【クライアントを良い未来に導く対話の技術。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/479932943X
コンサルタントという仕事がら、クライアントさんの話を聴くことが多く、たまに同業者の本を読むと、気づきが得られることがあります。
出版コンサルタントの仕事の9割は、相手の話を引き出し、望ましい未来に導くことなのですが、その視点から見て、本日ご紹介する一冊は、本当に勉強になりました。
本書『未来を変えるコーチング』は、コーチ・エィ取締役ファウンダーの伊藤守さんが絶賛する、対話型コーチングの実践書。
著者は、コミュニケーション科学の専門家で、10年以上にわたり対話型コーチングの研究を行ってきた、へスン・ムーン氏です。
現在、トロント大学でブリーフコーチング法を教える傍ら、トロント所在のカナダ・ブリーフコーチング・センターの代表取締役を務めており、同じくトロント所在の、大人の能力開発に従事する人材を養成する、ヒューマン・ラーニング・インスティテュートの所長も務めています。
内容は、特に奇抜なことが書かれているわけではありませんが、その傾聴の姿勢、実際の対話の技術に関しては、思わず目を見張るものがあります。
クライアントのストーリーを整理するのに便利な「リスニング・コンパス」、人生の主導権を本人に握らせる聴き方などは、特に勉強になりました。
◆リスニング・コンパス
1.望ましい未来
2.充実した過去
3.望ましくない未来
4.辛かった過去
特に、パワフルだと思ったのは、「過去のポジティブな経験」にスポットライトを当てるという考え方。
本書には実際に、このやり方で現場を変革した対話の例が出ており、企業再生にも有効なやり方だと思いました。
日本語版のタイトル『未来を変えるコーチング』は、ちょっと大げさな印象を受けますが、読んでみると決して誇張ではないのがわかると思います。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
—————————-
人は、望む結果を手に入れるための計画を詳細に練ったところで、必ずしも奮起するわけではありません。自分がなぜ、その結果を望んでいるのか気づいたときに、やる気が湧いてくるケースがほとんどなのです
コーチやトレーナーに限らず、すべての対話における聴き手の役割は、「もう少しだ!」と相手を激励し続けることではありません。対話の相手自身が、目指す方向に向かって自分がすでに実践している取り組みに気づくよう、そっといざなうのが良い聴き手なのです
対話の相手が「望ましい自分になりつつある」ことを先入観なしに信じる「ラディカル・アクセプタンス(あるがままの受容)」は、大切な人たちとの関係を修復したり固めたりするために、誰もが使える接着剤
抱えている問題ではなく、大切にしているものに関心を持とう
目的・可能性・前進のストーリーをキュレートすること
未来をポジティブに変えたい気持ちにスイッチを入れ、過去のポジティブな経験にもスポットライトをあてよう
単に違う問い方をするだけではなく、違う聴き方をするのがコーチングだ
対話は、1つの答えを決めるのではなく、選択肢を広げるのです
望ましくない慣れた行動パターンから、慣れないけれど望ましい行動パターンに変換しよう
「リスペクト(respect)」は、まさに「再び(re)」「見る(spect)」ことなのです
対話の相手の話を、不平不満だと思って聴かずに、踏みにじられた大切なものの回復を求めるストーリーとして聴いてみてはどうでしょう
例えば、五十肩に悩む年配女性を診察する医師は、五十肩の治療法を知っていても、その患者が、可愛い孫の好物の料理を作りたいから早く治したいと願っているとは、思い及ばないかもしれません。本人に聞いてみなければ、その人の生き方のロジックを知ることはできないのです
望むものを、望まないものと並べて目立たせよう
—————————-
この対話の技術を使ってクライアントさんと対話すれば、きっとこれまで見えなかった、ポジティブなエネルギーが充満すること、間違いなしです。
とかくコーチやコンサルタントは相手を恣意的に変えたがるものですが、本書のやり方は、まったく違うアプローチです。
相手や相手の過去をリスペクトするから、未来へのエネルギーが湧いてくる。
人との対話で一番大切なものに気づかせてくれる一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
———————————————–
『未来を変えるコーチング』へスン・ムーン・著 伊藤守・監修
田村加代・訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/479932943X
<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0C2TYFXM4
———————————————–
◆目次◆
良い対話が優れた力を発揮する
Already
Becoming
Care
Difference
Else
First
Good(Enough)
Hope
Instead
Just
Know
Look
Might
Notice
Opposite
Possible
Question
Recent
Suppose
Toward
Useful
Value
Wonder
X on a Scale
Yet
Zero
謝辞
資料
この書評に関連度が高い書評
この書籍に関するTwitterでのコメント
同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)
お知らせはまだありません。