【年商7700億円。不屈の起業家、その経営を語る。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4398145788
本日ご紹介する一冊は、数多くの起業家に影響を与えた、グッドウィル創業者、折口雅博氏による、待望の新刊。
土井は学生時代、著者が書いた『起業の条件』を読み、大いに感銘を受けましたが、本書は、あれからさらに経験・実績を積み重ねた著者がまとめた、起業論・経営論です。
※参考:『起業の条件』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4766781368/
折口氏といえば、アップルのスティーブ・ジョブズ同様、組織を追われながらも、見事再起を果たしたキャリアの方ですが、その折れない心も、本書の読みどころです。
また今回は、起業家コーチとして後進育成を始めたタイミングということもあり、起業家が悩む資本政策や上場、M&Aを含むエグジットについても詳しいコメントがあり、かなり具体的な経営のヒント集となっています。
波乱万丈の経営者の半生のノンフィクションと、経営ノウハウ、クライアントの事例集、そしてなぜか著者のアメリカでの子育て体験が混ざっており、編集的にはぐちゃぐちゃですが、内容は読み応えがあります。
新規事業の立ち上げ、マーケティング、資金調達、マネジメント、重要事項の決断…。
いずれも実践で鍛えられたノウハウであり、経営者の「生きた教科書」として、読む価値のある一冊です。
さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。
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ジュリアナ東京が成功したのは、よく言われているように、仕掛けの魅力や、宣伝戦略が上手かったことはもちろんのこと、最大の要因は“いつも大勢の人がいて、毎日盛り上がっていること”、すなわち「常に満員であること」の実現であった。これこそがディスコのセンターピンなのだ
寝ても覚めても資金繰りに追われる日々。ここまで来たら、普通はまず確実につぶれると思う。しかし、私が簡単につぶれなかったのは「これを乗り越えて次に行くんだ」という強い意志があったからである
では「軽作業のアウトソーシング」のセンターピンは何か。すぐにわかった。その一つが「マッチング力」である
よく調べてみると、この事業はすでに100社以上が展開していた。なのに、大きな会社が無い。こんなにニーズがあるのに、である。そのときにもう一つのセンターピンに気がついた。キャッシュが必要なビジネスだということである。「金融」だ。なぜ学生たちがここで働くのかというと、すぐにお金がもらえるからである
売上高1兆円を目指し10万人規模の会社を率いていた立場から一転、レストラン2店の雇われ経営者。普通なら、精神的にとても受け入れられないかもしれない。だが、私にはそういうところで変なプライドは無かった。「生きる道はこれしかない」と思うときには、いくらでも我慢ができた
超高級レストランのフランチャイズはなかなか例が無いが、そこにこそ「センターピン」がある、と実は私は考えていた。地元の名士をオーナーにする、ということである
航空会社のセンターピンは「シートの角度」にあり
宿泊施設のセンターピンは「清潔さ」
通常、90%の出来をもって進みたいのが人情かもしれない。しかし、70%の段階で進めれば、結果的に3~5倍も速く進む
業界のトップクラスになれば、万人にそのブランドを認知してもらえる
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追われた理由、叩かれた理由については、本人が書いていることもあり、真相はわかりませんが、大きな事業を手掛けるとどんなリスク・困難が待っているのか、その一端がわかった気がします。
これから起業する人にとっては転ばぬ先の杖として、既に起業している人にとっては、これからの展開のヒントとして、示唆に富んだ内容だと思います。
ビジネスごとに違う「センターピン(これを倒せばすべて倒れる)」の考え方や、顧客目線、事業を伸ばすために必要なことなど、いろいろと学びが多い一冊です。
起業家は、ぜひ読んでみてください。
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『アイアンハート』折口雅博・著 昭文社
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◆目次◆
第一部 光と陰の軌跡
第1章 わが事業家人生
第2章 少年時代に遡る武道の心と「射止める力」
第3章 ジュリアナ東京、ヴェルファーレ
第4章 グッドウィル、コムスン。そして年商7700億円に
第5章 バッシングの波、奪われた座
第6章 人生のシフトチェンジ、NYで再びの成功へ
第二章 起業家インキュベーターの実践
第7章 未来ある経営者を支援する立場に
第8章 本質、センターピンを見極めよ
第9章 経営トップが何よりも重きを置くべきこと
第10章 事業展開における心得
第11章 M&A成功の秘訣
第12章 株式上場の心得
第13章 「なりたい自分」を追求せよ
第14章 すばらしい経営者たち
第三部 世界で勝つには、戦略的思考力!
第15章 アメリカの国の強さと教育システム
第16章 アカデミックの素地を鍛える英語
第17章 サッカーでアスレティック枠に挑戦
第18章 自信、守り、驕り、成長
第19章 チャンスとフェア
第20章 ゴール
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