【これは必読。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022518316
本日ご紹介する一冊は、世界中のマーケターが愛読し、徹底したエビデンスとファクトベースで切り込む名著『ブランディングの科学』シリーズの第3弾。
本書『ブランディングの科学 独自のブランド資産構築篇』は、南オーストラリア大学アレンバーグ・バス研究所の研究者3人、ジェニー・ロマニウク、エラ・ウォード、ウィリアム・カルーソがまとめた、シリーズの完成版ともいうべき一冊です。
なかでもジェニー・ロマニウクは、本書のテーマである独自のブランド資産とメンタルアベイラビリティ戦略のパイオニアとも言うべき人物。
本書でも、研究・調査に基づいた最新のブランディングの知見を披露しており、マーケターは見逃せない内容です。
企業経営者がどうすれば競合に勝てるか、ユーチューバーがどうすればライバルよりも目立てるか、具体的な方策が示されており、これは実践的な内容です。
なかでも重要なのは、101ページで示されている、購買環境で使えるブランド資産の一覧。
イメージ画像(人物/キャラクター、形状、ロゴ、含有成分)、ワード(ワーディング、フォント)、ラベル(装飾模様、形状、囲み枠)、カラー(単色、色の組み合わせ、配色パターン)、クロージャー(密封の種類、密封の位置、飾り付け)、形状(パッケージ形状、サイズ、基盤、エンボス加工)は、眺めているだけで、自社に足りないところは何か、一目瞭然です。
ブランドを築こうと思うと、つい「目立つ」「時流に乗る」「変える」ことに注力してしまいますが、本書では、ブランドが長期で成功するための科学的なアプローチを示しており、何を調査すればいいのか、何をどう努力すればいいのかが見える化します。
メディアが多様化し、オンライン店舗が広がることによって生じたブランディングの問題点もしっかり押さえており、現実に売上を伸ばしたい企業にとって重宝する内容です。
今のマーケティングに何の要素を加味すれば、オンライン、オフライン両方で他社と差別化できるのか、重要なヒントが得られる一冊だと思います。
本文のなかから、さっそく気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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記憶を引き出す可能性を押し上げているものはフレッシュネス(新鮮さ)とコンシステンシー(一貫性)だ
複数のモードを連動させる例は他にもある。音楽がその良い例だ。音楽でブランドのシグナルを発しつつ、映像ではブランドの新しい使い方をデモンストレーションする。またはスポークスパーソンがブランドを説明するメッセージを言葉で伝える。このようなフレキシビリティがあって、ブランディングの機会の可能性が広がり、その結果、広告の中に残されるブランドの足跡が増え、広告されたブランドを人々が正しく認識しやすくなる
CEP(カテゴリーエントリーポイント)を発見するためには、ブランドそのものに目を向けるよりも、カテゴリー購買客を含めたユーザーのブランドにまつわる体験を調査する必要がある
独自のブランド資産を訴えている広告は、ブランド名を訴えている広告よりも広告認知率が高かった
もしブランドがカラー資産を持っていれば、その色を卓越した特徴にできないかを考えよう。もしブランドがタグライン資産を持っていれば、音声面を強化して記憶の定着率を高めよう
色という回答がもっとも多い主な理由は、人が何かに注意を向けているのではなくただ漫然と周囲に目をやっているだけのときは、色が人の目が取り込む唯一の情報だからだ
パッケージにデザインしたキャラクターは、わずか4%しかテストされなかったが、知名度も独自性も2位に10%の差をつけてもっとも高かった。これはそもそも使用例が少ないことと、第2章でも言及したように人は顔に無意識のうちに引きつけられることの2つの要因が相まって起きたことに起因する
2つの重要なメトリックス=知名度と独自性
ブランド資産の独自性を構築するためには、ブランド資産のリンクが存在していない<空白の脳>がどれだけあるかだ
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専門用語や難解な言い回しがあり、読みやすいとは言えない本ですが、じっくり読めば、驚くほどの気づきがあります。
本気でブランド資産構築に取り組みたい方が読めば、他者と差別化するためにまだ活用されていないブランド資産に気づくでしょうし、ブランドを守りつつ新たな展開をしたい老舗企業や大企業の経営者が読めば、何を変え、何を変えてはいけないか、大事なポイントがわかります。
安易に「ブランディングのプロ」に頼む前に、経営者自らが読んでおくと良い本です。
ぜひ、読んでみてください。
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『ブランディングの科学 独自のブランド資産構築篇』ジェニー・ロマニウク・著
前平謙二・訳 加藤巧・監訳 朝日新聞出版
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◆目次◆
謝辞
序文
筆者紹介
序章
第1章 ブランドアイデンティティの7つの重罪
第2章 独自のブランド資産の構築
第3章 独自のブランド資産の重要性
第4章 独自のブランド資産でメンタルアベイラビリティを構築する
第5章 独自のブランド資産でフィジカルアベイラビリティを構築する
第6章 独自のブランド資産を他のサブブランドやカテゴリーに応用する
第7章 独自のブランド資産を持つことの意義
第8章 独自のブランド資産の価値を測る
第9章 知名度ーーもっとも重要なメトリックス
第10章 独自性ーーもっとも重要なメトリックス
第11章 独自のブランド資産構築の戦略を策定する
第12章 独自のブランド資産のタイプ
第13章 カラー資産を構築する
第14章 形状資産とストーリー資産
第15章 ブランドの顔ーーセレブリティ、スポークスパーソン、キャラクター
第16章 言葉を使ったブランド資産
第17章 サウンド戦略の構築
第18章 独自のブランド資産管理システムの作成
第19章 独自のブランド資産構築の<四戒>
最終章
脚注
参考文献
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