【売れてます。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334953166
人間の思考に影響を与える道具は、数多くあると思いますが、経営においては、とりわけ数字の力が大きいと思っています。
統計の読み方がわかる人は、「平均」が作り出す印象に騙されないでしょうし、ファイナンスがわかる人は、現在の見た目のお化粧に騙されなくなる。
本日ご紹介する一冊は、われわれビジネスパーソンが、「良い経営」とは何かを理解するための、手段・思想としてのファイナンスの本です。
著者の石野雄一さんは、銀行、MBAを経て、日産自動車の財務部にてキャッシュマネジメント、リスクマネジメントを担当していた人物で、実務家目線のファイナンス解説で定評のある方。
2022年に改訂版が出た、『道具としてのファイナンス』がロングセラーとなっています。
※参考:『道具としてのファイナンス』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534059353
本書『超ざっくり分かるファイナンス』では、ファイナンスの初学者向けに、会計とファイナンスの違いや、ファイナンスをどう経営や投資の意思決定に役立てるか、基本となる理論や指標などが書かれています。
超入門から入っているのに、会計、ファイナンス、投資、経営の勘所がばっちり押さえられ、かつ良い経営とは何か、深いところまで考えさせられる、とても良い本です。
読んでみて、日本の経営者やビジネスパーソンはまだまだ会計思考だから未来が作り出せていないんだなということがよくわかりました。
多少数式が出てきますが、この180ページの薄い本を読むだけでファイナンスの大事なところがばっちり理解できると思えば、少し頑張る価値はあると思います(中学校の算数程度です)。
著者が丁寧かつしつこい(?)ためか、演習などでばっちりわかるまで鍛えられるのが、本書のいいところですね。(ビジネスにはこういう先生が必要だと思います)
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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会計は「利益」を扱い、ファイナンスは「キャッシュ(現金)」を扱う
ファイナンスは「未来」の数字、すなわち企業が将来生み出すキャッシュフローを扱います
経営者は常に「未来」のために「現在」何をするのかが問われている
将来のためにと、過大な投資をすることは避けねばなりません。しかしその一方で、目先のキャッシュの増加にこだわるあまりに、企業の存続を犠牲にするのもまずいのです
かつて私が勤めていた日産の財務部は、当時のムロンゲCFO(最高財務責任者)に、販売代理店の回収期間ランキングを毎月レポートしていました
「営業活動によるキャッシュフロー」と「投資活動によるキャッシュフロー」とを足してマイナス表示になるようなら、それはすなわち資金を調達する必要があるということ
フリーキャッシュフローが2期連続マイナスになるのは危険
株価を上昇させることで株主に報いる、という視点がおろそかになりがち
企業の経営者は、どうしても負債コストばかりに目が行きがちです。それはなぜかというと、負債コストは損益計算書上の営業外費用のところに支払利息として表れてくるから
あなたが投資家だとして、「うちの会社、増収増益なんですよ」と自信満々に口にする経営者を前にしたとき、「おたくの会社はWACCをいくらぐらいと想定されていますか?」と、ちょっといじわるな質問をしてみてください。「えっ、WACCってナンですか?」という答えが返ってきたら、これは問題です。こういう経営者は、会社が「儲けているか、いないか」ということを会計上における利益の増減だけで考えているおそれがあります
「WACCを下げる」ことこそが、IRのミッション
事業価値を高める方法
フリーキャッシュフローを極大化して、割引率であるWACCをできるだけ下げること
運転資本が増えると、フリーキャッシュフローが減少する。これは、事業価値の減少につながります
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経営者の使命とは、「WACCより高いROICを上げるということ」。
事業価値を高めるには、「フリーキャッシュフローを極大化して、割引率であるWACCをできるだけ下げること」。
これを知っただけでも、読む価値がありました。
損益計算書目線で、もっと言えば会計目線だけで経営をしている経営者には、刺さる一冊だと思います。
日本の経営力、投資力向上のために、全ビジネスパーソンに読んでいただきたい一冊です。
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『超ざっくり分かるファイナンス』石野雄一・著 光文社
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◆目次◆
1時間目 これが「会計とファイナンスの違い」です
2時間目 これが「ファイナンスの基本」です
3時間目 これが「お金の時間価値」です
4時間目 これが「企業価値」です
5時間目 これが「投資判断の考え方」です
6時間目 これが「お金の借り方・返し方」です
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