【人生の意思決定の参考に。】
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本日ご紹介する一冊は、意思決定やリスクマネジメントを専門とする著者が、人生で使える「リアルオプション」の考え方を提示した一冊。

前半は、著者の人生経験をもとに語られた意思決定のヒントで、仕事やプライベートに役立つ、自己啓発的な内容です。

後半には、「東大集中講義」と題して、意思決定とリアルオプションの基礎理論がまとめられています。

不確実な状況下で、どんな考えを持って生きれば成功や幸福につながるのか、示唆に富んだ内容となっています。

読者が将来への漠然とした不安を抱えていたり、現在、意思決定しなければいけないことがあって悩んでいるなら、本書はきっと役に立つと思います。

「行動の柔軟性」や、潜在性のあるベクトルに目を向けること、決めつけないことなど、人生に奇跡を起こすちょっとした考え方が示されており、楽しく読むことができました。

後半は若干専門的になりますが、投資や事業などでリアルオプションを必要とする方が読めば、参考になると思います。

どうすれば取引のリスクを最小化できるのか、どうすれば後悔しない意思決定ができるのか、専門家の視点が光る内容です。

黒地に白抜き文字で書かれた、著者の半生の告白（「あとがき」）も、楽しく読ませていただきました。

著者が書いているように、世の中が多様になれば、正解の数も増える。

そんな時代の答えの見つけ方として、役立つ本だと思います。

こういう味のある講義って、いいですよね。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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状況が不確実なとき、行動の柔軟性を保つことは、将来を拓く鍵である

古い考えや常識にとらわれない。それよりもむしろ、潜在性のあるベクトル（方向）に目をむける。潜在性のない明日は、おもしろくない

一つの考え方として、婚約して同居してみる。相性の良し悪しは一緒に暮らしてみないとわからない。結婚を本契約とすれば、婚約は結婚という権利を手にした仮契約である。婚約は期限を決めて区切りをつける。そして、契約なのだから違約金も設定しておく

何かを選んだときにすぐに得られるような利得のことを「本源的価値」、その決定によって後から生じるものを「派生的価値」という。意思決定には、長期的に見れば、派生的価値のほうが大きいのではないかと思えるようなものがある

食事をすれば気が変わるかもしれない。デザートを食事の前に注文する必要はないのだ

成果も出ない初志にこだわらない

完璧ではなく最善を目指す。完璧ではなくても、最低ラインを満たせば合格だ

リスクは回避するだけでなく、他に転嫁したり、分散したりすることもできる。たとえば、人との協力はお互いが得意なものを持ち寄るリスク分散である

不確実性が大きいときに、リスクをうまく処理するようなオプションが多ければ多いほど、リスクはチャンスとなる。極端な話をすれば、自分にしかできないことなら一人勝ちできる

一番やってはいけないことは、自分を人と比べることである。それよりも、持っているものを前提として、活かしたほうがいい

やってもいない不可能は、まだ不可能になっていない

NPVは特定のシナリオに基づく分析手法であり、将来の事業環境が大きく変化するような不確実性の下では最適とはいいがたい

市場のメカニズムが十分に機能しないような投資においては、個別リスクを無視することができなくなる

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人生や事業、投資の後悔を最小にするためには、選択の技術（＝意思決定）について、しっかりと学んでおいた方がいい。

本書は、リアルオプションの視点から、意思決定の正解に迫った一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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『人生のリアルオプション』湊隆幸・著 中央経済社

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◆目次◆

第I章　明日できることを今日やるな
第II章　欲の最大化より後悔の最小化
第III章　リアルオプションの理論と実践
たった80字の基礎知識