【これ一冊で中国の消費が見える】
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本日の一冊は、欧米系PR会社を経て、電通マクギャリーボウエン・チャイナのグループ・アカウント・ディレクター、中国のマーット通として知られる著者が、中国市場の観察から見えてきた、新時代の消費を論じた一冊。
ECでしのぎを削る各社の動向や、中国におけるインフルエンサーの影響、インフルエンサーを束ねるMCN(新世代芸能事務所)の存在、メーカーが目指す新時代のモノづくり…。
停滞ニッポンを尻目に、次々と斬新な手を仕掛ける中国消費市場の覇者たちのマーケティングが、一冊でわかる、じつにエキサイティングな内容です。
ビジネスパーソンが中国ビジネスの動向をキャッチアップするために、また起業家がチャンスを見つけるために、有用な一冊だと思います。
各サービスの経営元の名前やビジネスモデル、長所短所もきっちり分析されているので、中国株投資したい投資家が銘柄選びする際の参考にもなると思います。
また、中国の主要なインフルエンサーのリストと、彼らが何をして有名になったのかが書かれており、インフルエンサーを目指す個人にとっても参考になるでしょう。
中国以外に、日本、アメリカの例も適宜挿入されており、バランス良く現在の消費トレンドがわかる、そんな内容になっています。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の多くは、実態としてはITシステムの導入により手作業を減らすことに代表される、言ってみれば「デジタル的な手段を用いたプロセスの効率化」であることが多い。(中略)発想としては工業の時代の延長線上でしかない。梅棹が述べたような「モノと情報の主従の逆転」にまでは至っていない
集中することのみが価値だった「工業の時代」から、単一さを必要とする集中と多様さを許容する分散の二極性へ切り替わったことが、「情報の時代」の特徴
(中国は)2020年には間に合わなかったものの、後述するように2021年には本当にこの「EC化率50%」が達成されようとしている。対して、日本は出典が違うため単純比較はできないまでも、EC化率6.8%とはるかに及ばないのが現状
◆最後発ECユニコーン「ピンドゥオドゥオ」
その原動力は、(1)「安さ」という力強い機能的価値の競争軸への集中、(2)既存大手が相対的に手薄な三級都市以下という地理的空白への集中、(3)ゲーム性を取り入れることで情緒的価値を創出、という3点で説明できる
中国は日本と違い、自動販売機は非常に少なく、20万台程度と言われる(日本は飲料だけで約250万台、同米国300万台)(中略)日本は人口あたりの自動販売機の数や利用頻度が他国に比べて段違いに多く、利用者側も自動販売機でモノを買うことに慣れている
中国のKOLと彼らを取り巻くビジネスが他国に比べ圧倒的に先行しているのは、動画やライブ配信、文章や写真といったコンテンツに直接課金させるのではなく、実体のあるモノを介するECという手段の存在感の影響が大きい
2750万人が見守るリーズーチーの「理想の田舎暮らし」
パーフェクト・ダイアリーは、若年女性をターゲットにした中国国産のコスメブランド
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写真とデータがふんだんに使われているので、中国に行かずともサービスの概要や各社のマーケットでの位置づけがわかるのがポイント。
中国マーケットで勝負したいビジネスパーソンにとっては、タイトル通り、中国マーケットの「今」が見える、貴重な資料だと思います。
ぜひ、読んでみてください。
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『新消費 デジタルが実現する新時代の価値創造』
藤井直毅・著 プレジデント社
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◆目次◆
第1章 EC:「情報の時代」における価値の転換
第2章 店舗:ECと共存するのか、競争か
第3章 KOL:1000万人インフルエンサーが狙う巨大消費市場
第4章 MCN:EC関与で地位を高める新世代芸能事務所
第5章 メーカー:価値を生み出す新時代のモノづくり
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