【名著復刊。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4815604584
本日ご紹介する一冊は、『共同幻想論』『心的現象論序説』『言語にとって美とはなにか』などの名著で知られる、「戦後思想界の巨人」、故・吉本隆明氏による名著の新装版です。
※参考:『共同幻想論』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4044005761/
※参考:『心的現象論序説』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4044086117/
※参考:『言語にとって美とはなにか』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041501067/
もともとは、大和書房の編集者だった岡村季子さんによって手掛けられた2002年刊行の書籍が、2006年に文庫化され、さらに再編集してできた新書オリジナル版とのこと。
ひとりの時間を持つことの効用自体は、いろんな本で言われているので、今さら目新しくも何ともないのですが、本書の優れたところは、その「意味」について述べたところ。
<時間をこま切れにされたら、人は何ものにもなることができない>
という言葉は、最近スマホばかりいじっていた自分には、グサリと刺さりました。
<「分断されない、ひとまとまりの時間」をもつことが、どんな職業にもかならず必要>という著者の指摘はその通りで、企業でも個人でも、見えない研究開発の時間にこそ、価値が生まれてくるのだということを、再認識させられました。
個人の自己啓発書としてはもちろん、親や教師が読んでも教育のヒントとなる内容です。
さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。
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時間をこま切れにされたら、人は何ものにもなることができない
家に一人でこもって誰とも顔を合わせずに長い時間を過ごす。まわりからは一見無駄に見えるでしょうが、「分断されない、ひとまとまりの時間」をもつことが、どんな職業にもかならず必要なのだとぼくは思います
ぼくには子どもが二人いますが、子育ての時に気を受けていたのは、ほとんどひとつだけと言っていい。それは「子どもの時間を分断しないようにする」ということです
他人とのつながり方は、それぞれでいい
ぼくは、言語には二種類あると考えています。ひとつは他人に何かを伝えるための言語。もうひとつは、伝達ということは二の次で、自分だけに通じればいい言語です
「正常」の範囲を狭めてしまうから、つらくなる
恋愛というのは、お互いがある距離内に入らないと成立しないものです。そして、何かの拍子にその距離に入ってしまえば、遠くから見ていた時とは別のものが見えてくる。そうすると、社交的であろうとひきこもりであろうと、美人であろうと不美人であろうと、そんなことは意味をなさなくなります。世間的な価値判断は関係なくなって、自分にとって好ましいかどうかという問題だけになる
教師が生徒と向き合おうとするから生徒は迷惑する
学校なんかに期待する親は大きな間違いを犯している
なるべく早く、引っ込み思案なら引っ込み思案の自分に合った仕事を見つけたほうがいいんだよ、ということは言いたいです。なぜなら、どんな仕事でも、経験の蓄積がものを言うからです
ひきこもってはいても、いつでも社会がいまどうなっているかを自分なりに把握しておかなければ、相当危ない
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吉本隆明氏の本は、難解なことで知られていますが、本書はじつに読みやすい自己啓発書。
親や教師にとっては、随分耳の痛い話が書かれていますが、子どもが読んだら、きっと勇気をもらえる本だと思います。
著者は、子育てにおいて、「子どもの時間を分断しないように」気をつけたと書いていますが、作家・吉本ばななさんを育てた父親だけに、説得力がありますね。
現在、発展途上にある人や対人関係・職業で苦しむ人が読めば、勇気をもらえる一冊。教師、親が読めば、教育のヒントになる一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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『ひきこもれ ひとりの時間をもつということ』
吉本隆明・著 齋藤孝・解説 SBクリエイティブ
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4815604584
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◆目次◆
第1章 若者たちよ、ひきこもれ
第2章 不登校について考える
第3章 子どものいじめ、そして死について
第4章 ぼくもひきこもりだった
第5章 ひきこもりから社会が見える
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