【日本の歴史「5つの法則」とは?】
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本日ご紹介する一冊は、「世界一受けたい授業」で大人気の歴史研究家、河合敦さんによる、注目の最新刊。
「歴史は繰り返す」とはよく言われることではありますが、本書でいう『繰り返す日本史』とは、日本史が繰り返しているパターンのこと。
著者はそのパターンを、以下の5つにまとめています。
「対外危機への“過剰な”反応」
「貴種や名家を尊ぶ伝統」
「祟を恐れ、穢れを嫌う傾向」
「和を尊び団結を重んじる一方、他人の自由を許さない傾向」
「教育力と模倣力の高さ」
この傾向あるいは行動パターンにより、日本は成功あるいは失敗を繰り返しているというのです。
現在のコロナ禍に見られる異常な恐れと同調圧力は、どうやら今に始まったことではないようで、過去にも同様のことがあったと著者は指摘しています。
明治時代に巻き起こった「恐露病(異常にロシアを恐れる傾向)」、偽系図の流行、平清盛が太政大臣になれた秘密、菅原道真の呪いなど、歴史のこぼれ話をもとに、日本人の思考と歴史がたどるパターンを解説しており、とても勉強になりました。
政治でもビジネスでも、日本で成功しようと思ったら、こういうことは知っておいた方が良いと思います。
さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックして行きましょう。
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このコロナ禍は、驚くほど黒船来航期の状況と似ている。また、黒船来航時の為政者の対応は、元寇のときの鎌倉幕府の反応に極めて近い
明治時代、日本人の間に「恐露病」という病が流行った。本当の病気ではない。ロシアに対する恐怖にとらわれ、いつかロシアは日本に攻めてくるのではないかという過剰な対外危機意識である。よく知られているように、ロシアは領土を南下させる政策をとっており、アイヌと密かに交易を行ない、十八世紀後半からはたびたび江戸幕府にも開国を求めるようになった。幕末には、ロシアの軍艦がにわかに対馬に上陸、不法に土地の一部を占拠する事件も起こっている
はっきりした勝算も、戦費のメドも立たないまま、日本の為政者たちは、国民の声に押されて大国ロシアとの戦争に突入していったのである
対外危機のさい、それを理由に政権が権力を強化するというのは、浜口内閣や明治政府にも見られた現象であり、それが人々の反発を呼び、反対勢力を勢いづかせたというのも状況が似ている
「和を以て貴しとなす」と聖徳太子の憲法十七条にあるように、日本人は衆議を重んじる国民性を持っている。独裁を嫌うのだ
日本は神国なので、神々の加護を受けており、大きな危機が起こると、必ず神が助けてくれるという、まさに「誰かが何とかしてくれるさ」的な他力本願ともいえる危機対応が形成された
日本人は、天皇家に限らず、代々続いている家系をありがたがる傾向がある
むしろ実力主義の時代だからこそ、己の立場をさらに大きく見せようと、天皇家や将軍家とのつながりを求めたり、朝廷から官位をもらったり、名家である公家から妻を迎えたりしたのである
貴種であること、あるいはそう清盛が見せかけたことが、貴族社会に太政大臣就任を受け入れさせた
和の名のもとに、他人の自由を許さない
◆他にもある、日本史の原理
「名誉を重んじ恥を嫌う」
「清貧を好み、金儲けを賤しむ」
「水に流す」
「約束を守る」
「性的におおらか」
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歴史がつまらないとしたら、それはあまりに時間軸や前提が違っていて、当時の人の身になって考えることができないから。
本書では、優れた語り部の著者が、当時の状況を浮き彫りにし、現代に生きるわれわれでも理解しやすいよう「翻訳」してくれているため、あたかも現在起きていることのように歴史を理解することができます。
歴史を題材に、今も変わらない日本人の思考・行動のパターンが学べる、ビジネスパーソン必読の教養書。
ぜひ、読んでみてください。
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『繰り返す日本史』河合敦・著 青春出版社
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◆目次◆
1章 国難で繰り返される独特のシナリオ
2章 歴史が動くとき、繰り返し現れる「貴種」の力
3章 「祟り」と「穢れ」に振り回される権力者たち
4章 なぜ「和を貴ぶ」のに、たびたび争いが起きたのか?
5章 あっという間に欧米列強に追いついた理由
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