【没後45周年】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447939396X
今年はチャップリン没後45周年ということで、『フォーエバー・チャップリン チャールズ・チャップリン映画祭』というのが全国の映画館で上映されるようですね。
本日ご紹介する一冊は、そのチャップリンをビジネス教養としてまとめた一冊。
著者の大野裕之さんは、脚本家、演出家、映画プロデューサーで、日本チャップリン協会の会長を務める方のようです。
本書では、チャップリンの生い立ちから、彼が世界的エンターテイナーになったきっかけ、チャップリン映画の紹介、チャップリンから学ぶ成功の秘訣や人生訓がまとめられています。
チャップリンが生きた時代の社会背景や、エンターテインメントの歴史、チャップリンが予知していた未来なども紹介されており、まさに教養本です。
新しいものが生まれなくなった時代に、どうすれば新しいものを生み出せるのか、実例からヒントを学ぶ、そんな作品です。
社会の蓄積が増え、アーカイブ文化になり、古いものが目新しくなると、新しいものが取り入れられなくなる…。
先日ご紹介した『世界を変えた10のトマト』に、そんな話が紹介されていましたが、そんな時代に生きるわれわれだからこそ、本書はぜひ読んでおきたい一冊です。
※参考:『世界を変えた10のトマト』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4791775066
本文のなかから、さっそく気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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人が生きて行くためには、衣食住と同じぐらい<笑い>が必要なものだということを、チャップリンは幼少期に身をもって知った
キーストン社から提示された週給150ドルと言えば、カーノー劇団の二倍のサラリーだったので、今すぐにも飛びつきたい話でした。でも、はやるところを抑えて、「週給200ドル以下では無理ですね」と言ってみたのが、チャップリンらしいところです。極貧を体験しているせいか、抜け目ない金銭感覚を持ち合わせていたのです
「僕は、公園と警官とかわい子ちゃんさえあれば、コメディを作れます」
本質に関係のないものは捨てること
チャップリン映画の特色は何といっても、<笑い>だけでなく<涙>の要素も入れた点にありますが、それでいてお涙頂戴の俗悪な代物にならないのは、常にある種の残酷さが作品の底に冷たく流れているから
矛盾するようだが、コメディーの制作では、悲劇がかえって笑いの精神を刺激してくれる。おそらく、笑い飛ばすという行為が反逆精神を示すからだろう。(『自伝』)
チャップリンは最新技術を完全に自分のものにして、意味のある使い方ができるようになるまでは取り入れず、どうしても必要なものに対してのみ使った
「私たちはみんなアマチュアです。それ以外になる前に死んでしまうのです」
ーー『ライムライト』
今ではネット上で、本質と何の関係もないささいな事柄やハプニングが突如話題になって「炎上」し、商品が売れたり逆にタレントが廃業に追い込まれたりすることがあります。それを狙った「炎上商法」まであります。シャドフ国王の咳でCMがバズって商品が大ヒットしたこのシーンで、チャップリンは史上初めて「炎上」を描いたことになります
「愛されない者だけが憎むのだ。愛されない者と血の通わぬ者だけが」ーー『独裁者』結びの演説
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イノベーターとしてのチャップリンを見て行くと、今の時代に新しいものを生み出すヒントが見えてきます。
皮肉なのは、本書を読むべき若い世代が、おそらくそこまでチャップリンを知らないこと。
本書および映画が成功して、チャップリンが若い人にも再評価されるようになることを切に望みます。
ぜひ読んでみてください。
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『教養としてのチャップリン』大野裕之・著 大和書房
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◆目次◆
第1章 チャップリンの作り方!
第2章 謎解きチャップリン映画
第3章 チャップリンから学ぶビジネス
第4章 チャップリンが予知していた未来
第5章 チャップリンvsヒトラー武器としての笑い
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