2021年7月1日

『世界を知る101の言葉』 Dr.マンディープ・ライ 鹿田昌美・訳 vol.5788

【これは名著だ!】
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以前、母校・秋田高校の東京同窓会で、先輩である明石康さんに、「グローバル人材になるために必要なことは何ですか?」という質問をしました。

明石さんの答えは、「異文化へのリスペクトです」でした。

ただ難しいのは、相手をリスペクトするためには、何をリスペクトすべきかを知る必要があるということ。つまり、教養が必要だということです。

とはいえ世界には、日本が承認している国だけでも195ありますから、そのすべてを知るのは極めて困難。

そんな時、役立つのが、本日ご紹介する一冊『世界を知る101の言葉』です。

150カ国以上を旅し、BBCワールドサービスやロイターなどで放送ジャーナリストとして活躍、起業家としてUAE初のメディアベンチャーキャピタル・ファンドも設立した著者が、世界の価値観を知るヒントをまとめた、注目の一冊です。

たとえば中国からは実利主義を、キューバからは問題解決を、デンマークからは平等を学ぶといったように、単に異国文化を理解するだけでなく、その価値観が読者の血肉となるように、工夫しているのがポイント。

それぞれの国の価値観がどうやってでき上がったのか、歴史や影響を与えた人物、作品とともに学べるので、じつに勉強になります。

著者が投資家だからか、現在、その国で盛り上がりつつある潮流や主要な産業、注目企業にも言及しており、投資的な視点で見ても興味深い内容だと思います。

オビに「1日1国、読んで旅する。101日の世界周遊」とあるように、コロナ禍の今でも、擬似的に世界を旅して新たな価値観が学べる、貴重な一冊です。

キャッチーなトピックから入り、それぞれの国の基礎知識を手際よくまとめ、最後は読者の役に立つようにまとめる著者の手腕には、正直感銘を受けました。

さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

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広義での中国文化には、学ぶべき重要なことがあります。それは、この実利主義が、変化に直面し、脅威の力によって吹き飛ばされそうになったときに、進路を外れないために役に立つということ

キューバが直面する不足とインフラの問題を考えれば不可能なはずのことが、問題解決の精神によって可能になる

フランスは、抗議によって建国され、築き上げられた国です(中略)フランスの歴史は、「労働ストライキ」と「蜂起」と「民衆の力を信じる心」によって刻まれてきました

パキスタンが教えてくれる勇気とは、個人的な興味よりも自分の信念を優先する意志です。そして、問題が発生したときに無視したり、他の誰かの行動に期待したりしないことーーみずから関与する勇気です

キャリアの面でいかにインパクトを与えるかを悩んでいる人に、スコットランドは「サイズとパワーは比例しない」という手本を示してくれます

「グッドアイデア、スロバキア」は、この国のプロモーションに使われているスローガンです。スロバキアは間違いなく、世界有数の革新的な企業や商業的なアイデアが進化を続ける場所です。たとえば、スロバキアを拠点とする自動車ベンチャー企業の<エアロモービル>社は、最先端の「空飛ぶ車」を開発し、中距離フライトに担当する距離を移動できる乗り物をつくりだしました

ボリビア人は、裕福になるにつれてルーツから遠ざかるのではなく、ルーツを積極的に受け入れ、古代のシンボルや概念に新しい命を吹き込むのです

アルバニアでは「ベサ」は黄金よりも価値があると言われています(中略)「ベサの人」とは、名誉ある人、自分の生命や家族を安心して任せられる人、という意味です

最大の失敗は感謝する時間を作らないことーーキプロス人は、そのことを良く知っています

ハンガリーはヨーロッパのなかで、最も大きくも豊かでもなく、影響力の大きな国でもありませんが、歴史的に科学、技術、スポーツの大国であることを誇りに思っています。人口と資本の不足を、競争によって補っているのです

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正直、過去から現在まで、こんなにコンパクトに世界の教養をまとめた本は本当に珍しい。

ビジネスパーソンの教養書として、これはひさびさに「買い」の一冊だと思います。

ぜひ、読んでみてください。

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『世界を知る101の言葉』
Dr.マンディープ・ライ 鹿田昌美・訳

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◆目次◆

Part1 変化の価値観
Part2 継続性の価値観
Part3 人とのつながりの価値観
Part4 コミュニティの価値観
Part5 核となる価値観

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