【大恐慌をチャンスに変えるには?】
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ここ数日株価が低迷し、市場が混乱してきたようですね。
投資においてもビジネスにおいても、こんなときこそ、大衆の「逆を行く」戦略が大事です。
本日ご紹介する一冊は、1929年の大暴落と長期不況の裏でがっちり儲けた投資家、事業家、そして機に乗じて成功した政治家を紹介した、コンパクトな評伝集。
著者は、外国為替ディーラーを経験した後、TBSで経済部デスクや経済キャスターを務め、現在フリーランスのエコノミスト、メディア評論家として活動する玉手義朗さんです。
本書の第1章【投資編】では、靴磨きの声に耳を傾け、不況の到来を知ったというジョセフ・P・ケネディ(ジョン・F・ケネディの父)、金融と経済の両方で活躍した「事実博士」バーナード・M・バルーク、大暴落で儲けながらも不幸な死を遂げたジェシー・L・リバモア、「バリュー投資の父」ベンジャミン・グレアム、悲観の極みを待った「バーゲン・ハンター」ジョン・M・テンプルトンなどの投資家を紹介。
続く第2章【事業編】では、すべてを失いながらも再起したホテル王コンラッド・N・ヒルトン、恐慌を追い風に変えた「ケチな石油王」ジャン・P・ゲティ、ともに映画人でありながら、違う運命を辿ったデビッド・O・セルズニックとウォルト・ディズニー、小売業界の「将軍」ロバート・E・ウッドを紹介しています。(第3章は政治家の紹介です)
通して読むことで、不況時におけるチャンスとは何か、目のつけどころを学ぶことができます。
同じ手法は使えないですが、原理原則を知ることで、これからの投資・ビジネスのチャンスが見えてくると思います。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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ジョセフに株式市場からの本格的な撤退を決意させたのは、靴磨きの少年とのちょっとした会話だったという。(中略)「石油や鉄道をお買いなさい。天井知らずです。情報通が今日ここに来たんですよ」という。これを聞いたジョセフは思った。「靴磨きの少年でも予想のできる株式市場は自分のやるべき株式市場ではない」
「最高値になるまで頑張り通すのは馬鹿者だけさ」(ジョセフ・P・ケネディ)
バルークはひとつの教訓を得た。「買ってから調べたのでは遅い。まず調べてから買わなければならない」
「予想、内部情報、あるいは希望的観測などに一切とらわれることなく、事実をありのままに把握することが重要だ」とバルークはいう
自動車の普及を見たバルークは、その波及効果について様々な検討を重ねた結果、ゴム製造会社が成長すると判断して大儲けした
リバモアの見立て通り、世界が深刻なデフレに向かっているとして、株式市場が好調に見えるのはなぜか。素人が株式市場に新規参入しているためだとリバモアは分析した。根拠の1つが全米の預金額の減少だった
「悲観の極みは最高の買い時」の一節に、テンプルトンの真骨頂がある。下げ相場における底値買い、いわゆる「バーゲン・ハンティング」が、テンプルトンの十八番だった
モーブリー・ホテルを手に入れたヒルトンは、すぐさま改装に着手する。合い言葉は「Digging for gold」。「金を掘れ!」ということだ。「金」とは何か。ヒルトンのいう「金」とはホテル内に潜む有効スペースのこと。「最大の収益を上げるために、あらゆる可能な空間を利用すること」が必要だというのだ
白雪姫の制作には膨大な数のアニメーターが必要になったが、不況が追い風となって優れた人材がすぐに集まった。1934年、ディズニーが国内の美術学校にアニメーターの募集をかけると、3万人もの応募が殺到した。ディズニーはその中から才能のある人を選び出すことで、白雪姫の高いクオリティを、比較的低いコストで実現することができた
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読んでいて励まされるのは、天才と呼ばれた投資家・事業家たちが必ずしも最初から成功していないという点。
大恐慌で鮮やかに勝ったとされるジェシー・リバモア、天才と言われたホテル王ヒルトンも、当初は痛い目に遭っていたということを知り、勇気が湧いてきました。
2022年は、破壊と建設が当時に起きる年だと思っています。
転換期のチャンスを掴むためにも、ぜひ、読んでみてください。
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『大恐慌の勝者たち』玉手義朗・著 日経BP
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◆目次◆
序章 データでたどる大恐慌の真実
第1章【投資編】相場師たちの撤退戦とバリュー投資の誕生
[序論]暗黒の木曜日は「暗黒」ではなかった
[CASE1]ジョセフ・P・ケネディ:「王朝の創始者」は靴磨きの声に耳を傾けた
[CASE2]バーナード・M・バルーク:「事実博士」は自動車と住宅に目をつけた
[CASE3]ジェシー・L・リバモア:「突撃小僧」は3度テストした
[CASE4]ベンジャミン・グレアム:「バリュー投資の父」は敗北に学んだ
[CASE5]ジョン・M・テンプルトン:「バーゲン・ハンター」は悲観の極みを待った
[COLUMN1]奇才ウィリアム・ギャンの“オカルト”的予言
第2章【事業編】恐怖とキャッシュを コントロールせよ
[序論]ニューヨークの街角に「リンゴ売り」が繰り出した
[CASE6]コンラッド・N・ヒルトン:「ホテル王」はすべてを失い、再起した
[CASE7]ジャン・P・ゲティ:恐慌を追い風に変えた「ケチな石油王」
[CASE8]デビッド・O・セルズニックとウォルト・ディズニー:拡大均衡を目指した「夢見る映画人」
[CASE9]ロバート・E・ウッド:小売業界の「将軍」は淡々と駒を進めた
[COLUMN2]大恐慌が生んだヒット商品
第え章【政治編】ケインズ政策の誕生と副作用
[序論]日本とドイツが先行した「独学ケインジアン」の誕生
[CASE10]高橋是清:世界大恐慌を最初に克服した大蔵大臣
[CASE11]アドルフ・ヒトラー:「悪魔」は大恐慌に勝利したのか?
[CASE12]フランクリン・D・ルーズベルト:100日議会で「アクション・ナウ!」
【終章】謎を残す歴史に、何を学ぶか
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