【面白くてためになる対談本。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166612751

本日ご紹介する一冊は、あの島田紳助さんや西野亮廣さんも心酔するというカリスマ経営者であり、吉本興業の代表取締役会長を務める大崎洋さんによる一冊。

同社の社外役員も務める、『ビリギャル』著者の坪田信貴さんとの対談ということで、完全に出来レースの様相ですが（笑）、中身は笑えて勉強になります。

※参考：『学年ビリのギャルが１年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4048650955/

著者は子供の頃、親に「お前、アホやから吉本行かすぞ」と言われていて、本当に入社しちゃった方のようですが（笑）、なぜそんな氏が、社長にまで上り詰め、さまざまな事業を展開できたのか、その理由がわかる気がしました。

ビジョンと人間力。

大崎会長が持っているこの２点の資質を、教育者であり、じつは人材マネジメントのプロでもある坪田氏が引き出す格好で、小気味よく会話が進められていく。

そこにハイヒールのお二人や、吉本興業の非上場化を手掛けたＣＦＯの中多広志氏、地域再生プロデューサーの清水義次氏が加わって、大阪の未来や吉本興業の過去と未来、エンタメの未来を語るという、壮大なトークショーとなっています。

関西ノリでトークが展開されていきますが、行間に事業をやる人にとって経営やマネジメントの役に立つ考え方が示されています。

志あって事業を立ち上げたい人にとっては、良いヒントとなるのではないでしょうか。

さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

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最近、好きな言葉があって、それは「約束」という言葉。ええ言葉ですよね、「約束」。66年の人生でいっぱい約束したなぁ。つきあってたおネーチャンに、「一生一緒におろなぁ」と約束したり、ダウンタウンの松本（人志）に「世界一になろうな」と約束したり

大事なことなんや。キングコングの西野くんと初めて会った時も、吉本辞めたがってるという噂も飛んでるし、何をしゃべったらええかなぁと考えた末に、「奥さんが死んだ後、最初にやったことが、仮性包茎の手術」ってネタをしゃべったら、ウケて。おかげで、吉本辞めたいっていう気持ちがなくなったんちゃうかと思うんですよ

明るいところに人は集まるからね。笑顔とか笑い声があると、人もモノも金も情報もみんな集まってくるから、とりあえず明るくしておくのがいいんですよね

愛はどちらかというと排他的ですよね。愛国心があるからこそ戦争が始まることも多いじゃないですか。愛が強まると、実は争いは起こりやすい。「ラブ＆ウォー」になる場合もある。一方で、人が笑っているところというのは、いちばん平和な状態じゃないかと思うんですよね（坪田）

中多くんは出会った当時、長銀の社員として、ニューヨークのメディアの買収のアドバイザーとかをしてて、早朝の４時とか５時に電話でやりとりしてたからか、咳ばっかりしてたんで。「このままやったら死ぬで」とまず脅して、「人生、身体がいちばん大事やぞ。給料がちょっと減るかもわからんけど、吉本に来ぇへんか？」と、１年半言い続けたら、だまされて来てくれたんです

大変だった最中も出井さんは「常識的に絶対できるディールができない、逆に、できないだろうと思って一生懸命やったディールができることがある。その理由は10年後にわかるんだ」と。「自分のことだけを考えたディールは、できなかったり失敗したりする。でも、これができたら社会のためになると思ってやるディールは、無理なものでもけっこうできるんだぞ」と励ましてくださったことがあって。ちょっと感動しました（中多氏）

変化というのは、一直線に上がるとか、階段を一段一段上がっていくというイメージじゃなくて、竜巻のようにすべてのものを巻き込んでうねりながら上がっていくっていうイメージがあるんよ

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吉本興業のイメージアップのために作られた本だとは思うのですが、経営の裏舞台が見えたり、できる経営者の人間性が垣間見えたり、興味深い内容でした。

個人的には、相手を怒らせずに、見せ場を全部持っていき、利益も実現してしまう会長のトーク術に魅せられました（笑）。

ぜひ読んでみてください。

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『吉本興業の約束　エンタメの未来戦略』
大崎洋、坪田信貴・著　文藝春秋

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◆目次◆

第１部　吉本会長が語る理由
第２部　大阪を元気にしたい
第３部　タレントとの理想の契約
第４部　吉本が考える地方創生
第５部　コロナ後に吉本が向かう未来