2022年4月28日

『ミック・ジャガーに学ぶ「これからの働き方」』小屋一雄・著 vol.5989

【ファンは必読。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774792594

本日ご紹介する一冊は、60年間最前線で活躍し続ける伝説のロックンロールバンド、ローリング・ストーンズとそのリーダー、ミック・ジャガーのビジネス面に光を当てた、個性的な一冊。

著者は、20年にわたり日・米・欧のグローバル企業に勤務し、うちゼネラル・モーターズでは、デトロイト本社でアジア地域の商品戦略に携わった、バリバリのビジネスパーソンです。

ギャラップ社では日本における創業メンバーとして参画したということですが、そんな著者が、なぜミック・ジャガーの本を書くのか。

「おわりに」で、著者自身が、こう説明しています。

<「アンフィニッシュト・ビジネス」とは、「未完の課題」、あるいは「人生の積み残し」のことだ。誰の人生にも、「積み残し」はあるものだ。今振り返ると、ミックとストーンズのことを1冊の本にまとめることは、私にとって、いつかやらなければならない「アンフィニッシュト・ビジネス」だったのだと思っている>

まあ、要するにファンである著者がビジネス的視点でローリング・ストーンズとミック・ジャガーを読み解いたということですが、これが意外に面白い。

なぜミック・ジャガーはブランドになれたのか、今でもエネルギッシュに現役を続けられる理由とは何なのか、ブランドビジネス成功の秘訣が紹介されています。

日本エンゲージメント協会代表理事でもある著者が、「エンゲージメント」の視点から、ローリング・ストーンズ、ミック・ジャガー成功の理由を解説しており、いろいろと勉強になりました。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

—————————-

「気軽に買い物やカフェになんか行けやしない。何歳になってもアホらしいと思うよ。ファンから隠れたりしてさ。サインをねだる追っかけから逃げたりね。でもそれも仕事だ。だったら楽しまなきゃね」

シニニズムの怖さは、それがある意味、真実だからだ。こんな考え方にはまると、全身から力が抜けていき、やる気がなくなってしまう。このシニニズムから創造性、モチベーションを失っていったミュージシャンは多いだろう。そこでカンフル剤となるのが、「楽しみ」だ。ミックの最大の強みは、自分とチームのメンバーに、そしてファンに「楽しみ」のカン、フル剤を打つことができることだ

つまらないレールの上にある小さな成功なんていらない。そう考えている若者たちを代弁し、ストーンズはビートルズとともにロックンロール旋風を巻き起こした

スティーブ・ジョブズは前述の講演を「Stay hungry, stay foolish(ハングリーであれ、愚かであれ)」と締めくくったが、これはミックの生き方でもある。ミックだったら、さらに「Stay relevant(時代に関わり続けろ)」と付け加えるだろう。時流を無視して自己満足の仕事をしても長続きはしない、ということだ

一見矛盾する様に見える二つの方向性があった場合、成功するビジネスマンは、「ANDの才能」を発揮して、どうすれば両方を手に入れることができるのかを考えるのだ

ストーンズの音楽は「完璧」ではない。むしろ、そうでないところがいいのだ。ファンにとっては、イタリアの高級ブランドのように、非完璧性が完璧なのである

「権威に迎合しない」「いつまでも活動的である」「決して太らない」などなど、ファンそれぞれが勝手に「ストーンズ・ファンとしてのモットー」みたいなものを持っていたりする

顧客満足を超えて、顧客エンゲージメントを高めるのが、これからのマーケティングだ

—————————-

ローリング・ストーンズとそのリーダー、ミック・ジャガーのビジネスと生き方を、ビジネス理論をもとに解説していますが、あとづけ感と直接取材の不足は否めません。

ただ、著者のローリング・ストーンズ愛は強烈であり、また紹介されているエピソードは、知らない人が読めば確実にエキサイティングだと思います。

どうやってローリング・ストーンズおよびミック・ジャガーがその強固なブランドを築き、今日まで続けてきたのか、そのブランドビジネスの秘訣を知りたい方は、読んでおくといいでしょう。

———————————————–

『ミック・ジャガーに学ぶ「これからの働き方」』小屋一雄・著 コスミック出版

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774792594

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B09YTRJRS4

———————————————–
◆目次◆

はじめに
第1章 ビジネスの「切り盛り」を楽しむ
第2章 「時代」に関わり続ける
第3章 二つ以上の顔でしたたかに演じる
第4章 感情を逆なでする
第5章 失敗を食い物にする
第6章 友と化学反応を起こす
第7章 ビジネスを転がし続ける
第8章 好奇心と自制心を持つ
第9章 他者の靴に足を踏み入れる
第10章 与え続ける
おわりに

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー