【昭和の常識が終わる。】
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本日ご紹介する一冊は、「草食系男子」「年の差婚」などを広めたと言われるマーケティングライター、世代・トレンド評論家、牛窪恵さんによる新刊。
『恋愛しない若者たち』の著者といえば、ピンとくる人もいるかもしれませんね。
『恋愛しない若者たち』
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衝撃的なタイトルですが、確かにデータを見れば、恋愛結婚が行き詰まっているのがよくわかります。
すっかり定着した感のあるマッチングアプリについても、結婚率の向上に寄与しているかどうか怪しいなどの見解も示されており、大変興味深い論考だと思います。
第1章は、なぜ若者が「恋愛」「結婚」しないのかの分析、第2章は、恋愛がどうやって生まれてきたのか、その歴史と検証、第3章は「恋愛常識の落とし穴」ということで、「恋愛+結婚」が構造的に抱える問題点について述べられています。(昔読んだヘレン・フ
ィッシャー『愛はなぜ終わるのか』の理論が紹介されていて、懐かしく思いました)
第4章からは、現在の恋愛結婚とコストについての論考で、選択のパラドックスの話が示された後、「婚活」の改善策が述べられています。
最終となる第5章では、著者が提唱する「共創結婚」のための24の提言が述べられており、ここは政策担当者にぜひ読んで欲しいところです。
少子化対策に向けた政府の改善案もなんだか頼りなく見える今、ぜひ議論の俎上に載せて欲しい視点が示されています。
ビジネスの人間にとっては、この「結婚」という巨大市場が今後どこに向かうのか、新しい家族の形やコミュニケーションがどうなるのか、考える上でヒントとなる内容だと思います。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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「恋愛が面倒」とする半面、結婚については「いつか結婚したい」と希望する若者が、いまも大半を占める
2022年の民間の調査で、「恋愛と結婚は別なものだと思う」の回答は、30代以下の世代ほど、そして女性ほど多く、30代女性で58.3%、20代女性で59.5%にも達していました(同・博報堂生活総合研究所調べ)
いまや男性の半数近くが女性に「経済力」を、女性の9割以上が男性に「家事・育児の能力や姿勢」を求めるようになりました
いまも女性の8割近くは「年収400万円以上」を結婚相手の最低条件だとするなど、91.6%が男性に「経済力」を求めます
最終的に、対象との1対1を目指して争う恋愛とは違い、共創感情を伴う「推し」は“競争”になりにくい
アプリで出会って結婚する人たちは、婚姻件数全体に占める割合は増えている半面、カップル(既婚者)の“数”の増加には、さほど貢献していない可能性が高い
行動経済学からみる、非合理的な婚活行動【婚活の落とし穴】
1 対象が多すぎて決められない、安易なリセット志向
2 望む条件の「高望み」傾向、条件の肥大化
3 自分だけ抜け駆けしたくない、皆でハッピーになりたい
婚活改善策(1)ーー最適停止理論を活用する
「あなたが、15歳で誰かと人生初のデートをし、40歳までに結婚相手を決めたいなら、初めの37%の期間(24歳ぐらいか?)までに出会った人とは『付き合って見るだけ』で無条件に別れ、その次に(38%以降に)出会った人の中で、それまで出会った誰よりも素敵だ(ナンバー1)と思う、最初の人を選んでください」
婚活改善策(2)ーー範囲を狭め「条件」を絞る
婚活改善策(3)ーーみずから先に告白する
そろそろ「まず男性が告白してくれないと」や、「自分より年収が高い男性とでないと(上昇婚)」といった古い既成概念を捨て、より多様な、より自由な視点で、結婚相手を探してみてもいいのではないでしょうか
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「共創結婚」という言葉が流行るかどうかは微妙な感じがしますが、現在の若者の恋愛・結婚観がよくわかる内容で、とても勉強になりました。
政策担当者はもちろん、企業のマーケティング担当もぜひ、読んでおきたい一冊です。
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『恋愛結婚の終焉』牛窪恵・著 光文社
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◆目次◆
はじめに
第1章 なぜ「恋愛」「結婚」しないのか
第2章 ロマンティック・ラブ幻想史
第3章 恋愛常識の落とし穴
第4章 恋愛結婚とコスト
第5章 経済格差と社会通念の壁ーー「共創結婚」に向けた24の提言
おわりに
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