2022年6月17日

『民間企業が自治体から仕事を受注する方法』古田智子、川畑隆一・著 vol.6020

【これはわかりやすい。】
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本日ご紹介する一冊は、タイトル通り、『民間企業が自治体から仕事を受注する方法』を書いた営業マニュアル書。

著者の古田智子さんは、建設コンサルタント業を経て、総合コンサルティング会社でトップ営業として活躍、その後官公庁案件の勝率を高める我が国唯一のソリューション事業を展開する株式会社LGブレイクスルーの代表取締役。

共著者の川畑隆一さんは、株式会社リコーの官公庁部門の責任者を経て、現在、株式会社LGブレイクスルーのコンサルティング事業部長を務める人物です。

おふたりとも民間企業で自治体相手に営業をしてきた人物だけに、その意思決定プロセス、受注までのポイント、営業先の選定に関して、じつに詳しい。

これまで民間企業しか相手にしたことのない企業にとっては、わざわざ学ぶべき価値のある内容だと思いました。

最近は、地域課題が多岐にわたり、自治体が民間企業に発注するケースが増えていますが、残念ながら当の民間企業が、どうやって受注したらいいのかわかっていない。

数字を見ると、地方自治体の仕事のおよそ75%は中小企業が受注しているようなので、もったいないことだと思います。

本書には、民間企業がやりがちなミスや見落としがちなポイント、自治体との接触のタイミング、担当窓口はどこか、競合他社対策などが詳しく書かれていて、自治体に営業したい方には、とても役に立つ内容です。

また、実際に自治体から民間が受注した案件にどんなものがあるのか、事例が示されているので、未経験でもイメージがわくと思います。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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地方自治体の長である知事や市長(首長といいます)は、選挙で選ばれた地域のリーダー。ですが、厳密にいうと仕事の発注権限者という意味でのトップではありません。特に民間企業に仕事を発注する「調達」の分野では、公平性の観点から、原則として市長が影響力を行使できない仕組みとなっているのです

地方自治体は、民間企業に依頼する仕事の内容と費用を、前の年の9~10月頃に決めてしまっていることがほとんど

予定価格を聞き出そうとする行為は、自治体にとって「不当な働きかけ」とみなされ、指名停止(民間の世界でいうところの出入り禁止)となってしまいかねません

ビジネス上のキーマンは誰なのでしょうか? それは、なんと「各課の課長」です。地方自治体の課長職は、民間企業に置き換えると執行役員あるいは事業本部長レベルの役職といえます

国や自治体はどんな仕事を民間企業に発注しているのでしょうか? 官公庁の用語でいうと、大きく「工事」「物品」「役務」の3分野に分けられます

特に、民間企業が大活躍している分野がICT(情報通信技術)分野や観光・シティプロモーション分野

実は公の施設については、長い間、地方自治体が出資した法人や公共の団体にしか管理を委託することができませんでした。それが2003年に地方自治法が改正され、地方自治体が指定する民間企業などの「指定管理者」が管理を引き受けることができるようになったのです

「この地域の課題は、弊社で展開しているこのサービスを活用すれば解決できますよ」というストーリー展開の資料をあらかじめ作って話をしに行くのが一番効果的

◆自治体営業の7つのフェーズ
1.自治体ニーズ・地域課題の把握
2.次年度事業の提案
3.予算書づくり
4.予算査定対応
5.年度末対応
6.入札・プロポーザルへの対応
7.受注後のプロジェクトマネジメント

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プロポーザルやコンプライアンスに関しては、民間企業の感覚である程度理解できると思いますが、自治体の意思決定プロセスや各部署の管轄、受注までの流れは、きちんと勉強しないと太刀打ちできないことがわかりました。

民間企業との対比で、どこがどう違うのか書かれているので、大変わかりやすい本だと思います。

自治体に営業をかけたい方、自治体とともに地域の課題解決をしてみたい方は、ぜひ、読むことをおすすめします。

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『民間企業が自治体から仕事を受注する方法』古田智子、川畑隆一・著 日本実業出版社

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◆目次◆

序章
第1章 そもそも地方自治体って何だろう
第2章 自治体の各部署の仕事
第3章 何から始める? 自治体ビジネス
第4章 エントリーと入札の仕方を知ろう
第5章 プロポーザルに挑戦してみよう
第6章 自治体ビジネスにおけるコンプライアンス
第7章 自治体ビジネス5つの心得~経営者・管理職が知っておくべきこと~
付録 官庁に営業に行こう

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