【USOについて考える】
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本日ご紹介する一冊は、元NHKディレクターの作家と名乗る浅生鴨(あそう・かも)氏(正体は本文で確認してください)が書いた、嘘の本。
著者の本業は作家で、普段は小説やエッセイを書いたり、テレビ番組やCMの企画・演出をしたりしているそうです。
いわば「嘘を仕事にしている」職人ですね。
本書は、そんな嘘づくりの職人が、われわれの世界を構成している嘘の存在を指摘し、われわれがどう嘘と付き合っているか、どう付き合うべきなのかを説いた一冊。
時折、作家が使っているテクニックについても紹介があり、フィクションや演出を学びたい方にとっては、参考になる一冊かもしれません。
経営の世界では、「ビジョン」や「パーパス」というのが語られますが、あれも本書の文脈に照らし合わせると、「嘘」であり、われわれが明るい未来を信じるための方便です。
そういう意味で、経営者やリーダーは、上手に嘘がつける人でなければいけないのかもしれません。
言葉も嘘、貨幣も嘘、歴史も嘘と言われると、だんだん読んでいて嫌になってくるのですが(笑)、書かれていることはこの世の真実であり、世の中の見えない仕組みを知りたい向きには、おすすめの本かもしれません。(こうしている今、僕も嘘をついているのかもしれません)
本文のなかから、さっそく気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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「真実」は人の数だけある
「嘘」の反対は「本当」ではなく「別の嘘」でしかないのだ
嘘は単独では存在できない。他者との関係の中にしか存在できないのである
僕たちは一人で生きていくことのできない生き物である。社会に参加し、他者とコミュニケーションをとりながら生きている限り、僕は僕の見ている世界と他者の見ている世界とを何らかの形で交換する必要がある
体験を言葉に置き換えるとき、僕たちはできごとを圧縮している
本来、いくつもの感覚があったにもかかわらず「熱い」という言葉に置き換えたことで、ほかの感覚はすべてカットされて「熱い」だけが強く記憶に残される。たくさんあったはずの感覚は「熱い」に押しやられ、消えてしまうのだ
「当事者や関係者であれば客観的な事実を語れるだろう」という考え方がそもそも大きな間違いなのである。事件や事故の目撃者が、けっして正確な事実を把握できていないことは、FBIが出している年次報告でも明らかになっている
報道における「裏取り」とは「共犯作り」である
自分に嘘をつけば、僕たちは思いも寄らないことができる
受け取る世界を変える最も手っ取り早い方法は、知識を得ることだ
世界中の誰もがそれは完全なる嘘なのだとお互いにわかっていて、それでも喜んで受け入れているものがあります。それはお金です。お金、貨幣、通貨は嘘そのものなのです
「知っている」「見聞きしたことがある」は、僕たちを騙しがち
嘘をつけない人間は、少なくとも他人と同じ世界を見ることはできません
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読んでいて、なんとなく気持ちの悪さを感じたので、カスタマーレビューで他の読者の意見を読んでみたのですが、なるほど、理由がわかった気がします。
僕ら人間は、この世が嘘でできていることを認めたくないのです。多分、それによって自分が孤独になるから。
われわれは、他者と嘘を共有することによって社会を作り、心の安定を確保している。
そういう意味で本書は、社会秩序を保つための嘘のつき方を説いた本なのかもしれません。
ぜひ、チェックしてみてください。
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『ぼくらは嘘でつながっている。』浅生鴨・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆
はじめに 僕は嘘のプロである
第1章 この世に「事実」は存在しない
第2章 人はなぜ嘘をつくのか?
第3章 嘘とどう付き合うべきか?
第4章 もしもこの世に嘘がなければ
おわりに 最後に一つ、嘘をつきますよ。
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