2023年2月21日

『完全無欠の問題解決』チャールズ・コン、ロバート・マクリーン・著 吉良直人・訳 vol.6181

【マッキンゼー伝説の社内資料】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447811224X

本日ご紹介する一冊は、世界トップクラスのコンサルティング会社、マッキンゼーで最も読まれたという「伝説の社内資料」を書籍化した、注目の一冊。

マッキンゼーの名誉会長、ドミニク・バートン、グーグル元CEOのエリック・シュミットがともに絶賛する、問題解決の手引き書です。

原題は、『Bulletproof Problem Solving』ですが、この「bulletproof」(完全無欠)というのは、どこから攻撃を受けても守れる、という意味で、マッキンゼーでは問題解決における最上級の褒め言葉だそうです。

元々の文書は、「完全無欠の問題解決への7つの簡単なステップ」というものだったそうで、本書でもこの7つのステップが示され、その詳細が解説されています。

ステップ1 問題定義
ステップ2 問題分解
ステップ3 優先順位付け
ステップ4 作業計画
ステップ5 分析
ステップ6 統合
ステップ7 ストーリー伝達

これだけだとわかりにくいので、問いの形で、この7ステップを取り上げた部分を紹介しましょう。

1 意思決定者のニーズを満たすために、どのような問題を的確に定義するか?
2 どのように問題をばらばらに分解し、検討すべき仮説を立てるか?
3 やるべきこと、やるべきでないことの優先順位をどのようにつけるか?
4 どのように作業計画を策定し、分析作業を割り当てるか?
5 認知バイアスを避けながら、どのように問題を解決するための事実収集と分析を決めるか?
6 洞察を引き出すために、どのように調査結果を統合するか?
7 どのように説得力のある形で伝えるか?

本書では、このそれぞれのステップをマッキンゼーのコンサルタントがどう進めていくのか、ケーススタディを交えながら解説しています。

ビジネスでよくある意思決定の場面や社会問題の解決、個人の問題の解決にこの手法がどう使えるか、かなり具体的にイメージできると思います。

優れた問題定義文のポイントや変数を発見するプロセス、競合分析、分析の近道として機能する11のヒューリスティックスなど、問題解決に使えそうなアイデアが数多く散りばめられており、コンサルタント、経営者、戦略立案に携わる人には、重宝する内容だと思います。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

—————————-

落とし穴とよくある失敗
1 問題定義文があいまいなまま分析に入る
2 過去の経験のみに基づいて解決策を断言する
3 問題を細かく分解しない
4 チームの構造や規範を軽視している
5 分析ツールが不完全
6 分析結果と、行動を促すストーリーとを結びつけない
7 問題解決のプロセスを反復しない

優れた問題定義文の6つの特徴
1 成果に焦点を当てていること
2 可能なかぎり具体的で測定可能であること
3 明確な時間的制約が設定されていること
4 意思決定者の価値観や境界線(求められる精度や希望の規模など)に明確に対処するように設計されていること
5 創造性や予期しない結果に対して十分な余地を許容するよう構造化されていること
6 可能なかぎり高いレベルで解決すること

ROIC(投下資本利益率)の比較でビジネスモデルの違いが浮き彫りになる

最高の問題解決チームが持っている3つの共通点
共通点1 状況によって階層構造が柔軟に変わる
共通点2 チームプロセスについて3つの規範を持っている
規範1 仮説主導的・最終成果物指向的
規範2 仮説とデータの間を頻繁に行き来する
規範3 画期的な考え方を求める
共通点3 バイアスや誤りを回避するための備えがある

分析の近道として機能する11のヒューリスティックス
1 オッカムの剃刀(前提とする仮定が最も少ない仮説を選択しなさい)
2 「大きさの程度」分析
3 パレートの法則
4 複利の成長率
5 S字曲線
6 期待値
7 ベイジアン思考(あるイベントが起こったときにそのイベントがどのような確率で起こるか。事前確率)
8 類推による推論
9 損益分岐点
10 限界分析
11 結果の分布

不確実性に対処するための6つの行動
1 情報の購入
2 ヘッジ
3 低コストの戦略オプション
4 保険の購入
5 悔いのない手段
6 大きな賭け

—————————-

問題解決のためのメソッドを体系化し、ケーススタディを通して応用トレーニングまでやってしまおうという、贅沢なコンセプトの一冊です。

コンサルタントとして、クライアント企業の問題解決を担当する人は、読んでおいて損はないと思います。

ぜひ、読んでみてください。

———————————————–

『完全無欠の問題解決』チャールズ・コン、ロバート・マクリーン・著 吉良直人・訳 ダイヤモンド社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447811224X

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B09B9JTSMF

———————————————–
◆目次◆

序文 あらゆる問題に使える完全無欠の問題解決メソッド
はじめに 大学生から経営者まで使える「完全無欠の問題解決」ガイド
第1章 「完全無欠の問題解決」をマスターする
第2章 問題を定義する
第3章 問題を分解し、優先順位を付ける
第4章 作業計画を立てる
第5章 「経験則」で問題をざっと分析する
第6章 「奥の手」で問題を深く分析する
第7章 結果をまとめ、ストーリーで伝える
第8章 不確実性に対処する
第9章 「厄介な問題」を解決する
第10章 優れた問題解決者になる
補講 独学者のための問題解決ワークシート

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー