2021年10月22日

『GAFAMのエンジニア思考』 アレックス・カントロウィッツ・著 小川彩子・訳 vol.5864

【GAFAMの働き方】
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本日ご紹介する一冊は、いわゆるGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)の思考法を、「バズフィード・ニュース」のテクノロジー担当シニアレポーターがまとめた、興味深い一冊。

著者は、GAFAMに関するニュースレターとポッドキャスト「Big Technology」の創始者でもあり、この5社に対して、豊富な取材実績を持っています。

「いつも創業初日」のマインドでいる、ジェフ・ベゾスの「Day One」思考、マーク・ザッカーバーグが作ったフィードバック文化、サンダー・ピチャイのコラボレーションの文化などが紹介されており、それらの思考がなぜ企業の成長に役立つのか、エピソードとともに紹介されています。

GAFAMがどうやって発展してきたのかを知ることで、企業文化がいかに彼らの成長・発展に貢献しているのか、実感できるのではないでしょうか。

土井はAmazonで働いていましたが、確かにこういう風土が根付いていたな、と思える話が書いてあり、またその背景にあった経営陣の努力・工夫がわかる内容でした。

なかでも興味深かったのは、エンジニア思考について解説したこの一文です。

<エンジニア思考では、アイデアはどこから生まれてきてもかまわない。必要なのは、生まれたアイデアが決定権を持つ人にまで届く道筋を用意して、ゴーサインが出たら、そのアイデアを成功させるための仕組みをつくりだすことだ>

これを読めば、なぜGAFAMがイノベーションを生み出し続けられるのか、企業規模が大きくなっても起業家精神を失わずに済んでいるのか、その理由がわかると思います。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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アマゾンの「創業初日」とは、それまでの実績にとらわれることなく、スタートアップ企業のように創意工夫するという意味だ。特に、人工知能とクラウド・コンピューティングの発展によって、競争相手が記録的な速さで新製品をつくりだせるようになった今日、現在を犠牲にしてでも未来に向けて構築していくほうをとろうという信念でもある

テックジャイアントの文化は、改良ではなく変革をサポートする。テックジャイアントは、アイデアが企業内で伝わる障害となる障壁を取り去って、最良のアイデアを生かすのだ

アマゾンに属するすべての人はヒエラルキーの最上層から最下層に至るまで、誰もがアイデアを出せる。そしてベゾスはできる限りすべてを自動化することで、変革の余地をさらに増やす

「アマゾンでは、あなたが水をワインに変えたら、まず最初に『どうしてシャンパンにしなかったんだ』と訊かれる」

ザッカーバーグにとって、このフィードバックの文化はベゾスの「6ページ文書」と同じような機能を持つ。従業員の心に、あらゆる同僚の言葉は聞く価値があるという信念を育むことで、フェイスブックのなかで新製品のアイデアが生まれるようにうながしているのだ

2006年にザッカーバーグはグラハムに電話して、びっくりするような頼み事をした。「めずらしく、向こうから電話してきてね。それで言うんだ。『会社が大きくなってきて、そろそろ僕がCEOになる段階になった。だから、いままで考えたこともないことを考える訓練が必要だ』とか。そんなことをだ。『だから3日間あなたを尾行させてほしい』って」

ベゾスとザッカーバーグは多少なりとも似ているかと聞くと、グラハムは「似ている」と断言した。どちらも新しいアイデアにオープンで、アイデアが粗削りであってもかまわず、出所を問わないところが似ているという

ピチャイは同僚たちを取り込むために、自分のつくった製品を強制する方法はとらず、そのよさを彼ら自身に発見させるようにした

アップルの秘密主義には集中力を高めるだけでなく、新製品のリリースの際に消費者を驚かせる効果もある

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単に経営思想に触れて終わり、ではなく、その思想から生まれたアイデアが、どのように実行されたのか、どう事業の発展につながっていったのかが示されており、GAFAMのダイナミズムを感じるレポートです。

また、アップルの今後への懸念や、マイクロソフトの変革にも触れられており、今後この2社がどうなるのか知りたい方にも、良いヒントとなるでしょう。

関係者への取材が丹念に行われており、類書では読めないエピソードや裏話が読める、興味深い内容です。

ぜひ、読んでみてください。

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『GAFAMのエンジニア思考』
アレックス・カントロウィッツ・著 小川彩子・訳 かんき出版

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761275693

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B09G2ZJY6

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◆目次◆

Introduction いつも創業初日
第1章 ジェフ・ベゾスの変革の文化を探る
第2章 マーク・ザッカーバーグのフィードバックの文化を探る
第3章 サンダー・ピチャイのコラボレーションの文化を探る
第4章 ティム・クックとアップルへの懸念
第5章 サティア・ナデラとマイクロソフトの再生
終章 未来のリーダー像

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