【プロの情報リテラシー】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4495541315
本日ご紹介する一冊は、日本テレビ「news every.」前統括プロデューサーの大野伸さんが、フェイクニュース時代の情報リテラシーを述べた一冊。
藤井貴彦キャスターの発信を一番近くで見守ってきた番組制作責任者が書いた本、といえばピンとくる人が多いかもしれませんね。
土井がSFC(慶應湘南藤沢キャンパス)に入学した時には、学校で正式に情報リテラシーの講義がありましたが、ああいう教育って、今はどこかでやっておいた方がいいと思います。
とはいえ、本書で述べられているように、例えば国際ロマンス詐欺から個人情報を守る教育は、学校で教えるのも倫理上難しいでしょうし、企業がやるのも何か違和感がある。
かといって、個人がお金を払ってまでこのテーマでセミナーを受けるかというとそうでもないですし、難しい領域なんですよね。
本書は、この情報リテラシーについて、情報のプロがどうやって怪しい情報をジャッジしているのか、具体例を交えながら解説した一冊。
フェイクニュースを見破る「E.S.C.A.P.E.」の法則や、著者が中国人女性を名乗る怪しいDMが来た際、どうやってメッセージを返したかなどは、とても参考になると思います。
また、情報発信のプロとして、どうインプット/アウトプットしているか、という点も勉強になります。
ぜひ読んでご自分の情報のインプット/アウトプットの参考になさるとともに、高齢者やお子さんにも伝えてあげてください。
こういう本を、高校生、大学生の時点で読むようになると、スマホを持たせても安心なんですけどね…。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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ネット検索のみで情報を取得している点の危うさ
1.出典となる媒体名を意識せずに読んでしまう人がいる
2.自分の関心のある記事しか検索をしなくなる
3.見出しのインパクトに影響されやすい
書き言葉でも話し言葉でも30秒に満たない長さで伝えることが重要なコミュニケーション能力となっている
「ワンフレーズ」で世界は変わらない
生徒たちと議論してまとめた「怪しいメールの見破り方」
1.翻訳機能ニュアンスには要注意
2.権威をたくさん出してくるメールには要注意
3.常識でおかしいことがある
フェイクニュースを見破る「E.S.C.A.P.E.」(かつてワシントンD.C.にあった「NEWSEUM」で挙げられていた合言葉)
E:EVIDENCE 証拠
S:SOURCE 情報源
C:CONTEXT 文脈
A:AUDIENCE 読者
P:PURPOSE 目的
E:EXECUTION 完成度
「news every.」で報道する際には「トイレットペーパーがなくなった店頭の映像」と合わせて必ず「メーカーの倉庫にはこれだけ在庫があり、これだけ生産を拡大している」という映像と「国内で製造をしている」という情報を盛り込んで伝えるようにした。さらには「店頭で予想よりも急ピッチで売れてしまうと物流が追いつかない」という背景も盛り込むなど、丁寧に事実を、かつ誤解を防ぐように報道しようとスタッフに指示をした
自分の目で見たことはだまされない
映像からの矛盾を見出し真贋確認する術
1.言葉の内容と表情や口の動きが一致しているのか
2.影の入り方に不自然がないか
3.リアルに撮影されすぎているもの
多角的な考え方、異なる立場の人の見方を踏まえて発信をしなければ炎上をしてしまう
発信時のルールを考える
1.感情に任せて発信してはいけない
2.発信は将来まで取り消せないことを考える
3.下から入る。自慢にはオチをつける
4.ストーカーに気をつける
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単にノウハウ書ではなく、情報の意義を学んだり、情報を通じて人間やコミュニケーションそのものについて考えるきっかけとなる書だと思います。
マスメディア志望の方、これから社会人になる学生さんには、特に読んで欲しい内容だと思いました。
ぜひ読んでみてください。
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『情報洪水時代の歩き方』大野伸・著 同文舘出版
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◆目次◆
1章 情報洪水時代を生きる私たち
2章 情報洪水時代を生きるメディア
3章 フェイクニュースとの戦い
4章 情報リテラシーを高める
5章 情報を活用し豊かに生きるために
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