2023年5月18日

『習慣と脳の科学』ラッセル・A・ポルドラック・著 神谷之康・監訳 児島修・訳 vol.6236

【これはすごい。】
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本日ご紹介する一冊は、『やり抜く力GRIT』のアンジェラ・ダックワースが絶賛する、習慣と脳の決定版科学書。

※参考:『やり抜く力GRIT』
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脳神経科学や心理学の知見の集積から、習慣を形成する脳のメカニズムを解き明かしたもので、かなり本格的な論考です。

特に第2章「脳が習慣を生み出すメカニズム」は、難解ながら必読で、これを読むと、ちまたの脳科学本や習慣本は、かなり事実を単純化して伝えていることがわかります。

脳に直接路と間接路があることや、ドーパミンがニューロンに直接興奮や抑制を引き起こすのではないこと、ニューロンにはさまざまな種類のドーパミン受容体があることなど、複雑なメカニズムが、丁寧に順を追って説明されており、仕組みがよくわかります。

そしてなぜ習慣形成が難しいのか、一度形成された悪い習慣が元に戻ってしまうのか、その理由もよくわかりました。

ウォーレン・バフェットをはじめ、多くの成功者は習慣の重要性を説きますが、それは良い習慣が、人間を半自動的に成功に導くからだと思います。

逆に、悪い習慣は人生を破壊する威力を持つので、われわれは誰しも、習慣のメカニズムを一度は学ぶべき。

本書は、その習慣のメカニズムを解説した、現時点で最高のテキストだと思います。

習慣形成や衝動のコントロール、学習などでお悩みの方はもちろん、わが子や生徒を正しい道に導きたい、すべての人におすすめの内容です。

単純化され過ぎた本のなかには、成功のための鍵は見つからない。

そうわかっている人にぜひ読んで欲しい、骨太の一冊です。

さっそく本文から、気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

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習慣には当初の目標や意図から離れていく性質がある

心の習慣もあることを忘れてはいけない

決断に影響を与える要因
「長期的な目標」「目下の欲求」「習慣」

D1型ドーパミン受容体を発現しているニューロンを刺激したところ、マウスがケージの中を歩き回る時間が増え、じっとしている時間が減った。(中略)一方、D2型受容体を発現しているニューロンを刺激すると、逆の効果が観察された。マウスはその場でじっとしている時間が長くなり、ケージの中を歩き回る時間が短くなったのである

ドーパミンニューロンが敏感なのは厳密には報酬に対してではなく、“予測とは異なる状況”に対してである

選択肢を示された正常なラットは、ほぼ確実に金網を乗り越えて大量の餌を得ようとする。だがドーパミンの働きを阻害されたラットは、努力をしなくても得られる少量の餌を選択しやすくなる

古い習慣は死なない

レバーBを押すことで報酬を得られなくなると、どのラットも再びレバーAを押し始めた

習慣が形成されると、線条体と前頭前野が協力して一連の行動の流れを個々の行動の集合ではなく一つのまとまった行動単位に変えるため、いったん開始されると途中で止めるのがとても難しくなる

薬物依存症者は、依存対象の薬物に関する視覚的な手掛かりに注意を向ける

習慣を克服するのが難しいのは、習慣化が進むにつれて、そのきっかけとなる手掛かりを無視するのが難しくなっていくから

自制心が強いと思われる人は、衝動を抑えるのが得意なのではなく、そもそも自制心を働かせる必要性を回避することが得意

現時点で、子供が肥満であるかどうかを予測するためにもっとも有効なのは、母親が肥満であるかどうかだ。母親が肥満である場合、母親が痩せている場合に比べて、子供は6倍以上の確率で肥満になる

行動変容にはシンプルなルールのほうが効果的

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最近は当たり本が続いていますが、本書はこれまでに読んだ習慣本のなかでベストの一冊です。

人生を変えたいと思うすべての人に読んで欲しい、貴重な内容です。

文句なしに「買い」の一冊ですね。

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『習慣と脳の科学』ラッセル・A・ポルドラック・著 神谷之康・監訳 児島修・訳

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◆目次◆

第I部 習慣の機械ーーなぜ人は習慣から抜け出せないのか
第1章 習慣とは何か?
第2章 脳が習慣を生み出すメカニズム
第3章 一度習慣化すれば、いつまでも続く
第4章 「私」を巡る闘い
第5章 自制心ーー人間の最大の力?
第6章 依存症ーー習慣が悪さするとき
第II部 習慣を変えるにはーー行動変容の科学
第7章 新しい行動変容の科学に向けて
第8章 成功に向けた計画ーー行動変容がうまくいくための鍵
第9章 習慣をハックするーー行動変容のための新たなツール
第10章 エピローグ
監訳者解説

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