【これぞ経営者の鏡】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833425173
本日ご紹介する一冊は、カカクコム、食べログ、クックパッドを成功させた、知る人ぞ知るやり手経営者、穐田誉輝(あきた・よしてる)氏の魅力と経営哲学に迫った一冊。
著者は、ノンフィクション作家の野地秩嘉(のじ・つねよし)氏です。
信頼できる経営者たちが、口々に穐田氏の話をしていたので、どんな経営者かぜひ知りたいと思っていたところに、本書が出たので、早速手に取ってみました。
本書のオビには、堀江貴文氏、松浦弥太郎氏、小山薫堂氏が推薦の辞を寄せているのですが、普段口の悪い堀江貴文さんが、穐田氏の前では襟を正すと聞いて、俄然興味を持ちました。
読んでみると、なるほど、素晴らしい経営者です。
大好きだったおばあちゃんのDNAを引き継ぎ、「人の喜ぶ顔が見たい」という気持ちで事業に取り組む。
そんな穐田氏の姿勢に、良い経営とは何か、考えさせられる、素晴らしい一冊です。
ベンチャーキャピタリストからキャリアを始めた著者の伸びる会社を見極める視点、ユーザー目線の先を見る事業構想力、周囲を幸せにしようとする姿勢、意思決定の原理原則…。
起業家、経営者なら、きっと行間から経営で大切なことを受け取るに違いありません。
「起業=自己実現」と考える経営者が多いなか、穐田氏が目指すのは、ユーザーの不便をなくすこと。
ユーザーが「あればいいな」と思っているものを提供することこそが経営と信じる穐田氏の姿勢に、経営の要諦を見ました。
著者の野地氏が、歴史や周辺情報、他のIT起業家との対比を入れながらまとめてくれているので、内容豊かな読み物に仕上がっています。
関係者の証言から、穐田氏がいかに愛され、尊敬される経営者かが伺えますね。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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穐田誉輝はカカクコムを上場させた2003年から20年もかからずに、3つの会社を上場させて、いずれも価値を高めた。その他、大株主として3社を上場させている。すべての会社の最盛期の時価総額を合わせると1兆円以上になる
社会人になっても彼は買い物を楽しんだ。会社への投資も買い物だ。だから、徹底的に調べる。数字だけでなく、経営者に面接して、どういう目的で会社をつくって経営しているのかを聞く。どれほど成長を望める企業であっても、目的が金という人間の会社は買わない。客のことを考えている人間かどうかを確かめ、ユーザーファーストの経営者であれば援助を惜しまない
穐田はインターネットをコストを低下させるためだけに使ったのではなく、草の根の一人ひとりの声を瞬時に集める効用に目を付けたのである
結局のところ、中古車買い取りビジネスのポイントは仕入れだ(中略)そして、穐田はこの仕入れの部分にインターネットを持ち込んだ
日本には起業人材、経営人材が少ないと言われる。そのための教育機関やシステムがないとも言われる。しかし、起業、経営は教師から教わったり、教科書から学んだりすることではない。現状のシステムに乗っかることでもない。逆に、現状とそのシステムを否定することから始まる
穐田氏のルール
1.ユーザーの声をサービスにつなげる
2.ユーザーのコミュニティを育てる
3.子どもたちの貴重な時間とお金を奪うゲームビジネスはやらない
4.商品設計では完璧を目指すのではなく、無限を追求する
5.組織は大きくしない。小回りの利く組織をいくつもつくる
対象を料理というジャンルだけに絞ってしまったら、社員たちの想像力に規制をかけることになる。料理の種類を増やしたり、プロのレシピを紹介するようにしたりとサービスの幅を広げることはできるが、それは誰でも考えそうなことだ、誰でも考えそうなことを実現したからといって、それはビジネスにはならない。それよりも、家計簿、育児、結婚といった料理と関係する分野へサービスを広げていくことがクックパッドの成長につながると穐田は思った
買うか買わないか迷ったら買わない
言うか言わないか迷ったら言わない
やるかやらないか迷ったらやる
(カカクコム時代に決めた言行の3原則)
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昔なら、決して表に出なかった、影の立役者の話が読めるのは、令和ならではの喜び。
経営においていかに「基本」が重要なのか、よくわかる内容です。
ぜひ、読んでみてください。
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『ユーザーファースト 穐田誉輝とくふうカンパニー』野地秩嘉・著 プレジデント社
<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆
プロローグ 20年も続くなんて、それは強運だ
CHAPTER1 現状を疑う“働く株主”ーークックパッド社長退任まで
01 匝瑳市から社会へ
02 どこに就職するか。それならベンチャーキャピタルだ
03 日本合同ファイナンスの仕事
04 中古車買い取りのジャック
05 カカクコム
06 食べログ
07 空白時代に考えたこと
08 クックパッド
09 フェルメールという買い物
10 争いの末に
CHAPTER2 ユーザーが導いてくれるからーーくふうカンパニーの立ち上げ
01 クックパッド時代の出資先を買い取る
02 くふうカンパニーの目指すもの
03 サービスの価値はユーザーを育てること
3つのエピローグ
取材協力者/参考文献
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