2040年には日本全体で1100万人の働き手が不足し、生活に必要なあらゆることを、自分でやらなければならなくなると言っています。
配送やゴミの処理、災害からの復旧、道路の除雪、保育、介護などを本書では「生活維持サービス」と呼んでいますが、日本のあらゆる地域で、この生活維持サービスが提供できなくなる、そんな日が近づいているのです。
P60~62で示された47都道府県の2030年、2040年の「生活維持サービスの充足率の推移」の表は衝撃的で、2040年に充足率90%を超えているのは、東京、千葉、神奈川、埼玉、大阪、福岡の6つだけ。
その他の都道府県では、生活維持サービスの深刻な不足が顕在化することが予想されているのです。
都市部だからと言って、安心はできません。
都市のイメージが強い京都は、2040年の充足率がわずか58.6%。ワーストの新潟県(58.0%)に迫っています。
この表を見るだけでも、未来の日本がどうなるのか、予想できるのではないでしょうか。
本書では他にも、各産業で予想される人手不足の影響を示唆。企業や生活者にどんな影響があるのか、詳しく解説しています。
もちろん、悲観的な話ばかりではありません。
後半では、この深刻な働き手不足を乗り越えるための方策を4つ、指南しています。
「機械化・自動化」
「ワーキッシュアクト」
「シニアの小さな活動」
「仕事におけるムダ改革」
なかでも、娯楽や趣味・コミュニティ参加の感覚で結果的に誰かの困りごとを解決する「ワーキッシュアクト」というコンセプトが秀逸で、これからのトレンドになりそうな気がしました。
最後の方では、この働き手不足に取り組んでいる先端企業の事例をいくつか紹介しており、これからのキャリア・投資の参考になると思います。
著者らは本書を執筆するにあたり、さまざまな有識者とディスカッションしたそうですが、そのかいあってか、日本の未来が展望でき、同時に、雇用・投資のチャンスも見えてくる、読み応えのある本に仕上がっています。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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業種別の労働受給シミュレーションの結果を見てみると、2040年には介護サービス職で25.2%、ドライバー職で24.1%、建設職で22.0%が不足することがわかった
「みなが無人島に住むような」社会
最大の問題が、人が生活の維持にかける時間が増え、結果として生活に一杯いっぱいで仕事どころではなくなってしまう社会
「労働の消費者の割合が歴史上最も多い社会」を、私たちは迎えようとしている
今後シニア層の人口は2040年まで増加を続けるが、それを牽引するのは85歳以上の人口
充足率75%以下は31都道府県
島根県による「しまね女性活躍推進プラン」では島根県の女性の現状が整理されており、そこでは働く女性の割合が全国1位であること、子育て世代の女性の有業率が全国1位であることが国勢調査をベースに報告されている
「荷物が届くかどうか」が、人が住める地域を決めるように
メンテナンスが必要な道路のうち78%しか修繕できず、地方部の生活道路は穴だらけに
人手不足で相次ぐバスの減便や路線廃止
今後、平均年齢が「60代半ば」の働き手によって担われるサービスが、どんどん出現してくる
2010年から2021年までの間、日本の労働生産性は年率で+0.9%と、ほかの先進国と比較しても堅調に推移
女性の就業率はアメリカよりも高い
ワーキッシュアクトをしている人が多いのは、大都市圏居住者よりも地方居住者
リモートワークを導入している企業は、従業員の可処分時間を直接的に増やしていることになり、それはじつは労働供給制約社会において重大な社会貢献
消費者が単なる消費者でいられないのが労働供給制約社会
「働き手が神様」になる
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最近は、マーケットの好調ぶりを受けて、株関係の本が売れていますが、どんなに株式市場が好調でも、日本社会が根本から元気にならなければ、あまり意味はない。
そういう意味で、本書は、未来に確かな希望を与えてくれる一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
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『「働き手不足1100万人」の衝撃』古屋星斗、リクルートワークス研究所・著 プレジデント社
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◆目次◆
はじめに
第1章 働き手不足1100万人の衝撃
第2章 都道府県別&職種別 2040年の労働需給予測
第3章 生活維持サービスの縮小と消滅
第4章 働き手不足の最前線・地方企業の窮状
第5章 働き手不足を解消する4つの打ち手
第6章 解決策1 徹底的な機械化・自動化
第7章 解決策2 ワーキッシュアクトという選択肢
第8章 解決策3 シニアの小さな活動
第9章 解決策4 企業のムダ改革とサポート
第10章 2040年の“新しい”働き方
おわりに 発明の時代
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