【成功も幸福もドーパミン次第？】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4772695702

本日ご紹介する一冊は、われわれの成功や幸福に深く関わっている、「ドーパミン」について考察した注目の一冊。

日本でドーパミンが広まったのは、茂木健一郎さんの『脳を活かす勉強法』の影響が大きいと思っていますが、この『もっと！』では、当時注目されていなかったドーパミンの重要な側面にコメントしています。

※参考：『脳を活かす勉強法』
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569696791/

それは、脳は外の世界を「近くのもの＝身体近傍空間」と「遠くのもの＝身体外空間」に分けて処理しているということ。そして、ドーパミンは現在手に入れられていない、遠くのものを得るために作用する、ということです。

なぜ、向上心あふれる人が、身近な人をないがしろにし、幸福を得られなくなるのか、人間が繰り返してきたことの理由が、見事に説明されています。

さすが、ダニエル・ピンク激賞、Forbes誌年間ベストブックに選ばれただけのことはあります。

なお、本書では、このドーパミンの影響を、「愛」「依存症」「支配」「創造と狂気」「政治」「進歩」「調和」というテーマで章立てし、それぞれに説明を加えています。

ドーパミン志向の人がクリエイティブになり、政治的にはリベラルである理由なども説明されており、これはぜひ読んでいただきたい一冊です。

さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

—————————-

その化学物質は、まだ手にしていないものをあなたにほしがらせ、新しいものを追い求めたいと思わせる。そして、あなたがそれに従って行動したときには報酬を、従わなかったときには苦しみを与える

愛を継続させるためには、身体外空間的体験を身体近傍空間的体験に変えなければならない。つまり、探求から所有へ、期待するものから大切に世話しなければいけないものへの変化だ。それはまったく違うスキルで、そこにこそ、時とともに愛の性質を変えなければならない理由がある

ドーパミンの観点から言えば、所有は関心事ではない。ドーパミンにとって重要なのは獲得だけだ

ドーパミンは快楽物質などではない。まったく違う。ドーパミンの本質は、期待物質だ

遺伝的に多婚のオスのハタネズミにバソプレシンの活性を高める遺伝子を投与すると、交尾可能なメスがほかにいるにもかかわらず、一匹のメスだけと交尾するようになる

ドーパミン系の目的は、未来を予測し、予想外の報酬が生じたときに「注意せよ。世界の新しい何かを覚えるべきときだ」というシグナルを送ることにある

ドーパミン制御回路には前頭葉が関わっている。ごく最近になって進化したことから、新皮質と呼ばれている脳の領域だ。このドーパミン制御回路こそ、ヒトを独自の存在たらしめているものだ。ドーパミン制御回路は、欲求回路が導く未来よりもさらに遠い未来に自身を投影する想像力を私たちに与え、長期的な計画を立てさせている。さらに、その未来に可能な限りの資源を活用できるようにするために、新しい道具をつくり、抽象的概念ーーつまり、感覚のもたらす「いまここ」での体験の枠を越えた、言語、数学、科学といった概念を使うことを可能にしている

太りすぎの子どもは、道を横断中に車に轢かれる確率が高い

Ｈ＆Ｎの活性には、ドーパミン主導の依存症を抑えつける効果がある。それをさらに劇的に示しているのが、喫煙者の女性が妊娠すると禁煙率が跳ね上がるという事実だ

—————————-

人生の成功にはドーパミンの力が必要ですが、それだけではバランスを崩してしまう。

有名人の不倫も、駐車場に子どもを置き去りにする母親の理由も、本書を読んで、すべてが氷解しました。（そもそも共感的で現実を大切にする人なら、酒やタバコもやめられる）

画期的なドーパミンの解説書です。

ぜひ読んでみてください。

———————————————–

『もっと！』ダニエル・Ｚ・リーバーマン、マイケル・Ｅ・ロング
梅田智世・訳　インターシフト

＜Amazon.co.jpで購入する＞
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4772695702/

———————————————–
◆目次◆

はじめに: 上と下
第１章　愛●恋愛から友愛へ
第２章　依存症●「欲求ドーパミン」の駆動力
第３章　支配●「制御ドーパミン」の達成力
第４章　創造と狂気●すごい発想が生まれる源
第５章　政治●保守とリベラルの脳の違い
第６章　進歩●新しさを求め冒険する気質
第７章　調和●ドーパミンとＨ＆Ｎのバランスをとる