【小阪裕司氏、8年ぶりのビジネス書】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569848664
本日ご紹介する一冊は、マーケティングの専門家であり、日本感性工学会理事、九州大学非常勤講師の小阪裕司さんによる、8年ぶりのビジネス書。
著者は、2000年から1500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰しており、また、14年にわたり日経MJで連載していることから、豊富な企業事例、取材実績を持つ人物。
本書でも、その豊富な事例の中から、コロナ禍で売上を伸ばした企業の事例が厳選されており、中小零細企業には、即役立つ内容が書かれています。
・「心が豊かになるもの」か「生活必需品」
・「フロー」よりも「ストック」
・「マス」よりも「ファンダム」
今の時代のマーケティングを説明するキーワードと豊富な事例で、企業が今すべきことが明確になる、実践的な内容です。
ちなみに事例としては、営業自粛でも前年比150%を達成したレストランや、深夜営業NGでも売上を維持したバー、余った卵を売り切った養鶏業者、人口8万人の街で、1万人の会員を獲得したハンバーグレストランの話が載っています。
聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、どれも興味深い事例です。
後半では、ファンダム(熱狂的なファンが作り出す世界)をどう作るか、これからの商品開発はどうあるべきかといった議論も展開されており、経営者、マーケティング責任者は、読んで社内で議論するといいかもしれません。
さっそく、本文の中から、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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人が戻らなかったのは「無意識の選別」
私は以前から、今は「選別消費」が進んでいる時代であると主張してきた。選別消費とは、「自分がコスト(お金、時間、労力など)をかけるべきもの、使うべき先をシビアに選択・選別する消費」のこと。元々、増税や災害などの際にはこの選別消費の意識が高くなるのだが、今回はまさに、コロナによってこの選別消費の意識が大いに高まった
問題は、そのどちらにも属さないものだ。つまり、「心が豊かになるわけではないが、生活必需品でもないもの」。今回、売上が戻らなかったものの多くは、このカテゴリーに属するものであった可能性が高い
フローではなくストックの顧客を持っているか
フロー型のビジネスの象徴とも言えるのが、今回、大打撃を受けることになった「好立地の場所での商売」だ
それでもし今日の売上ができたとしても、顧客がストックされるだろうか
リストは、温めなくては意味がない
生殺与奪の権──リストはあくまで自社で持て
コアなファンに向けて、「炭棟梁検定」という資格認定制度を立ち上げ、合格した人の名前は店内に掲示するといった活動も行ってきた。この検定の最終段階はなんと小論文の提出だ
商品数を絞り込むことで、「価値観」がより明確になる
「祭り」を作る
ファンダムの究極の形は「共創」である
「一緒に学んでいく」姿勢がファンダムを作る
これから「市場」はいっそう、感性のつながりの中、生み出されていく
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そろそろ対処療法的なマーケティングを脱し、新たなマーケティング施策を考えたい、という経営者、マーケターに、おすすめの内容です。
なかでも、人口8万人の街で、1万人の会員を獲得したハンバーグレストラン、「炭棟梁」の事例は、必読です。
ぜひ、読んでみてください。
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『「顧客消滅」時代のマーケティング』
小阪裕司・著 PHP研究所
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569848664
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◆目次◆
序───2020年4月、顧客が消えた
第1章 「顧客消滅」時代のマーケティングとは
第2章 「ファンダム」をどう作るか
第3章 BtoBビジネスも「ファンダム」がカギを握る
第4章 感性と価値で創られる市場とは
第5章 組織を変える、自分を変える
終 章 「アフターコロナ時代」に必要なもの
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