【ジム・ロジャーズが見る、2021年】
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本日ご紹介する一冊は、ジョージ・ソスと国際投資会社クォンタム・ファンドを共同設立し、10年間で4200%という驚異のリターンを実現した世界的投資家、ジョージ・ソロスによる未来予測。
著者は、37歳で引退し、世界を旅して回るかたわら、コロンビア大学で教鞭をとり、1998年には商品先物市場の指数である「ロジャーズ国際コモディティ指数」を創設。過去の著書でも、商品投資について前向きな発言を繰り返していますが、コロナ禍の現在、さらに鼻息荒く、商品の可能性を訴えています。
本書が執筆された2020年11月現在、著者が何に投資しているかが詳しく書かれており、さらに、ワクチン、オリンピック、アメリカ大統領の交代、MMT理論、仮想通貨、地方移住、ベーシックインカムが相場にどう影響を与えるか、著者の見解が書かれています。
親日派の著者だけに、日本の政策や投資チャンスに関する言及も詳しく、参考になると思います。
究極的には投資は個別であり、本書の主張はあくまで参考に留めておくのが賢明だと思いますが、自分で考えるための基礎となるのは間違いないでしょう。
意見に振り回されることなく、事実を冷静に見つめ、自分で判断できる読者が読めば、有意義な一冊だと思います。
さっそく、本文の中から、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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ワクチン登場で市場が過熱しても長くは続かない
国として、私は今現在、日本、ロシア、中国に着目している
アフリカについては、ジンバブエの株と投資信託を少し買っている
イランが好きな理由はいくつかある。一つ目は主要産業である原油価格が下がっていること。二つ目はこの国がロシアや北朝鮮と同じく、世界的に嫌われていること(割安である可能性が高い!)。そして三つ目は人口統計上、非常に若い国であるということだ。さらに重要なのは、国全体が「変化を遂げたい」と考えていることだ
将来の気候変動や自然災害などのリスクに備えるには、農業や農作物といった商品に投資をすべきだ
今でも私は投資対象の企業を見るとき、最初に競争状況をチェックする。競争がなければ、そのビジネスや業界自体が長期的に成功する確率は低いのだ
農業で大儲けしたければまずは自分が農家になるべきだ
今は世界的に外国人を追い出し、自国民を雇えという風潮が各国で強くなっているが、国民を甘やかしてはいけない。能力のない国民を雇ったら、国は競争力を失い、物価上昇につながるのは歴史を見ても明らかだ
ケロッグ社のコーンフレークの例を挙げよう。もしフレークの原材料価格が下がれば、ケロッグ製品を売る会社の利益は、その分増えるので株価は上がる可能性が高まる。反対に原材料価格が上昇すれば、その分利益が減るので株価が下落する可能性が高まる。この関係を一般化すれば、株式の上昇局面では商品が弱く、株式の下落局面では商品市場が強いとういう結論を導き出すことができる
ウイルスによって、世界はより複雑になっているが、もし夢があるなら行動に移すことだ。たとえ国家が破綻してすべての富がなくなったとしても国や人生は続いていくし、それならやりたいことをあきらめるべきではないだろう。旅でもなんでもいい。とにかく自分がやりたいことを見つけて、それをやり遂げるべきだ。周りから笑われてもいい。多くの人に笑われるほど、人生は成功を収められるだろう
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何となく、現役感に欠ける印象は受けますが、投資の基本的な考え方と今後の大きなトレンドがわかったこと、そして若者へのメッセージが綴られていたのが良かったと思います。
コロナ禍であきらめざるを得ないことが多い中、著者の若者へのメッセージは、じつに清々しく、勇気づけられます。
投資の指針に、そして人生の指針に、ぜひ読んでみていただきたい一冊です。
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『大転換の時代』ジム・ロジャーズ・著 プレジデント社
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◆目次◆
第一章 コロナショックから、私の人生最悪の不況に陥る世界
第二章 ポストコロナの覇権を握る国はここだ
第三章 原油安、水や食糧危機……商品はどうなるのか
第四章 コロナで活性化する新たな市場
第五章 大転換する世界で勝ち抜いていく
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