【マーケティングの原点へ誘う好対談。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478111618
本日ご紹介する一冊は、P&Gを経て、マクドナルドのV字回復を手掛け、ナイアンティックのシニアディレクタープロダクトマーケティングとして活躍、最近、ファミリーマートのCMOに就任して世間を驚かせた足立光氏と、同じくP&G出身で、ロート製薬執行役員マーケティング本部長、ロクシタンジャポン代表取締役、スマートニュース米国マーケティング担当執行役員を歴任した西口一希氏の夢の対談本。
今活躍中の、日本最強のトップマーケター2人が、コロナにおけるマーケティングの変化と、これから考えるべきポイントを語るという内容ですが、データ、事例も豊富で期待を裏切らない、本質的かつ実践的な内容です。
まさに今、コロナ禍で起こっていることと、そこで有効な施策、考え方が語られており、マーケターなら絶対に読んでおくべき一冊です。
本書が素晴らしいのは、内容の大半が、小手先の話ではなく、マーケター、経営者が忘れがちな「顧客起点」に基づいた話であること。
「テレビはオワコン」「SNSだけでも売れる」「インターネット広告がテレビを抜いた」「カスタマージャーニーが大事」「デザインが良ければ売れる」などと盲信している方は、お二人のファクトに基づいた見方をぜひ、学んでおくと良いでしょう。
コロナ禍で、ピンチをチャンスに変えたオイシックス、アメリカのホンダ・ディーラー、九州でお菓子やパンの材料の通販を手掛けるコッタ、アウトドアアクティビティやレジャーチケット予約のできるサイトを運営するアソビューなどの事例も、元気を与えてくれる好事例。
結果を出すことに本気でコミットしたい人に、強くおすすめしたい一冊です。
さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。
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国土交通省が5年ごとに公表している「都市における人の動きとその変化」というデータを見ると、1987年の平日の外出率は86.3%、それが2015年には80%に減っています。1日の移動回数も1987年は2.63回でしたが、2015年は2.17回。つまり、長期的なトレンドとして、日本人は外出や移動をあまりしなくなっていたのです。
マクドナルドが米国で店舗閉鎖を進めているとのニュースが出ましたが、これは、同社が2017年に発表した5つの戦略の4つ目と5つ目の実行であって、他の飲食やアパレルのようなパニック的な動きと同じではありません(4つ目は「デジタル」、5つ目は「デリバリー」(略)
これまで実務上で行ってきた調査の結果からは、テレビCM視聴1日後の想起率は、悪くても10%程度、よければ80%程度ありました。一方で、デジタルメディア上での動画CMやバナー、リスティングは、コンバージョン前での寄与はあっても、視認1日後の想起率は、非常に低く、多くの場合ゼロです。一気に影響力を及ぼせるという点では、断然テレビに軍配が上がるのです
視聴率の低下に惑わされず、時間あたりのカバレッジを考えるクセを
人の行動がつかめるくらい大量のデータがとれるなら話は別ですが、ある瞬間、そこにいるときのデータしか把握できないとすれば、それを使って何か施策を打ったとしても、必ずしも有効ではありません
WHOとWHATの組み合わせを定義しない限り、いくら打ち手(HOW)の議論をしても無駄
結局、製品やサービスが売れるのは、買う人にとって具体的便益があるかどうか、そしてその便益に他の代替物や競合が提供できない独自性があるか、という2つの要素からでしかありません
顧客起点で考えれば、上流に来るのはコーポレートイメージではなく、その顧客と製品・サービスの関係性です。
人が何かを好きになる要素は、人格、物語、デザインの3つしかない
リアルでやる場合も、以前のようにできないのであれば、その価値はより貴重になるので、多くの人数を狙わず、少数のロイヤル顧客向けに、よりパーソナライズし、価格を上げてやったほうがいい
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最近は、YouTubeも何となくダラダラやっていたのですが、このお二人の対談を読んで、マーケターマインドに火が付きました。
これから、講座もYouTubeも、いろいろ売りまくろうと思います。
マーケティングの原点に立ち返らせ、本当に重要な指標は何か、効果のある施策は何か、どんなメディア、メッセージを選ぶべきか、考えさせてくれる一冊です。
強く読むことをおすすめします。
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『アフターコロナのマーケティング戦略』
足立光、西口一希・著 ダイヤモンド社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478111618
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◆目次◆
第1章 デジタル時代のマーケティングの誤解
第2章 顧客理解における誤解
第3章 ブランディングの誤解
第4章 プロモーションの誤解
第5章 戦略策定の誤解
第6章 アフターコロナのマーケティングで何を考えるべきか
アフタートーク コロナ後にこそ、差別化ではなく独自化を目指そう
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