【読み応えあり。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797392770

セキュリティ本とビジネスモデル本は、年々厚くなっていくのが常識ですが、本日ご紹介する一冊は、おそらく現時点で最も時代に即した、「濃い」一冊。

オンライン、デジタル、クラウド、シェアが当たり前になった現代において、有効なビジネスモデルが網羅された、価値ある一冊です。

「ビジネスモデル」という、一見とらえどころのない概念を明確に定義・整理し、現存するビジネスモデルを全網羅、さらに豊富な事例で紹介した一冊です。

計63の「強い仕組み」と、150以上の企業事例を組み合わせて紹介した力作で、執筆は早稲田大学ビジネススクール教授の根来龍之さん、愛知淑徳大学准教授の富樫佳織さん、拓殖大学商学部准教授の足代訓史さんが担当しています。

カリフォルニア大学で客員研究員を務め、海外事情に詳しい根来氏と、コンテンツビジネスを専門とする富樫氏、スタートアップの経営アドバイザーを務める足代氏のコラボは絶妙で、バランス良く最近のビジネスモデルが網羅された内容となっています。

ビジネスモデルの「型」だけを学んで満足するのは、長期的な競争優位性を保つ上で危険ですが、本書では時間経過に伴う戦略転換の必要性、具体的なヒントについても述べています。

また、顧客の囲い込み戦略についても、「７つの顧客ロックイン戦略」としてまとめられているので、重宝すると思います。

基本的な内容が中心ではあり、深さはありませんが、よく網羅されているので、企業の戦略部門に携わる方、経営者、コンサルタントは読んでおくといいでしょう。

さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行こうと思います。

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戦略モデルのデザイン
（１）買い手にとって評価の対象となる価値提案を広義のライバル（直接競合や代替品）との差別化によって行うこと
（２）その差別化が可能となる背景には、他社とは異なる資源と活動があること

資源に模倣困難性があると、ビジネスモデルが「隔離」されます（中略）「隔離」されている間に新しい別の資源を蓄積する活動を行えるかどうかが、ビジネスの持続性に影響を与えます

Amazon
第１フェーズ～小売ビジネス～
第２フェーズ～仲介ビジネス～
第３フェーズ～ＩＴ、ハードウェア企業への変身～
第４フェーズ～リアルビジネスへの進出～

Amazonのビジネスモデルの発展のプロセスを４つのフェーズに分類すると、最初にはじめた小売業を基盤として、「探索」と「深化」を組み合わせた事業ドメイン（領域）の拡大と深耕を続けていることがわかります

レイヤーマスターとは「バリューチェーン内の特定の業務」や「産業内の特定の機能（部品）」に特化することで技術や経験を蓄積し、市場内でのドミナントを形成しようとする企業のこと

サービス化の成立条件
（１）既存製品に一定の品質と付加価値があること
（２）利用にあたって顧客が課題を抱える可能性が高い製品であること
（３）サービスに用いるＩＴや事業企画に関する経営資源があること

2008年に電気自動車「ロードスター」を発売したテスラ・モーターズは、自動車の稼働保証モデルです。顧客に最初に提供するのは「自動車」というハード製品ですが、テスラ・モーターズの製品は、搭載しているバッテリー容量やソフトウェアを定期的にアップデートすることで、走行能力が向上していく仕組みを採用しています

◆７つの顧客ロックイン戦略
インティマシー・ロックイン（親密さで囲い込む）
メンバーシップ・ロックイン（会員制・ポイント制度）
コンビニエンス・ロックイン（利便性向上）
ブランド・ロックイン（ブランドや知名度）
ラーニング・ロックイン（学習のコスト）
コミュニティ・ロックイン（他者が利用しているから）
シリーズ・ロックイン（ラインナップを揃える）

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戦略的視点、ビジネスモデルの豊富さ、事例の鮮度などの点で、じつに優れたビジネスモデル本だと思います。

コロナ禍で既存のビジネスが疲弊する中、密かに起業や新規事業を考えているプレイヤーには、絶好のチャンスが到来しています。

強固なビジネスモデルを構築するために、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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『この一冊で全部わかるビジネスモデル』
根来龍之、富樫佳織、足代訓史・著　ＳＢクリエイティブ

＜Amazon.co.jpで購入する＞
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◆目次◆

第１部　ビジネスモデルとは
第１章　ビジネスモデルの基礎知識
第２章　はじめてのビジネスモデル分析

第２部　ビジネスモデル大図鑑
第３章　戦略モデル
第４章　オペレーションモデル
第５章　収益モデル
第６章　コンテキスト

第３部　ビジネスモデルの作り方
第７章　既存ビジネスの革新ワークショップ
第８章　新規ビジネスの創造ワークショップ