【店頭で手に取れない本No.1】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/440865034X
本日ご紹介する一冊は、現在、店頭に出ているビジネス書のなかで、最も手に取りにくい一冊。
女子大生がオナホ(知らない人は調べてください)を売った、禁断のマーケティング手法を公開したという内容で、要はマーケティングの本です。
著者は、明治大学商学部卒の起業家、神山理子さん。
20際の時にインターン先で音楽メディアの運営責任者となり、業界No.1までグロースして売却。その後シンガポールで新規事業を立ち上げ、同事業の法人化を経て、オナホD2C(Direct to Consumer)の会社を創業したという、ユニークな経営者です。
事業の規模感がわからないため、評価が難しいのですが、これから小規模にD2Cのビジネスを手掛けたいと考える方には、商品開発やマーケティングの良いヒントになると思います。
ケースで紹介されている商品は男性向けのものですが、理屈から行けばこの手法は、女性起業家が手掛ける領域にこそ、有効かもしれません。
著者は本書の第1章で、こう述べています。
<消費者の五感で「なんとなくいいな」と漠然と売れる市場に、明確な「買う理由」を持つコンセプト力のある商品を投下することで、勝率が上がります>
男性は本来買う理由をロジカルに求め、スペックを重視する生き物なのですが、性に関してはそうじゃないんでしょうね(苦笑)。
感覚的な世界の商品・サービスは、ロジックやリサーチが弱い人が経営しているため、参入すれば、昔神田昌典さんがおっしゃっていた「羊の群れの中のオオカミ」になりやすい。
そういう意味で本書は、感性重視の業界にこそ有効な、参入手法かもしれません。
どんな内容が書かれているのか、さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。
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オナホ領域を選んだ理由の1つは、「クリエイティブで勝負が決まりやすい領域なのに、コンセプト力で参入できる余地があったから」
新規参入でも勝率をさらに高めるためには、「買う側がちょっと冒険したくなる市場」を選ぶのも重要です。大型家電などの絶対に失敗したくない大きな買い物、頻繁に買い替えるわけではない買い物は、みんな冒険を恐れて安パイを取りがちです
欲求が深ければ深いほど、顧客がその欲求を満たすために使える金額が上がり、市場規模が大きくなる
人間の三大欲求といえば「食欲」「睡眠欲」「性欲」ですが、現代ではそれに「承認欲求」の欲求レベルの高まりを感じます
「他者からの肯定に依存するより、自分で自分のご機嫌を取れるほうが、自立していて良い」という認識は、間違いなく昔よりも強くなっているでしょう
「決済者と受益者が異なる市場」も狙い目
「まだ解決されていない重大な悩み」が存在している領域を選ぶ
既存商品で争われていた商品特徴ではなく、「既存商品では盲点だった、かゆいところ」を最大の需要として捉えるべき
他社が参入しづらい領域を選ぶ
製造コストが低く、高価格帯で売りやすい領域を選ぶ
信頼できる販売チャネルが存在する領域を選ぶ
定番ブランドが存在していない領域を選ぶ
オナホ市場全体では実は「使い捨てオナホ」よりも「洗って何度も繰り返し使うオナホ」のシェアのほうが断然多いことがわかりました
既存の競合商品名と「違うパターン」でインパクトをつける
ハックをしてSEOを狙うよりも、検索結果を一覧で見たときに真っ先に目につくような商品名欄にすることのほうが何倍も重要
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インサイトを見つけるプロセスやインタビューの手法などは、一般的なものが多いですが、マーケティング実践のプロセスが面白い。
個人的に一番面白かったのは、巻頭付録の「マインドマップでインサイトを深掘る」というやつ。
事例はあくまでオナホなのですが、どう顧客の本音に迫るか、そのリアルなプロセスが書かれています。(確かに、どう捨てるかって、考えるでしょうね……)
「顧客の気持ちになれ」とはよく言いますが、実際にはそれを徹底するのは難しい。
特殊な分野の話ではありますが、勉強になる内容だと思います。
ぜひ、読んでみてください。
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『女子大生、オナホを売る。』神山理子・著 実業之日本社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/440865034X
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◆目次◆
第1章 事業領域の選定方法
第2章 成功のためのインサイト発掘方法
第3章 売れる商品コンセプトの極意
第4章 AmazonD2Cの制し方
第5章 事業の売却
おわりに
解説/事業家bot
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