【アイリスオーヤマ経営の秘密】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296107119
本日ご紹介する一冊は、コロナ禍でも絶好調、アイリスオーヤマの会長、大山健太郎さんによる経営書。
本書によると、アイリスオーヤマの業績は、園芸用品、LED照明、収納家具、調理器具、各種家電など、ホームセンター向けの売上が前期より2桁伸びているそうです。国内ネット通販に至っては、なんと売上が前期の2倍。
マスクの大増産に成功したこともあり、2020年12月のグループ売上高は、前期比40%増の約7000億円を見込んでいるそうです。2019年12月期の5000億円から2000億円の急上昇です。株を上場していないのが、本当に残念です(笑)。
じつはこのアイリスオーヤマ、これまでにもピンチをチャンスに変えてきた経緯があり、東日本大震災ではLED照明の増産に成功しています。
オイルショックで倒産仕掛けた経験から、「ピンチが必ずチャンスになる経営」を心掛けてきたという著者の考えは、変化が常態化した現在にあって、一読の価値アリです。
チャンスに対応するべく、あえて稼働率を7割以下にする、問屋に生殺与奪権を与えないため、メーカーベンダーという特殊な形態を選ぶ、どんどん新商品を投入するため、毎週月曜日に「プレゼン会議」を行い、即時決裁する…。
アイリスオーヤマならではの仕組みが紹介されており、じつに興味深く読ませていただきました。
さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックしてみましょう。
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マーケットインではなくユーザーイン
会社の新陳代謝を最もよく表す指標をKPIに据える
味方と思っていた問屋との信頼関係が失われ、一瞬にして利益や販路が消え去ってしまいました。あの時代、問屋自身も生き残るためにそうせざるを得なかったのですが、経営において、何かに依存することは極めて危険であり、主導権を持つことの重要性を痛感しました
内製化したほうが、売れる新製品を効率的に出せる
本当の意味でマーケティングに立脚した会社をつくろうとすれば、ユーザーインの需要創造に加えて、製品をユーザーに確実に届ける市場創造の仕組みが必要
自社が位置する流通ポジションに永久にとどまるのではなく、上流か下流ににじみ出ることで、需要創造と市場創造を両立する業態が出来上がる
「在庫は悪である」と信じている会社は、設備もギリギリ、倉庫もギリギリ、作業の人員もギリギリ。そのほうが資本効率的には良いからです(中略)大きな需要変動には弱い組織となっています
これから必要なのは、チャンスロスをなくす仕組みなのです。「この製品を市場に投入すると売れるのはほぼ間違いないが、今の当社には余力がない」という状態をなくすのです。市場は泡風呂のように、あちらで勃興したり、こちらで勃興したり、そしてしばらくすると市場が突然消えたりする。泡が見えてから、一から準備しても遅いのです
7割の稼働率にしておけば、「いざ拡販」というときに、「100%÷70%=1.42」で、5割増に対応できる
ROEを指標にすることに意義があるとするなら、やはり市場が安定し、拡大を続けているときですが、これからの時代はROEが求める効率性を追求すると会社を傷めます。本当の効率を追求しなければいけません
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コロナが起こる前は、「アウトソース」や「シェア」がもてはやされましたが、蓋を開けてみたら、コロナ禍で勝利したのは、「自前主義」の会社でした。
アイリスオーヤマは、まさにそれを実践している会社であり、本書は、不況時の参考にしたい経営書です。
不況時には、どんな企業もピンチに陥る。チャンスのはずの企業も増産が追いつかない。
そこを見込んで、あえて稼働率を抑えることでチャンスをモノにするやり方は、あっぱれとしか言いようがありません。
また、新規事業をどんどん生んで安定させるやり方は、まさに「雑草の戦略」だと思いました。
変化の時代、人口減少時代の経営のヒントがびっしり詰まった良書です。
ぜひ読んでみてください。
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『いかなる時代環境でも利益を出す仕組み』
大山健太郎・著
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296107119/
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◆目次◆
序章 効率偏重経営の終わり
1章 製品開発力
2章 市場創造力
3章 瞬発対応力
4章 組織活性力
5章 利益管理力
6章 仕組みの横展開
7章 ニューノーマル時代の経営
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