【「先の見えない時代」に効く対談集】
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<変化の激しい時代に必要なのは、すぐに古くなってしまう「地図」ではなく、常に進むべき道を指し示してくれる「コンパス(方位磁石)」だ。>
こう説くのは、本日ご紹介する対談集、『思考のコンパス』。
独立研究者、著作家、パブリックスピーカーの山口周さんが、北野唯我さん、近内悠太さん、養老孟司さん、小川さやかさん、高橋祥子さん、井上智洋さん、広井良典さんら7人と対話したもので、元々「Business Insider Japan」の人気連載だった対談を新書化したもののようです。
人事、哲学、解剖学、文化人類学、生命科学、経済学、公共政策と、各人専門分野こそバラバラですが、これから生きるための「指針」を与えてくれるという意味では同じ。
急速に変わりつつある世界のなかで、何を指針とすればいいのか、どう考えればいいのか、どんなスタンスでいればいいのか、ヒントが満載の一冊です。
閉塞感を感じている時、異分野の人の話を聞くと、俯瞰したところから問題を眺められて、問題があっさり解決する、ということがありますが、本書にもそんな効果があるような気がします。
現在、盛んに議論されている資本主義の問題や、格差の問題、コロナの問題、環境問題、地方創生の問題なども、違った視点から考えられるようになると思います。
途中、話が噛み合っていなかったり、脱線したりといった、対談集ならではのナマ感はありますが、明確な目的意識を持って読めば、問題ないと思います。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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◆来たるべき世界の3つのポイント
1.仮想空間へのシフト
2.反都市化への反転
3.ライフスタイルの多様化・複層化
情報には「量=リッチネス」と「到達距離=リーチ」のトレードオフがあります。情報のリッチネスを上げようとすればリーチが犠牲になり、情報のリーチを上げようとすればリッチネスが犠牲になる
法灯明は、法つまり教えを灯火のようにして生きなさいということ。ブッダが「私のことを崇拝する必要はなくて、私の教えを灯明のようにして生きていきなさい」という。自灯明は、自らを灯明とする教えで「他を頼らず、自分の足元を照らす、その灯明に基づいて生きていきなさい」ということを説く(北野唯我)
僕がこの本を書き始めたのは2016年なんですが、その年の漫画売り上げランキングトップ3は『ONE PIECE』『暗殺教室』『キングダム』でした。僕の中では、この3作品はすべて「自分が受け取ったもの(贈り物)を、どうやって次の誰かにつなぐか(贈るか)」という物語です(近内悠太)
時制のズレのある贈与こそ人をつなげる
人間の歴史は、情報化の時代と身体化の時代が螺旋状に繰り返されています(養老孟司)
私は、それを「塀の上」と言っています。人間がつくった社会は、人間に合うようにできていますから。塀の上から内側に落ちたら、巻き込まれてしまう。外側に落ちたら、人間社会と無関係の異邦人になってしまう。世の中全体を見ようと思ったら、塀の上に立つしかないんです(養老孟司)
負い目がある限り、人間関係は続くので、自分が必要になる時まで借りは残しておく。人生の保険ですから、取り立ててはいけないという考え方です(小川さやか)
ウイルスは意志を持たないアルゴリズムなので、どちらかといえば感染症を引き起こすウイルスを拡散し、感染症を拡大させる要因をつくっているのは、明らかに我々人間です。都市化もそうですし、大規模な自然破壊の後に感染症が起こりやすいことも判明しています(高橋祥子)
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個人的に勉強になったのは、近内悠太さんが現在売れているコンテンツの共通点を語った部分、養老孟司さんが人間社会を「塀の上」から眺めるようにアドバイスした部分など。
したたかに生きるための視点としては、小川さやかさん、高橋祥子さんの視点が勉強になりました。
ぜひ、読んでみてください。
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『思考のコンパス』山口周・著 PHP研究所
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◆目次◆
第1章 夢中になれる仕事を見つけられない日本の社会システムとは?
第2章 「資本主義はもうダメだ」では社会は変わらない。「すきま」を埋める言葉を
第3章 五感から情報化するために人間は「ノイズ」を求める
第4章 タンザニア商人に学ぶ制度や組織に頼らない生き方
第5章 生物的な仕組みの理解なしに資本主義は成り立たない
第6章 毎月7万円のベーシックインカムが日本の閉塞感を打ち破る
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