【「話し合い」はスキルである】
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本日ご紹介する一冊は、人材開発・組織開発の専門家であり、立教大学経営学部リーダーシップ研究所副所長の中原淳さんが、『話し合いの作法』をまとめた一冊。
「話し合い=対話+決断」と定義し、第3章で「対話の作法」を、第4章で「決断の作法」を紹介しています。
本書を読んで、収穫だったのは、対話に関する、以下の定義。
<結論をただちに出すのではなく、まずは相互の「違い」の理解を深めるコミュニケーションを「対話」という>
なるほど、この時点でつまずいているケースは多いな、と妙に納得しました。
対話でもって互いのズレを認識し、そこから決断と実践に持っていく。
この作法がきちんとできれば、話し合いは建設的かつ生産的になるなと、腑に落ちました。
ところどころに、日本の残念なコミュニケーションへの言及があり、なかでも、<日本全国で発生中!「残念な話し合い」5つの病>は、ツボに入りました。
Twitter、Facebookでやらかしている方は多いと思うので、念のため、ここで紹介しておきます。
日本全国で発生中!
「残念な話し合い」5つの病
1.とりあえず、かみついちゃう病
2.対話ロマンティシズム病
3.みんな違ってみんないい病
4.アンケートフォームで意見すいあげちゃう病
5.誰もついてこない病
職場はもちろんのこと、政治や親子関係においても、本書で説かれている『話し合いの作法』が無視されていると感じます。
みんなでより良い未来、社会を作るためにも、ぜひ読んでおきたい一冊だと思いました。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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心理的安全性とは「この集団で、リスクを取って何かをしたとしても、対人関係上の危機が生まれない」こと(エドモンドソン教授)
「仲がよいこと」と「心理的安全性が高いこと、低いこと」は、実は「別次元の問題(別軸の問題)」
この世の中は、大事なものほど、いまだに『正解』がなく、『白黒』がついていない。そういうときほど、お互いに対話から逃げてはいけない。そういう厄介な物事ほど、対話を重視したほうがいい
政治に「言葉の貧困」と「コミュニケーションの軽視」が起こったときには注意が必要
民主主義が成立する条件(宇野重規氏)
1.すべての人々が参加できること
2.自分たちの未来を、自分たちで決めること
3.オープンに議論がなされること。その議論のプロセスが公開されること
4.意思決定をすること
5.少数派の意見を組み入れた運用をすること
6.決定には自発的にしたがうこと
結論をただちに出すのではなく、まずは相互の「違い」の理解を深めるコミュニケーションを「対話」という
人々が物事を前に進めていくためには、最終的には、どこかで「皆でともに何を行っていくか」を自分たちで選択し、決めていくことが重要
対話には「ケリのついていないテーマ」が必要
対話を引き起こすためには「フォーカスされた問い」が必要
「まったくアグリーだね」「いいね」「いいところを突いているね」と、リーダーが意見をその都度評価するような一言をはさむことで、いつの間にか、リーダーがメンバーとのフラットな関係を崩している
他者には他者の合理的な世界がある
「他者へのリスペクト」と「自己へのサスペクト」
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話し合いのスキルが体系的にまとめられていて、大変勉強になりました。
政治家がこれを読んでくれたら、日本の政治はもっと良くなると思うんですけどねえ。
経営者やリーダーは、自分を戒め、チームを活性化するために、仕事でファシリテーションをする機会の多い方は、ファシリテーションスキルを磨くヒントとして、ぜひ読んでみてください。
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『話し合いの作法』中原淳・著 PHP研究所
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◆目次◆
第1章 話し合いが苦手な国、ニッポン
第2章 「話し合い=対話+決断」
第3章 対話の作法
第4章 決断の作法
第5章 「話し合い」にあふれた社会へ
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