【名著です。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4775941194
本日ご紹介する一冊は、発売から約10年、ずっと気になっていたのにあえて読まずにいた一冊。(土井の家には、梅酒のように、読まれるのを待っている「熟成本」のスペースがあります)
素読みして、これは自分が成熟しないと理解できないと考えたためです。
当時の自分が小説にあまり興味がなかった、というのも理由のひとつです。
原題は、『Bird by Bird: Some Instructions on Writing and Life』ということで、書き方のアドバイスであると同時に、人生のアドバイスでもある、そんな啓発的な内容です。
『Bird by Bird: Some Instructions on Writing and Life』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0385480016
著者のアン・ラモット(Anne Lamott)さんは、プロの小説家、ノンフィクション作家で、全米各地でライティングを教える教師。
2023年5月現在、彼女のフォロワーはFacebookで67万人、Twitterで25万人もいます。
本書は、そんなライティングのカリスマ教師が書いた、書くことの心構え、技術と、書くことに伴うさまざまな心理的困難への対処法。
書きたい人にとっては、10万円払っても惜しくないほど貴重なアドバイスが述べられていますが、そうでない人にとっても、起業やクリエイティブの参考になると思います。
プロの書き手が書いているだけに、当然文章は面白く、また人生訓としても心に沁みます。
引用されているジョン・ガードナーの、「作家は、夢を創造し、そこに読者を招き入れる。だが、その夢はいきいきとして途切れることなく流れる夢でなければならない」という言葉は、起業家にとっても示唆に富む言葉だと思います。
本当に、約10年、待って読んで本当に良かったと思える、珠玉の一冊でした。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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もの書きという職業の取り柄は、何をするか、どこへ行くか、何を見るかを自分で決められるところ。もうひとつは、ものを書こうとすると人生をじっくり観察するようになることだ
内気なタイプが多い作家なら、自宅から一歩も出なくても人の目を引ける
金持ちや有名人になりたいと思う人もいるだろうけど、私の友だちも私も「本物」になりたいと思っていた。私たちは「深く」なりたいと思っていた
父はいつも言っていた。「しばらくは必ず毎日書いてごらん。ピアノの音階練習をするみたいに。それを自分に誓うこと。借用書を書くみたいにね。それと必ず最後まで書き上げるということも誓うんだ」
良い文章とは真実を語る文章
まずは子ども時代のことを書き起こそう
冷凍庫から出して解凍しなきゃいけない食材、何かの予約やキャンセルしなきゃいけない用事、むだ毛の処理など、“いますぐやるべきことリスト”が気になってくるかもしれない。けれど、空想上の拳銃を自分で自分の頭につきつけてでも、机の前は絶対に離れないこと
あなたは目を上げて窓の外をもう一度眺める。そして、机の上を指でとんとんと叩きはじめる。そうだ、最初の三ページ分はもうどうでもいい。ボツにしてしまおう。その三ページは、この四ページ目にたどりつくために書く必要があったのだ
本は、自分とはいったい何者なのか、どうふるまえばいいかを理解する拠りどころでもあるの。社会とは何か、友情とは何を意味するのか、私たちはどのように生き、そして死ぬべきかを教えてくれる
一流の作品も、たいていは最初の悲惨な努力からはじまるものなの
キャラクターが何を世界でいちばん大事だと思っているのか、それを見つけ出すことね。そこから、いま、物語の中で何が危険にさらされているかがわかる
物語の舞台となる部屋はその部屋の持ち主の価値観や人間性を見せる陳列棚
あなたにものを書きたいと思わせ、あなたがワクワクして読んだ、ほかの多くの作家に向けて本を書いてほしい
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日本とアメリカの違いは、エージェントは必ずしも必要ではないことと、発売前に書評はまず出ないこと。
この辺を差し引いて読めば、大体日本の出版でも当てはまる内容だと思います。
最近、弟子が小説家に転向するという宣言をしていましたが、彼女のように、これから小説を執筆したい人には、必読の一冊です。
書くことには興味はないけれど、何か行き詰まりを感じる、歩みが遅くて嫌になる、という人には、前に進む力とインスピレーションを与えてくれる一冊だと思います。
ぜひ読んでみてください。
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『ひとつずつ、ひとつずつ 「書く」ことで人は癒される』
アン・ラモット・著 森尚子・訳 パンローリング
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4775941194
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00HFSEJ3E
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◆目次◆
献辞
謝辞
はじめにーー私の講座を受ける前に
第1章 書くということ
第2章 作家の心理
第3章 助け合う
第4章 本を書く理由
第5章 最後の授業
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